9 進化と継続とあと何か・・・・・
カイ君は相変わらず葬儀社で働きながら、一応私へのポーズとして「次の選挙の公約作りのため政策を考える」という名目で、終活講座のかたわら、市民勉強会なる組織を立ち上げ、選挙で知り合った先輩の商工会議所のメンバーや農協君たちと飲み会を開いている
あの婚活イベントもリニューアルして彼らを巻き込んで実行に移すだろう
農協君は少し出世して意見も通るようになり、終活講座の時に考えた健康弁当を直売所に出してヒットしたり、メディアに取り上げられたりで、婦人部の人気者になった。白菊の生産モデルハウスを作ったり、新しい事業にも意欲的だ、若さゆえの無知と失敗は覚悟しているようだ。
旅館の息子は、すっかり変身フォトにはまって、カメラやと美容室と組んで毎週
「ハリウッド変身サロン」を旅館の一部に組み込んで活性化に成功しつつある。
また、パソコン教室やスマホ教室も開いているようだ
パソコン教室は泊まり込み合宿のツアーとしても好評で忙しくて体形もだんだん痩せて体も縛られてかっこよくなってきた。
もしかしたらカメラやの娘と付き合っているのかもしれない
カイ君の彼女の実家の斎場は どうやら農協に買い取られる方向らしい、彼女は東京に行きたくてカイ君とは一旦別れ自立するらしい。東京で暮らしてカイ君が歩んだ道と同じ希望や挫折で結局は故郷を見直して近い将来返ってくるかもしれない。
その時まで遠距離恋愛かあるいはよき友達レベルに収まるかは本人たち次第だ。
そして今、藍子は病院のベッドにいる・・・・・
実は先日心臓発作で倒れて生死の境をさまよったらしい
そこで、遺言や遺産のことをもっと具体的にいろいろ決めることにした
「藍子さん元気?」カイ君がお見舞いにやってきた
「もうすぐ退院だって」
「そうよかった。カレシさんは?」
「東京で残務処理、そうだカイ君にお願いがあるんだけど・・」
「何?」
「あの遺言書のフォーマット、終活講座で使ってるの、あれ持ってきてくれない?」
「いいですけど、遺言は以前書いたんじゃなかったですか?」
「そう、だけど書き直そうと思って・・」
「新しいダンナさんができたしね」」
「まだ結婚してないけどね、する前に死んじゃうかもしれないし、色々考えないとね」
「わかりました、ここに持ってきます?」
「ううん、今度うちにごはん食べにきたときでいいよ。次は何食べたい?」
「う~ん、そうだな ハンバーグ!」
「子供か!」ははは・・・・笑いあっているとカイ君が息子に見える
この子にも何か残してあげなくては・・・ふと思った
「ねえ、カイ君何か欲しいものってある?」
「ほしいもの?買ってくれるんすか?」
「うん、モノによってはね」
「じゃ、じっくり考えさせてください」
「ふふふ、いいわよ、10個くらいリスト作って来て」
「え~そんなに~いいんすか?」
「全部じゃないわよ、その中で、できそうなものを選ぶから」
・・・・・・・カイ君の欲しいもの
①駅前商店街のアーケードのシャッター通リをなんとかするアイディア
②外国人との問題をなんとかするアイディア
③高齢者医療費、圧迫す保険料をなんとかするアイディア
④少子化、子育ての諸問題を解決する方法
⑤若者の流出を減らすアイディア
⑥新しいバイク
⑦ゲーム用のパソコン
⑧おしゃれなマンション
⑨可愛い彼女
⑩一年くらいの休暇
「なんじゃこれ」退院して家に戻った藍子はカイ君から見せられたリストをみて呆れた
「まあ、1~5まではなんとか答えられるけど、それを考えなさいって今まで言ってたわけで、最初から答えを見て回答用紙に書くなんてずるいでしょ
6,7,8は、私そんなお金ないからねだめだね。9は自力で、10は社長に直訴ね」
「僕も一応考えましたよ」
「じゃ、それ見せて」
「ダメです、幼稚だから、だから模範解答を見たかったんです」
それにしてもほしいものが藍子のアイディア、しかもこの町をよくするためのカイ君がいつの間にかこんなことを考えているんだと嬉しくなった
「そういえば、あの議員のマダム、フト客のあの時のお金どうした?」
「言われとおり銀行にいれたままっす」
「いくらあったの?」
「200万」
「しけてるわね」
「そうですか、それより藍子さんどうしてあんなことしたんすか、マダムがお金払うって知ってたんすか?」
「そうね、マダムが散財したお金は私たちの税金、しかもああいう人たちは絶対知られたくない秘密を持っていて、バレたら政治生命にかかわることも承知で破廉恥な遊びをしている。
「それを私は知っていますよ」と暗に言ったまでのこと。
「すごいっすね、オレ隣にいたけど普通の会話にしか聞こえなかったっす」
「うふふ、財布は売っちゃいなさい、ブランドものだから売れるし、お小遣いにね」
「えっと さっきのリスト見せて」
一通り眺めると例の3本指で頭を抱えうつむいて藍子は考え出した
「そもそも、これ全部正解出したら、あたし総理大臣になれんじゃねってレベルだよね、全国の自治体が抱える共通した社会課題だよね、だからこそもしこの小さな町でこれが解決出来たら、日本を救えるってことだよね。カイ君も一緒にかんがえるんだよ。そしてこれが解決した時カイ君はここの総理大臣だからね」
