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空はずっと、綺麗なまま

作者: 瑞木歌乃

家族が憎いわけじゃない。ただ、俺の学力が足りなかっただけ。俺に、余裕がなかっただけなんだ。

『違うよ。』

自分を責め続ける俺を否定してくれたのは、君だった。


上野陽太。高校一年生。偏差値六十二の俺は今年、偏差値四十の東高等学校に入学した。



1 別れと出会い


 もう何度目か分からない空を、いつの間にか見上げていた。無意識の内に習慣になっているらしい。空はいつ眺めても、少しずつ違うから飽きない。

 東高等学校、略して東高の門の前。通り過ぎる陽気な生徒たちに気圧された俺は、意味もなく空を見上げていた。

 背中を叩いて一緒に門を潜ってくれる友達も、この学校にはいない。

 一人で勝手に虚しくなっていたところ、朝の予鈴が鳴った。

 初日早々に遅刻は良くないため、仕方なく一人で門を潜り流れる生徒たちに紛れて自分のクラスを確認する。

 ――一年一組

 なんと理不尽なのだろう。この学校は一年だけで六クラスあり、六組だけがはみ出しているため六組だけ階が一つ下なのだ。そのため俺の一組や、他の二組~五組は最上階である四階に位置している。

 初日なのに何故か少し重いリュックを背負いながら四階を目指すのは、かなりハードで『一年一組』というプレートを認識する頃には、もう息はあがっていた。

 早くリュックを下ろしたいという一心で、俺は緊張という感情など忘れていた。そのため俺が教室に入ると一組の生徒たちは友達を作って盛り上がっている、という光景が広がっていたときはかなり焦った。

 ――完全に出遅れた。

門の前で空を仰いでいたからだ。俺が反省して顔を歪めていると、

「お前が上野?」

 と低くて明るい声がした。

「俺はお前の前の席の、伊藤圭だ。以後、お見知りおきを。」

 そう言って突き出された大きい手を、俺はとりあえず握る。

「えっと。俺はお前が言った通り上野陽太だ。呼び名は上野でも陽太でも何でも。よろしくな。伊藤。」

 俺のダサい挨拶を、物珍しそうに最後まで聞いてくれた伊藤に手を振った俺は、とりあえず自分の席に着いて周りを見渡す。

 左隣には(確か)佐原遥という名前の女子が座っていて、後ろの席の名前の分からない女子と、親しげに話していた。その名前の分からない女子は、俺からしたら、美人が第一印象だった。まあ、あまり人を顔で印象付けるのも良くない話なのだが。

「下倉って美人だよな~。」

 いつの間にか目の前に座っていた伊藤に目を丸くしながら、

「下倉?」

 と質問する。

「下倉#優里。今佐原と話してる、上野の左斜め後ろの女子だよ。」

 どうやらさっき俺が美人だと思ったのは、伊藤と同中の下倉という人らしい。伊藤によると下倉は、美人且つ社交的で、中学の時もモテていたそうだ。美人と同じクラスでラッキー、と思う程俺も#諄__くど__#いような男ではないため、そんな超人もいるのかと思う程度だった。


   **


 私は頭を抱えていた。

「あ!文芸部は?」

 ハルこと佐原遥は尋ねた。

「文芸部って、絵描いたりおしゃべりするだけでしょ?なんか部活っぽくないじゃん。」

 そう、一度きりの高校生活。部活だけは間違えてはならないのだ。

 でもまぁ文芸部は日数が少なめだし、放課後の時間が毎日部活で埋まる心配もない。そのため適度に友達と遊びに行ったりでき、高校生活のすべてを部活にそそぐ必要もないだろう。文芸部ねぇ…実はなかなか良いかも…?


