第15話 高坂の回答
月夜が高坂の店に着いたが、店内にはまだお客がいる。
「クッキーでしたらニュージーランドの
ジンジャーナッツクッキーはいかがでしょうか。
生姜の味がしっかりしている甘さ控えめのクッキーです。
あとニュージーランドだとクッキータイムですね。
大き目のクッキーに大粒のチョコがたっぷり入っています。
そしてカナダのクリアリーズのメープルクリームクッキーですね。
サクサクのクッキーに甘いメープルクリームを挟んであるクッキーですよ」
お客はジンジャーナッツクッキーとメープルクリームクッキーを買って行った。
「あき兄、売れてるみたいだね」
「そうなんだけど、うちはお菓子専門店じゃないんだけどなあ」
と高坂は苦笑いをした。
月夜はいつもの奥の席に座り、
高坂にさっき行った公園とショッピングセンターなどの話をした。
高坂は相槌を打ったり、質問したりして楽しそうに会話をした。
キッチンカーや洋菓子店で買わなかったことを聞くと、
月夜はその時食欲がなかったとごまかした。
太るからとは決して言えない。
そして月夜は牡蠣フライの話をした。
高坂は興味深そうに聞きながら、考え込んだ。
「大きさが違うんじゃ」
「いっしょぐらいの大きさだったよ」
「じゃあわからん」
と高坂は諦めたようだ。
そしたら月夜が言いだした
「あき兄ってコーヒーのカフェインがダメなんだよね?」
「ダメというか、原因ね」
「じゃあさあカフェインレスなら飲めるの?」
「!?」
高坂はその手があったかと思った。
カフェインレスならあるいは。
月夜が
「待ってて。家から持ってくる」
と言って店を出て行った。
月夜は歩きながら思った。
カフェインレスコーヒーって赤色のパッケージに入ってるのが多いような。
なんか意味あるのかなと。
そんなことを考えていると家に着いた。
月夜はキッチンへ行き、お湯を沸かしタンブラーに入れた。
最近買ったばかりのインスタントのカフェインレスコーヒーと、
紙コップ2つと砂糖とミルクを持って、来た道を戻りお店へと向かう。
「たっだいま~」
月夜はややテンション高く言うと、奥の席のテーブルでコーヒーを作り始めた。
「あき兄、砂糖とミルクは?」
「月夜と一緒でいいよ」
「わかった」
月夜は嬉しかった。
あき兄と一緒にコーヒーが飲める日が来るなんて。
砂糖とミルクを多めに入れて月夜はコーヒーを2つ作った。
「あき兄出来たよ」
と言って高坂にコーヒーを渡す。
そして月夜と一緒に飲み始めたのである。
すると…
高坂の表情が変わった。
「月夜。牡蠣フライの件だが産地だろう。
総菜売り場にあった5個の牡蠣フライは広島か宮城の国内産。
弁当の方は安価な韓国産だ」
月夜は驚いてインスタントコーヒーを見ると、
モカとだけ書いてあってカフェインレスではなかった。
「しまった。カフェインレスじゃないの持ってきちゃった。
そういえばモカも赤パッケージ多い」
「月夜。カフェインレスはカフェインが全く入ってないわけじゃないぞ。
カフェイン90%以上カットすればカフェインレスと名乗れるのであって、
少量だがカフェインは入っている。
ちなみに全く入っていなのはノンカフェインって言うが
それはたんぽぽコーヒーのように純粋にコーヒーと呼べ…」
と言ったとたん膝をついて項垂れる。
「頭が痛くて気持ち悪い」
「あき兄ごめん。今の普通のコーヒーだったの」
月夜は高坂の傍に行き
「横になる?」
と聞いたが
「大丈夫…」
と力なく言う。
月夜はとりあえずシャッターを半分閉めてひたすら謝る。
少したつと高坂は落ち着いてきた。
月夜は床に零れたコーヒーをモップで拭き、高坂が
「シャッターあげていいぞ」
と言ったのでシャッターを上げた。
牡蠣フライの件はあき兄がいうのならそうなんだろうと思った。
そういえば、パックに広島産って書いてあったような。
産地は確かに盲点だった。
機会があれば店の人に聞いてみよう。
そしてちょっとだけ、
ほんのちょっとだけカフェインレスだったらどうだったんだろうと思った。
ごく少量でもああなるのかなと。




