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24 諦めてね
俺は、ただただ無心に歩いていた。
足音だけが響く。
「諦めてね」
彩芽の言葉が何度も脳裏をよぎる。
その言葉を聞いたとき、一瞬、やっぱりそうだよなと感じてしまった。
俺は、きっと最初から変えられないことが分かってたのかもしれない。
だけど。
彩芽がいない世界で生きていける自信がない。
それでも、諦めることが、彩芽のためなのだろうか。
立ち止まって、空を見上げた。
夕暮れの空が、朱に染まっていた。
「どうすればよかったんだろうな」
問いかけても、答えは返ってこない。
ただ胸の奥に残るのは、彩芽の笑顔と、そしてあの冷たい眼差し。
希望と絶望が交錯する。
俺の気持ちは、ずっと彩芽に届いていなかったのだろうか。
俺の独りよがりだったということか。
俺が、彩芽に生きろと押し付けていたのか。
俺は、もうどうしたらいい。
分からない。
分からない。
彩芽、助けて。
こんな時ですら、彩芽の名前が出てきてしまうことに溜め息が出る。
俺は歩みを止めたまま、拳を握り締めた。




