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第5話 友達はSSR!

 保健の先生は気を利かせて、席を外してくれた。


「真穂ちゃん、実在してたんだ」

「文枝ちゃんこそ」


 なんだろう。

 一週間ずっと顔を見続けていたせいか、ずっと友達だったような気がする。

 ガチャで最初に出たのと同じ印象ですぐにでも仲良く出来そうな。

 話によると、真穂ちゃんのスマホにも同じく『学校、行こうぜ!』が入っていてSSRで私ばっかり引いたそうだ。そして、すぐに仲良くなれそうだと思ったらしい。それはそれで、なんだか恥ずかしい。

 だけど、お互いにいい印象を持っていたと知ったら、ほっとした。

 この学校に来て初めて安心した気がする。

 それから、私は真穂ちゃんが同じく不登校だったことを知った。私が引っ越してくるずっと前からだ。


「小学生の頃ね。頭良さそうな顔してるのに成績悪いんだってからかわれて、そこからなんだか学校、行けなくなっちゃって。みんなにそういう目で見られてるのかと思ったら、怖くなって。おかしい、よね」

「いやいや、私なんか引っ越してすぐ友達出来なかったってだけで学校来なくなったし」


 真穂ちゃんとはすごく話しやすかった。


「頭良さそうなのにって、そんなのこっちの勝手だよね。そういうキャラだって決めつけてくるやつなんてろくでもないに決まってるよ」


 あはは、と真穂ちゃんが笑う。


「あのとき、文枝ちゃんがいてくれたらよかったのに」

「大丈夫」


 私は自分も不登校で友達もいないようなヤツだってことを忘れて、ガシッと肩をつかんでしまった。

 だって、だってさ。

 私だって同じことを思っていたから。

 だから、この言葉は自分に言ったのかもしれない。


「これからなら、一緒にいるから」


 真穂ちゃんは一瞬ぽかんとして、


「うん! ありがとう」


 にっこり笑って頷いた。




 ◇ ◇ ◇




「よかった。よかったぁ」


 お母さんは私が保健室登校とはいえ、学校に行ったことに喜んで泣いていた。

 行っても行かなくてもいい、なんて態度を取ってくれていたお母さん。だけど、本当はすごく心配してくれてたみたい。

 だから、ちゃんと伝えておいた。


「お母さんが離婚したせいじゃないからね」


 お母さんは私を抱きしめて泣いていた。

 伝えてよかったと思った。

 そんなの、不登校してるときに言えるわけない。

 行けたからこそ、言えたんだ。




 ◇ ◇ ◇




 あの後スマホを見たら『学校、行こうぜ!』のアプリは消去した覚えはないのに、消えてなくなっていた。

 真穂ちゃんに聞いても同じく消えていたと言っていた。

 結局アレはなんだったんだろう。

 勝手に入って、勝手に消えて。

 でも、アレのおかげで私たちは本当に出会えた。

 よくわからないけど、感謝している。

 スタートダッシュキャンペーンなんかやっていてくれたこともw

 そして、私たちはしばらく二人で保健室登校をしてからあることを決めた。

 教室に行くこと、だ。

 さすがに二人のクラスは違っていた。

 真穂ちゃんと離ればなれになるのは、正直辛い。

 だけど、


「大丈夫、だよね」

「………うん」

「授業終わったら、またいっぱい話そうね」

「もちろんだよ」


 私たちは顔を見合わせて頷いて、一緒に足を踏み出した。

 二人だから大丈夫。

 なにしろ、私たちはお互いにSSR。

 最強の二人なんだから!

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