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未亡人元ホストを大臣にする  作者: 夢丸力丸


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6/10

6 偶然と必然とあと何か・・・・

「藍子さん、知ってます?」

「何を?」電話でカイ君が急いで何かを伝えようとしていた

「僕の先輩で地元の商工会議所に勤めてる人が今度立候補することになったんすよ」

「それはグッドチャンスじゃない、すぐ行って手伝いなさい」

「ええ~え、そこにつながるんすか」

「明日またご飯食べに来る?」

「はい」「じゃ、その時に詳しく聞かせてね、明日は和食だから」

・・・・・・・・・・・・・・・・

「これはOJTっていってね オンザジョブトレーニング。つまり現場で経験しながら学んでいくって訓練なの、いいじゃない、選挙のイロハが分かるいいチャンスよ、

もしその先輩が当選したなら、もっといいわよね、あなたの道しるべになるし・・・」

「そうだけど・・・ところで今日のこれとってもおいしい!なんて料理ですか?」

「ああ、これ銀鱈の西京漬け、おいしいよね。また取り寄せるわ」

「えっわざわざ、取り寄せてくれてるんすか、ありがとうござっす」

「いいのよ、私も食べたかったから、・・・そういえばこないだのセミナーどうだった?」

「なんかみんな僕と同年代なのにしっかりしてて、将来の目標があってかっこいいなって思ったっす」

「よかった、それだけでも得てくれれば、わたしゃ嬉しいよ~かわいい子には旅させよっていうけどこういうことだよね~」

「友達とかできた? 名刺交換したんでしょ?」

「ああ、そうだ忘れるとこだった。なんか人に会ったんですが、長い名前の人、

えっと名刺がどこかに・・・これだ・この人知ってますか?」

名刺に 南城寺進一郎と長い名前があった。藍子の顔がさっと変わった

「え~・・・・この人なんか言ってた?」

「えっと、君朝日町に住んでるでしょって、○○藍子さんって人知らない?って言われて・・・」

「それで?」

「ダチですって言ったら、この名刺渡されて、僕独身になったって言っといてって」

「そう、うふふ」

「何かヤバかったですか? 返事出さないでバックレます?」

「ううん、いいのよ、あの人私のこと覚えてくれたんだ」

「誰なの?その人?」

「ふふふ、私の元カレ、仕事仲間だった人」

「えっ、そうなんすか?よかったですか、藍子さんのことしゃべっちゃって」

「いいのいいの、でもいきなり電話は恥ずかしいからメール送っとくわ」

「恥ずかしい?藍子さんが?」

「そうよ、私だって恥ずかしいことはあるわよ」

「つきあったんっすか?」

「あるけど、食事と飲みに行くだけのね。深い関係にはならなかったな、お互い大事に思いすぎたのかな・・・

社会人になって、そろそろ結婚って時期にね・・・私海外赴任が決まって・・・彼は独立した直後で忙しくて、私は結婚はいつでもできるけど、海外勤務は今だけのチャンスだからって・・・・それっきり、お互いタイミングが合わなくて・・・結婚してもいい人だったんだけど・・」

「だけど?」

「彼は誰にでも優しいからモテたのよ、で結局彼は別の人と結婚して・・・でもモテて、婚外子を作っちゃって修羅場だったらしいの、結果私はあの人と結婚しなくて正解だったわけ」

「へ~どうしたのそれから?」

「さあ~どうしたのかしらね、今度聞いてみるわ」


藍子はメールを書いた

「ひさしぶり」

「舎弟から名刺をもらいメールしてます。元気ですか?今何してるの?