2 初めましての君


「知ってる?前にやったテスト、順位出るんだって!マジ終わったよ。」

 もう当たり前に話しかけてくれる伊藤に、

「テストどうだった?伊藤勉強苦手らしいけど…?」

 と質問返しをする。満面の笑みで堂々と頷く伊藤に、俺は思わず笑ってしまう。

「あんた絶対モテないでしょ!」

 俺は、クラスに響いた高い声の主を一瞥する。喧騒の中、大声で男子と話しているのは水野美愛。いわゆる陽キャ。クラスの中心的な女子だ。

 俺はそのような陽キャが苦手だ。特に女子。だが一人くらいは大丈夫な女子だっている。下倉。下倉優里だ。下倉は水野等とすぐに打ち解け、たまに話すことで度々目立っている。だが、俺が以前下倉と話すと、陽キャというより社交的という印象の方が強かったのを覚えている。

 そんな喧騒も、授業が始まると静まり返るのだった。

 翌日、テストの順位が発表された。クラス三十人での順位なため、自分の偏差値より下の東高では、一位を取れると思っていた。だがそれも、俺の思い上がりだったようだ。意外なことに俺は、クラスでも学年でも二位だったのだ。一位は、下倉優里だった。

 後日俺は、ある情報を伊藤から聞きつけた。

「下倉頭良いのに、親友ってだけの理由で佐原についてきたらしいよ。」

 まさか。まさか自分と同じような状況の人がいるとは。俺はなぜだか、下倉に対して親近感が湧いた。

 放課後、俺は急いでいた。本屋に寄るという大事な用事を忘れていたからだ。もうすぐ週末だ。本が切れる。急がなけれ――

「ゴンッ!」

 大きな音が廊下に鳴り響いた。それと同時に、頭に痛みが走った。

「いたた…。ごめんなさ…って、上野君!?」

 下倉だった。

「ごめん下倉。急いでて前見てなかったよ。大丈夫?」

 よく見ると、下倉の物であろう本が…。いや、参考書か、が廊下に散らばってしまっていた。

『頭が悪くてもお金稼げます!』

 変わった参考書を読んでいるとも思ったが、何より、下倉は頭がいいはずだ。

「なんで?下倉本当は頭良いんだろ?なんでこんな参考書なんか…。」

 悪癖だと思う。俺は、考えるより先に口が動いてしまっていた。

「あはは…。何処からそんな情報…。いや、私両親に楽とかさせてあげたくて、でも高校がこんなところじゃ、ねぇ?」

 偉い、と思った。俺なんて、自分のせいにするだけで、両親のことなんて考えていなかったから。下倉、凄いな。そんなシンプルな感想の裏で、俺の心の中の何かが揺れ動いた。

「えっと、どうし――」

「下倉。お願いがある。」

 俺はもう、心に決めてしまっていた。

「俺に、勉強を教えてくれないか。」


   **


 よし、文芸部にしよう。

「ハル、私文芸部に決めた。」

「なんで?最初は嫌だって言ってたじゃん。いいの?」

「放課後の時間が毎日潰れるわけじゃないし、何より部活中も基本自由じゃん?」

「そうだね。じゃあ私も文芸部にする!はいじゃあ決まりー!」

 私たちは、部活申込書に『文芸部』と書き、大きな一歩を踏み出した。


3 死にたい過去


 私が最初に「死にたい」と思ったのは、私が小学四年生の後期くらい。きっかけは、友達関係とか親のこととか。始めは、「やばい、死にたいって思っちゃった」って、いけないことだって思って焦った。

 とにかく辛くて辛くて、匿名で悩みを相談できるチャットアプリをスマホに入れた。

 そしてそのアプリで、私の人生を九十度くらい変える、えみと知り合った。えみは本当の名前か分からないけど同い年で、私と同じく悩みを抱えた女の子。いわゆるネットの友達、ネッ友。周りの友達には言えないことや話せないことを、あの頃はたくさん相談していて、えみとはどんどん仲良くなっていった。

 でも、私が小学五年生の一月に入ったくらいから、えみが「私のいいところ、ないよね」とか言ったり、深夜にチャットが届いたり、様子がおかしくなった。

 そして一月十七日。えみと連絡が途切れた。屋上から心臓を投げて、自殺、したらしい…。本当のことかは分からない。だって〝ネットだけの関係〟だから。でもそこで私の〝人生〟が、「死にたい」から「消えたい」に変わっていった。

 小学六年生になって、その頃一番仲の良かった友達が私の様子に気付いてくれて、保健の先生を通してスクールカウンセラーの桜木さんと繋がっていった。私は月に一回、桜木さんと話すようになった。でも、桜木さんにも、誰に何も相談できなかった。えみは、私が悩んでいることをすべて相談したせいで自分を追い詰めて、自殺しちゃったのだと思ったから。

