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未亡人元ホストを大臣にする  作者: 夢丸力丸


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8/10

8 体験と現実とあと何か・・・

藍子は選挙投票日の夜カイ君に電話をした。

「もしもし、そちらの状況は?」

「ああ、藍子さん、投票行った? 今開票結果続々出てるけど先輩はちょっとボーダーラインかな」

「そうなの、私は不在者投票行ったから、でも深夜まで長引きそうね」

「うん、でも面白いねライブって」

「どう面白いの?」

「だって結果は誰もわからないゲーム見たいじゃん。人生がわずか20人の票で決まったり、今までの苦労が部活みたいで選挙は試合みたいな感じです」

「あら、なんか言葉使いもきれいになったわね」

「ありがとうございますっ、藍子さん今東京?」

「ううん、家よ」

「あの人と結婚するんですか?」

「ううん、考え中かな・・・しばらくは同棲するかもね」

「じゃ、メシもう食べられないの?」

「大丈夫よ心配しないで、これはこれ、それはそれ、私は当分あの家に住むから、いつでも食べにおいで」

「よかった~」

「でも彼女に作ってもらえばいいじゃない?」

「それが別れたんすよ」

「えっどうして?」

「まあここじゃ言いにくいんで、改めてまたお伺いします」

「そうじゃ、忙しそうだからまたね」

「はい、ありがとうございました」


お伺いします・・・だってそんな言葉今まで聞いたことないよ。藍子はふっと笑った・


先輩の選挙の手伝いはカイ君を少し成長させた。たくさんの人に会い、様々な考えを目の当たりにし、演説で町のあちこちに出かけ人の流れを感じ、住民の優しさや厳しさに接するうちにこの町のアウトラインだけわかってたことが、内側まで理解するようになっていた。

先輩は最下位ながら900票で当選。これは今回立候補者が多かったため票がばらけて、当選レベルが下がったため、こんな数字や統計のマジックもカイ君には新鮮だったようだ

マニュフェストの作り方もわかったことでよりきちんとした企画や計画を作るノウハウを学んだようだ・

「いい、今回の選挙は先輩じゃなくて、もし自分が立候補したらと常に考えるのよ。演説の内容、言葉の選び方、話し方の抑揚、人の心のつかみ方、選挙戦毎日が学びの場なんだから・・」 藍子の言葉がいつもカイ君の頭に響いていた。

「人心掌握・・・か、人を操るみたいで面白い反面、人って騙されやすいんだなとも思った」一緒にボランティアをしている農協君も後にそう言っていた。この選挙は色々彼らを成長させたようだ。


一方藍子は自宅で元カレと食事をしていた

「海辺のマンション、いつから住むの?」

「あしたからでも・・・」

「掃除してって顔してるけど」

「えっ、そんなつもりじゃないよ、この煮物すごくおいしい、ねえ毎日作ってよ~」と取繕う

「ねえ、オレといると楽しい?」ごはん茶わんを手渡す藍子の手を握る

「そりゃ、楽しいですけど、やっぱり私はここで家庭菜園や庭いじりしてたいかな」

「そうか、そうだな、よし決めた。オレ仕事全部やめるわ、それでここで暮らそう!」

「後悔しない?」

「もう引き時だなと決心がついた、だらだら働いてるとわからなくけど、オマエに再会してわかったよ、オマエが田舎で生き生きしているの、なんか羨ましくもあった」

「そうなの?気が付かなかったわ」

「オレも残りの人生は海に毎日でも行きたい」

「そこ?なんか違うでしょ」

「なんで?オマエがいつもそばに居てくれるしあわせ以上の何があるのさ」

「え~なんか違うような・・・、愛されているんだか、いないのか・・もひとつピンとこないんだけど、毎日サーフィンとか…たぶん家にいないよね・・・」

「うん、まずはマリンスポーツ、今まで時間が取れなかったから、これを毎日あれこれやりたい、で、オマエは家庭菜園思いっきりしてさ」

「で?」

「で、時々ドライブとか旅行に行く、海外とか国内とか‥行きたいとこある?」

「じゃ、いっそのことクルーズで世界一周する?」

「待て待て、それはもう少し後に残しておいて…そうだな、あっオレ船舶免許もってるんで船買おう、それまず大島あたりに行こうよ」

「えっ、やだ~船酔いしそう」

「じゃ、入り江に停泊してイカでも釣るか」

「そうだいっそのこと漁師になったら?」

「そう簡単にはなれんのよ」

「そういえばあなたの親分はどこの選挙区だったの?それがらみのコネとかないの」

「内陸の海なし県だから、何もコネなんかない、あってもやだよそんなの使うの」

「そうね、あなたそういう人だものね、そういう清廉潔白なところは好きだわ」

「ありがと、覚えておくよ」

「じゃ、とりあえず半年くらい同棲してみて、試してみようか?相性を」

「信用ないのオレって?」

「当り前じゃない、婚外子作ったのよ、どんな理由があるにせよ。清廉潔白なのに恋愛は自由、家族構成無視じゃない?人間としてどうなのよ」

「まあ、色々あったんだってば、少しずつおいおい話すから・・・さ」

「そういえばあなた家事はできるの?茶わん洗いや風呂掃除なんか」

「はい、できるだけ善処します」

「ま、いいや今日のところは、でもいつか飽きるか呆れるか、かもしれないな」

「そんな、暗い未来描いちゃダメ」

「でも結婚するって色々財産のこととか過去のこととかクリアにしとかなきゃいけないことあるでしょ」

「まあ、あるけどさ、半年くらいはあちこち行ったりして楽しく暮らさない?なるべくオマエに譲歩するから」

「まあそうよね、いつ死ぬかわからないんだから、楽しいこと考えよか、どこ行こっかな・・・・」

「赤坂のマンションはホテル代わりに残しておこうと思ってるから、東京に高級な焼き鳥食べにもいけるよ」

「ありがと、で、海辺のマンションはどういう使い方するの?」

「マリンスポーツの基地みたいにして、あとは温泉入る、で食事と寝るのはここ」

「独身寮ですか、ここは」

「いえ、新居ですオレとオマエの」

「じゃ、リフォームしようかな、ベランダもう少し広くしたいし、キッチンとテーブルを一体化したいし・・・・庭にキウイとぶどうの棚も・・・・・」

「どんどんやれ、好きな風にすればいい、金なら出してやっから」

「ほ~ら、やっぱり裏金持ってんだ~」

「還付金で~す」


部屋にいつも一人だから静かだったけど、会話が響くのってなんかいいなあ~と藍子は思った



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