私は今年初めに夫を亡くし子供もいないのでひとりで朝日町の高原住宅に住んでいます。どうぞ遊びに来てください」


すると返事がすぐきた

「Re:おひさしぶり」

「なつかしいね、僕は東京で金融関係の仕事をしてたんだけど、縁あって議員の金庫番みたいな仕事から秘書になって、ボスが政界引退してからは、フリーの評論家とかライターとかいろいろやってて、先日のセミナーも裏方スタッフで参加だったんだけど名簿見たらオマエの住所があったんで舎弟に名刺渡したってわけ。今週金曜日行ってもいい?」

会話はいつの間にかメールでなく電話に変わっていた


彼が「オマエ」と言った瞬間に時間はあの時にプレイバックし、二人の間に垣根はなく、若い頃の私と彼になっていた。


「いいわよ、どうぞお待ちしています。わかりにくいので住所をナビに入れて、それでも迷ったら電話して。何が好物だったっけ?ご飯作って待ってるから」


「何でもいいよ、好き嫌いはないから、東京でほしい土産ある?」

「ある、タップスのチョコレートケーキ! 覚えてる?あなた学生時代ここでバイトしたから、その関係でよくケーキを買ってくれたじゃない・・・覚えてないか・?

それから私ものすごくおばあさんになっているから 幻滅しないでね。あの時のイメージじゃないから」

「わかった、僕だって額が後退してるぜ、じゃ金曜な」


・・・・・・・・・・・・・・

昔好きだった彼と30年ぶりの再会か・・・うれしいような恥ずかしいような、でもいくつになってもトキメキはやってくるのね   

仏壇の遺影に向かってつぶやいた「ねえ神様が悲しんでいる私にプレセントくれたの。

もしかしてあなたが天国で神様に頼んでくれたのかしら、ありがとう、同衾しちゃうかもしれないけど、それ以上しないから安心して」

藍子はそう言って当日を迎えた・・・・・


テーブルにグラスが二つ、その横にサラダとパスタ、乾杯のワインの中に相手の瞳が映る。

「久しぶり、30年ぶりくらい?」

「ええ、そうね、こうしてデートするのは45年ぶりかな」

「また会えてうれしいよ」

「私も、時を超えてあの頃にすぐ戻れる感じがする、しない?」

「ああ、オマエのあの時の・・・その・・・なんだいろいろをね」

「なにそれ、じゃ一番何を覚えているか言ってみて、私のことで?」

「う~ん・・・・、特に出てこない」

「え~何それ、ひど~い」 二人は笑いあって、語り合って懐かしい時を過ごした


「オレ今夜泊まってっていいんだよな」

「だって、帰れないじゃない今からなんて、お酒飲んでるし」

「いや、そういうことじゃなくて、オレちゃんとベッドで寝かしてくれるのかってこと」

「床でいいんなら、どこでも・・」

「だ・か・ら・・・」

「ははは、ウソウソ。あの時できなかった同衾、なんと50年の時を超えて今夜、実現しま~す」ちょっと酔いを借りて藍子がグラスを高く上げて宣言する

・・・・・・・・・・

「こうして隣で寝るなんて初めてだよね」

「そうか?」

「あれ、ひどい誰と間違えてんの?」

「うそうそ・・・そういえばダンナはなんで亡くなったの? これ聞いていい話?」

「うん、癌でねこの一年入退院を繰り返していたの、最後に入院した時に先生から今回は退院できないでしょうって言われて、それからほぼ意識が朦朧として、生きながらえてたって様子だったんだけど・・・だから一年一人暮らしが続いて、とっくに覚悟はできてたの・・・でもまだ散骨はしないで、私が死んだら一緒に海に撒いてもらおうかと思って・・・・」

「そうか、まだ辛い?それとも立ち直った?」

「うん。今、立ち直った・・・・・」そういうと胸に顔をうずめた

「こんなに長く待って叶う夢ってあるんだね」

「ねえ、オレたち一緒に住まない?」

「えっ、何言ってんの?私まだホヤホヤの未亡人なんですけど・・・」

「だって、立ち直ったんだよな、今オマエそう言ったから・・・・」

「はあ。でもそんな一緒に住むって言っても・・・いろいろ事情があるでしょお互い・・」


「何が障害なの?あの子?舎弟さん」

「そうね、今私はあの子を町議に立候補させて当選させるべく育成してるの」

「なんでさ、汚い世界だぜ、政界はどこでもさ」

「知ってる、ゆくゆくは大臣になれって洗脳してるけど、別に大臣になってほしいわけじゃないの、そのプロセスで色々経験して自覚してちゃんとした大人になってほしいだけなの、本当は」