★「駅前商店街のアーケードのシャッター通リをなんとかするアイディア・・・・・
これは地元を巻き込んでどうするかのコンテストを開催してアイディを募ること
で、例えば俳句や川柳を募集して毎月シャッターを使い作品の発表の場にする
あるいはアートコンテストで地元の小学生の絵のコンテスト発表の場にするなど
ある程度手持ちのアイディアを持っておくこと
「で、カイ君はどんなアイディアがあるの?」
「ぼくのは幼稚ですけど、フリーマーケットみたいなものとか盆踊り体操と運動会みたいなイベントですかな・・・・」
「あら、いいじゃない。それ、最初は小さく始めるのよ、それで試行錯誤後重ねてノウハウにしていく、これすべてのことに当てはまるんだけどね、人生の・・・」
「そうなんすっか」
「ねえ、高知県のおきゃくって言うイベント知ってる?アーケードに炬燵たくさん並べて飲み会するの?楽しそうでしょ、ネットで地方のイベント探したり、実際行ってみてそこのスタッフに聞くとか、アイディアを足で稼いでみて」
「それ面白そうですね、今度行ってみようかな」
「当選した先輩と一緒に誘ったら視察費用でおとしてもらえるかもよ」
「なるほど・・」
「で、次は・・・」
★国際化と外人問題・・・
「そうね、不法滞在者、納税滞納者、軽犯罪法違反者には罰金500万円で国外退去、これですぐに年間10億くらいの収入ができるんだけど、地方は条例レベルで200万円が上限なんだよね、
だからこそカイ君に中央の政界に行ってこういう法律を作ってもらいたいの、大体政治家って何やる人か知ってる? ローメイカー(法律を作る人)なのよ。
ついでに覚えておいて、もしカイ君が政治家になったら、作ってほしい法律があるの、
毎年会計検査院が発表する税金の無駄使いは3000億になるけど、これ指摘するだけで誰も責任取らないのよ、おかしいでしょ。だからその税金の無駄使いは公務員全員の連帯責任にして、公務員全員から徴収するの、一人当り6千円くらいだから負担ではないし、税金の無駄使いを自覚してもらえるし・・・
これ天国から見てるからね」
「オレ、話は違うんすけど、留学も行ってみたいなって思い始めたんです。ほらこの前、藍子さんがハッタリで僕を留学させるって言ってから、なんか気になりだして・・・藍子さんのいう言霊ですよね」
「えっほんと?いいじゃない。行け行け、一度日本を外から見るのはとても大事なことだよ、視野が広がるし、価値観の多様化も身に染みるしね・・・言霊か・・・言い返されちゃったね」
「藍子さんは海外経験あるんすよね?」
「うん、今度じっくり研究しようね、その件についてさ・・・そうだマダムからもらった200万留学資金になるね」
「200万で行けるとこ、教えてください」
「まあ、資金もっとふえるかもね」
「えっ?どういうこと?」
「まあまあ、じゃ、次」
★高齢者医療費、圧迫する保険料をなんとかするアイディア・・・・・
「つまりは高齢者に健康になってもらえばいい話、病院行くよりプールに行って運動をしてもらうとかもっと散歩道を整備してウォーキングを楽しんでもらう工夫を。
旅行客も呼べるほどの長い散歩道など考えるのはどうかしら、病院機能も充実させて、一日ドックをツアーにして、温泉旅館で癒されて、健康食メニューで検査だけでなく元気になって帰ってもらうとか・・・」
「高齢化社会ってオレの生活には影響ないかなと無関心だったんすけど、選挙手伝ってから、財政とか以外なところに影響が出ることわかったんで・・・」
「そうなの、えらい!カイ君はおばあちゃん子だから、じいちゃんばあちゃんときちんと話せるからもっと本人たちから色々聞いてみたらどうかな・・・意外なヒントがかくされてるかものよ・・」
「そうすね。葬儀の仕事を通じてもいろんなじいちゃん、ばあちゃんと知り合ったんで
もっと話してみます」
「で、次は・・・」
★少子化、子育ての諸問題を解決する方法・・・・
「まず何が問題化を洗い出す、子育てママが育児と仕事と家事に追われているなら、そのどれかを地域で分担して解決できないか考える、
たとえば、朝カフェを開き、ママと子供がそこで食事し弁当を作ってもらえば、相当朝の負担は減る、そうして皆の抱える問題が同じなら一緒に解決できる方法があるはず」
「さすが藍子さん」
「カイ君は何か思いついた?」
「まだ結婚もしてないので状況が分からなくて・・・」
一気に藍子が頭の中のアイディアを放出したところで
「・・・とこんなところが今言えるヒントかな・・・」
「それ、先輩の選挙の時にアドバイスしてくれたらマニュフェストに載せたのに・・・」・
「それは違うわ、あなたの先輩は自分の力で考えて立候補したんだから・・・
これはカイ君の選挙の時のマニュフェストとして考えてたことだし、これからカイ君なりのやり方をみつけなきゃね」
「っていわれても、まだ全然自信ないっすけど・・・」
「カイ君政治の世界はとても汚いの、だから本当はカイ君をそんな世界には入れたくないのよ」
「えっ、じゃなんで?」・・・・
「実はね・・・・」