 誰にも相談できないという苦しい〝ハンデ〟に加え、いつしか私は誰にも心配をかけないように、明るく振る舞うようになっていた。ほぼ無感情の自分を隠して、毎日『明るい自分』をテーマとして演じていると本当の自分すらも分からなくなっていく。本当の私は、何が好きだったのだろうか…。ついには本当の自分も消え、〝私〟が『明るい自分』に染まっていく。そうか、私は明るいのか――。

 それから一年ほど経った頃、小学六年生の一月。心を許せたハルに、えみのことも全部話せたのだ。私にとっては凄く大きな進歩だ。

 まぁ高校一年生の今も、私の〝人生〟は「消えたい」ままなんだけれど。

 いい加減人生に疲れる。こんな価値のない人生なら、正直どうなったっていいなんて思ってしまうのも#日常茶飯事__にちじょうさはんじ__#。

 私は今日も、気さくで明るい〝嘘の仮面〟をつけて登校するのだった。


4 知らない一面と嘘の仮面


「やっぱり優里ちゃんは面白いね~!」

 高くて可愛い声でそう話すのは、#早川美麗__はやかわみれい__#ちゃん。クラスの男子、伊藤圭と付き合っているという華奢な女の子だ。美麗ちゃんとはこの文芸部で知り合ったが、美麗ちゃんの存在は前から知っていた。理由は二つ。

 まず一つ目。私は圭と同じ中学、同中で、圭に彼女がいることは前から知っていた。その彼女の名前が美麗というのも。

 そして二つ目。本人は知らない(薄々気づいているかも)だろうが、高校に入ってすぐ「三組の早川美麗。めっちゃ可愛くて社交的、まぁ女子の前だけだが。らしいぞ。俺も見に行ったんだけど、男慣れしてなさそうな感じが逆に良い!」なんていう、男子たちによる噂が流れたのだ。その後も「誰々が早川美麗に告白した」だの、常に男子たちの話題の中には美麗ちゃん。男子たちが話しているのが聞こえたことがあるが、それも納得できてしまうほど美麗ちゃんは可愛い。

 実は、恥ずかしいことに私のことも噂していることが聞こえてきたことがあったが、それも一度きり。それにクラスの男子だけだ。〝噂〟の規模を実際に体験しているからこそ、本当に美麗ちゃんはすごいと思う。

 部活が一緒ということから、美麗ちゃんとはたまに話すようになった。普段は他の女子と話している美麗ちゃんが、たまに私たちの元にやって来て話してくれる。普段は話さない相手と話すのは、実に楽しいこと。それに話していても分かるが、美麗ちゃんは社交的だ。相手を自然に褒めるし、話題もスラスラと出てくる。話している方も「気まずい」と思うことはまずないし、なにより楽だ。美麗ちゃんが言うことは本当に面白いから愛想笑いをする必要もないし、言葉を返しやすいから疲れない。私として美麗ちゃんは憧れの存在だ。

「そういえば優里ちゃん。好きな人とかいないのっ?」

「…はい?」

 私は久しく好きな人というものをつくっていない。そのことを美麗ちゃんに伝えると、

「えぇーっ!優里ちゃん可愛いのに、そんなのもったいないよー!」

 正直、「もったいない」は言われると思った。そりゃあ彼氏がいてみんなにモテて可愛くて、いわゆる「リア充」の美麗ちゃんからしたら、勿体ないかもね。

 おっといけない。またやってしまった。美麗ちゃんだって自分のことを好きになれないような子かもしれないのに。私はすぐ、幸せそうな人を見ると妬ましく思ってしまう。自分の短所だと思う。

「ごめんっ!」

 つい口に出てしまった謝罪の言葉を、

「なんでユリ謝ってるのー?」

 と、ハルがフォローしてくれた。ハル、ありがとう。私とハルは仲良しだ。喧嘩なんてありえないような。そう、ありえなかったのだ。


   ***


 勉強会と言っても、毎日一時間だけ。でも下倉は教えるのが上手なのか、内容がよく頭に入ってくるし、言っていること一つひとつがタメになる。下倉の長所だと思う。

「上野君って、私の言葉をすぐに理解して吸収して、上野君の長所だと思うよ。」

「え。」

 下倉はエスパーだ。前に国語の教師が体調を悪くしていることに一瞬で気がついて、その教師の荷物を職員室まで運んでいた。あとは一日でクラス全員の名前を、下の名前含め覚えたことなど。

