5 恋と野望とあと何か・・・
今日はカイ君と農協のふたりで藍子が作ったラザニアを食べている
「こないだの反響はどうだった?」
「びっくり、おおむね好評でした」と農協くん
「おばちゃんたちも写真皆に見せたりして噂が広まって、次はいつだってみんなに聞かれました」
「うちも電話で問い合わせが増えたんで、上司がびっくりで、新聞コラム見て理解してくれて、ファイルの商品化の他に何かグッズを出そうかという話も出てます」
とカイ君
「それはよかったね、カイ君自信ついた?」
「う~んまだ・・・でもなんとなく流れはわかったので・・」
「そう、こういうことなのよ」
「こういうって?どういう?」
「周りの小さな問題を解決できなきゃ大きな問題なんか解決できっこないってことよ」
「そうか」
「そういえばカイはちょっと大きな問題抱えてるんだよな」と農協君
「あら、なに?」
「う~ん、まだ具体的な話じゃないんだけど・・・」
「こいつ彼女がいるんですけど、それがライバルの葬儀社の娘で婿に来いと言われてるんですよ」とあっさり農協君が説明する
「あら、そうだったの?いつから?」
「いつからって、同級生だから昔からなんとなく付き合っていたけど・・・でも今回のこと新聞に載ったら向こうのお父さんが急に跡取りの話始めちゃって・・・」
「カイ君は結婚する意志はあるの?」
「う~ん、あるような、ないような・・・でもまだそんな自信ないし・・・」
「そっか、人はラベリングに弱いから」
「えっ、どういうことですか?」と農協君
「つまり、彼女のお父さんは元ホストに娘はやれんがマスコミに取り上げられるような実績がある奴には娘をおくりだしてもいい・・ってことでしょ」
「そうか」
「で、そこを継ぐか、恩ある会社は辞められないしの2択で悩んでるんだ」
「まあ、オレの会社は安い家族葬を売りにしてるから、路線が違うし・・・」
「ふ~む、それは思案のしどころね」
「そういえば、農協ってイチゴ栽培を押してるけど菊の方が楽で需要も安定してない?」
「そうなんです、温暖化で作る作物も変わっていくので研究中なんですけど・・・」
「なんでオレの話から花の話になるのさ」カイ君がちょっと不服そう
「農協君はどんな部署にいるの?」
「総合企画部って言って、これからの農協をどうしていくかを考える部署です」
「じゃあ、ちょうどいいわ、いい考えがあるの」そういうと例の3本指で頭を抱えてしばしうつむいて考え事をはじめた。
「ちょっと、いい考えが降りてきそう・・・・」
2人はラザニアを食べ終えデザートのゼリーを食べていた
「うん。これできまり、三方よし、ウィンウィンってことよ」と藍子が思いついた
「何が降りてきたんすか?」
「そうね、カイ君は彼女の葬儀社を継ぐ必要はなくなり、でも彼女とは結婚できる、しかもカイ君はそのまま今の会社にとどまれる、彼女のお父さんは葬儀社を存続できる、そして農協君は出世ができるかも・・・という妙案を思いついたのよ」
「ちょっと藍子さんもったいぶらないで・・・」
「ちょっとお茶入れようか、コーヒー?紅茶何がいい?ケーキは今日はチョコだよ」
藍子が考えたアイディアとは・・・・・
「あのね、農協には現在自前の斎場がないでしょ、そこで彼女の父が経営する葬儀場を丸々買い取ってJAの傘下に置くのよ。幸い農協君はそれを上層部に進言できる立場にあるので話が通りやすい・・・どう、農協君、新しく作るよりずっと安くできるし・・・」
「そうですね、建設の話はあるんですけどやはりお金の問題で滞っていたんですよ」
「どう、カイ君、彼女に話してみる?」
「でも、まず彼女の親に相談ですかね」
「ところで彼女は今何をしてるの?何かやりたいことってあるのかな?結婚したら専業主婦でいいのかな・・・」
「何かな~、今は会社の事務を手伝ってるみたいだけど・・将来の話はまだしてないかな・・・何がしたいとかあんまり話したことないかも・・・」
「そういう関心がないのは良くないよ、結婚生活は徐々に配偶者に関心がなくなるんだけどそれ離婚の原因になるかも、ちゃんと将来設計を話し合わないとダメだね、そういういえば・・・農協君は彼女いるの?」
「えっ僕ですか、いません」突然話を振られてびっくりの農協君
「それもよくないね・・、今度婚活パーティーイベントでも考えよっか」
「相変わらず藍子さんはいろいろアイディアがでてきますよね」
「うん、創造力はいつも鍛えてる方、自分で言うのもなんだけど。あのね人生60年も生きてくると思うんだ、人生に大切なモノはお金と健康と創造力だってね」
「そうなんすか」
「うん、たとえばお金がない時、よくニュースで盗んだり人殺したりして金盗むやつ。
でもね、創造力があれば、もっといろんな選択肢があるのがわかるんだよ。
人に借りる、バイトする、何かを手伝う、今ならネットがあるから何でもできるよね。
この終活講座だって創造力の固まりだったでしょ。ただの座学でなく、もっと何かユニークなイベントって考えたから、できたわけじゃない?それはふたりもわかってきたし創造力がついてきたと思うよ」
「なるほど・・・でもこの件もそうだけどうまくいかないことだってあるでしょ、そんな時はどうするんですか?」
「そしたらその時に創造力で別の解決策を考えるのよ。絶対何某かの道はあるもんだよ」
「そうですか」
「だから今回のことは、まずカイ君と農協くんが一緒に父親に打診してみる、それがいい感触だったら農協君が上部に伺ってみる。ダメなときはまた一から考える。こういうことは時間が立てば考えも変わるから、一度で諦めないこと・・かな」
「ふ~ん、ところでこのケーキうまいっすね」
「でしょ、東京からくる友達に頼んで買ってきてもらったの。そうだ、今度カイ君が
東京行ったら買ってきて東京駅の地下にあるから・・」
「えっオレ東京行く用事ないっすけど・・」
「あるのよ。これ」と言ってパンフをとってくる
「夢中塾がやっている次世代リーダー養成セミナー、行ってらっしゃい、お金は振り込んだから・・ 来週の月曜日、確か仕事休みだったわよね」
「え~また強引な、藍子さん僕デートかもしれないのに・・・」
「じゃ、一緒に東京行ってくれば、ホテル代出してあげるよ」
「いいな~」農協君がうらやむ
「はあ~なんかいいような辛いような・・・藍子さんに弄ばれてる、オレ?」
「いいじゃない今だけ、今だけよ、もう強制しないから今回だけ行ってよ、人脈が広がるかもしれないしさ」
「じゃ、デートコースも考えてくださいよ」
「童貞か!」