「じゃ、東京においでよ、で一緒に住もうよ、舎弟君はオレの顔がきくからどこかの国会議員の書生にでも私設秘書にでもしてあげられるし・・・」

「ううん、だめそんな近道させちゃ、まだ早いし、私も東京には戻りたくない」

「そうか、オレもまだ仕事が片付いてないしな・・」

「そういえば金庫番って誰の?」

「昔三役だったベテラン議員」

「じゃ、あなた30億の機密費をくすねたり、千代田区のワンルームマンションに

受け皿団体作って政府から補助金ガンガンせしめたり、相当悪いことしてたのね」

「やけに詳しいね」

「私も若いころ、長老派の第2秘書と飲み友達だったから」

「へえ~そうなの。どこ区?」

「関西」

「じゃ、東京の愛人にされそうになったとか?」

「やめてよ、でもそれよりもっと危険な事態になったんで、縁を切ったの」

「何があった?」

あなたのキャリアがストレートフラッシュなら、私はロイヤルストレートフラッシュよ」

「で、なにさ」

「その親族が総理大臣になっちゃってさ」

「いいじゃない、テッペンなんだからそれこそ30億に触れる距離じゃん」

「ばかね、公安のリストに載ったら消せないのよ、短命政権だってわかってたしね、その議員も死んだし、その秘書の子も政界に行かないでIT企業に行ったし」

「オレんとこも、甥が後継いだタイミングで金庫番は引退、永田町とも縁を切ったんだ」

「でも、裏金は少しいただいたんでしょ」

「いや、慰謝料とかいろいろ物入りが続いてね、ほとんどないよ」

「でもヤバイ話知ってるから命狙われるんじゃないの」

「いや、命狙われるならもっとヤバいやつが上にいるから」

「そうなの、じゃ私も安全かしら・・・」

「もちろん、オレが守るし・・・」


「あら、ありがと、ねえリタイアは考えてないの?」

「そろそろとは思ってるけど・・・そうだな・・・じゃ、ここと2拠点生活するか」

「それじゃなんか別宅の愛人みたいでヤダわ」

「じゃ、間の土地探す?」

「大体何をするのリアタイアしたら・・・」

「そうだな、オレは海の近くに住んで毎日海に出てたいな」

「そういえば、クルーザー持ってたんじゃない?」

「う~ん、そんな時もあったけど、今は温泉の方がいいかな」

「それなら明日海岸のリゾートマンション見に行く?温泉付きよ」

「いいね、で、オマエは何をしたいの、舎弟育成のほかに?」

「今している家庭菜園とか続けたいから庭があればいいかな」

「じゃ、こういう感じかな?毎日おじいさんは海へおばあさんは畑にでて夜は一緒にご飯をたべ、一緒に布団に入って寝ました、めでたしめでたし‥って感じ」

「そうね、でもそのおじいさん、他のおばあさんと仲良くなるの早いから心配だわ」

「もうそんなさかりついてないよ」

「で、結局子供は何人いるの、あなた」

「息子ひとり、実子。36で孫もひとり、元嫁は病気で死んだ」

「婚外子は?」

「なんで知ってるの?母と子は再婚して幸せに暮らしている」

「風の噂でね、遺産で揉めるのはやだから・・」

「金はないけど不動産があちこちにあるな・・・」

「それに家族じゃないと病室に入れないというから婚姻関係は結んだほうがいいかもしれない」

「えっオレ、なんの病気になるんだ?」

「う~ん、なんにしよ・・・」

「何それ・・」

「ふふふ・・・続きは明日はなそ」

藍子は寄り添って男の胸に手を置き、眠りについた


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