表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/31

24 諦めてね

 

 俺は、ただただ無心に歩いていた。


 足音だけが響く。


「諦めてね」


 彩芽の言葉が何度も脳裏をよぎる。


 その言葉を聞いたとき、一瞬、やっぱりそうだよなと感じてしまった。


 俺は、きっと最初から変えられないことが分かってたのかもしれない。


 だけど。


 彩芽がいない世界で生きていける自信がない。


 それでも、諦めることが、彩芽のためなのだろうか。




 立ち止まって、空を見上げた。


 夕暮れの空が、朱に染まっていた。


「どうすればよかったんだろうな」


 問いかけても、答えは返ってこない。


 ただ胸の奥に残るのは、彩芽の笑顔と、そしてあの冷たい眼差し。


 希望と絶望が交錯する。


 俺の気持ちは、ずっと彩芽に届いていなかったのだろうか。


 俺の独りよがりだったということか。


 俺が、彩芽に生きろと押し付けていたのか。


 俺は、もうどうしたらいい。


 分からない。


 分からない。


 彩芽、助けて。


 こんな時ですら、彩芽の名前が出てきてしまうことに溜め息が出る。


 俺は歩みを止めたまま、拳を握り締めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