 この一時間だけの勉強会は、俺が知らない下倉の一面も知ることができるある。

「この前、点字ブロックの上にあった、大量の自転車を退かしてたら――」

 優しい一面。

「自転車をドミノみたいに倒しちゃって――」

 おっちょこちょいで少し天然な一面。

「その日はずっと落ち込んでた…。」

 意外と少しだけ引っ込み思案な一面。今日もたくさん知らない一面を知れた。


   **


「上野君、そんなにニコニコしながら話聞いてくるの、なんだか意外!」

「…俺そんなにニヤけてた?」

 友達関係で悩んでいても、上野君と話していると不思議と忘れられる。

 私は言った。

「上野君って可愛いところもあるんだね!また意外な一面が知れて嬉しいよ!」

「えっ!?」

 戸惑いと恥らいの混ざった表情。うん、やっぱり可愛い!

 でももう#黄昏__たそがれ__#。少し寂しいけど帰らなくてはならない。私たちは、いつも使っている図書館を後にする。

 上野君と別れてスマホをチェック。

「あっ…」

 思わず声に出た。ハルからのメールが十二件も。でも今は、返信できない。

 私は最近、ハルと喧嘩した。

 ハルはその日、私に隠れて泣いていた。体調が悪くて困っていたらしい。でも誰にも言えなくて…。え?私は?私に相談してくれないの?私はなんでもハルに相談して頼ってきたのに。私だけ一方的に頼って、馬鹿みたい。

「そっか。辛かったね。私に言ってくれればいいのに!」

 私はその日は、本心ではない優しい言葉だけかけて怒りを隠すことに成功した。

「遥、今日学校休むって。」

 クラスメイトから聞いた。ハルからではなく。私の中で、何かが切れる音がした――。

『ハル、私そんなに頼りない?親友じゃなかったの?私だけハルに頼って、片想い?馬鹿みたい。』

 私は送ってはならないひとことを、送信してしまった――。

 覚悟してメールを開いた。

『やっぱり私は納得いかない!』

『親友だからこそ話せないこと、ユリはないの?』

『ユリは平気かもしれないけど、私は親友でも言い辛いことあるし…。』

『なんでユリと同じって思われてんの?』

 そこでスマホを閉じた。上手く、息が吸えない。このままじゃ、既読スルーでまた何か言われる。

「優里ー!」

 我に返った。遠くから聞こえた声を辿るとそこには、クラスメイトの美愛と、他校の女子たちがいた。私は気持ちを切り替え、#笑顔__うそのかめん__#を装着して美愛に駆け寄る。

「偶然だね。どうしたのー?」

 できるだけ明るく。

「優里聞いてー!今度この子たちの高校で、ダンス発表すんだってー!でも二人足りなくて私ともう一人入んなきゃなの!優里可愛いし、入るよねっ?」

 美愛はウインクした。圧をかけるように。他の女子三人も、期待の目で私の言葉を待っている。嫌だ。まず私可愛くないし、ましてや他校でダンスなんて、正直凄く、嫌、だ。

「あー。いいよ!一緒に頑張ろっ!みんなお名前教えてー?」

 あぁ…。どんどん気持ちと言葉が離れていく…。

「優里ちゃんやっさしー!あたし杏菜。」

「ユリリンでいい?私は香凛だよ。」

 もう嫌…。なんかもう、いいや…。

「ユリリン!あたし春乃よ!春乃だからハルって呼んでいいよ!」

 ハル…?

「…ハルちゃん。」

 私はこれが、精一杯だった。

 笑えていたかな…?家に帰るといつも思うこと。私は悲しいくらいに上手く笑えていた。演技が上手くなっていた。演技が上手いってことは、隠せている。隠せているってことは、誰にも、気づいてもらえないということ。そんな悲惨な事実を突きつけられて、私は独りぼっちで泣いていた。


   ***


「それで今度、ダンスのセンター。助っ人なんだしなんでセンター!?って感じ!」

 楽しそうに話す下倉。彼女と話しながらの勉強会は、少しも苦ではなかった。むしろ楽しいくらいに。毎日続けられる理由は此処にあると思う。

 こんなに長所で沢山の彼女が、どうして俺と話してくれるのか、という疑問も、彼女の社交的という長所から納得できてしまう。

「俺と話してくれるのって、やっぱ下倉が社交的だから?」

 確かめたかった。

「えっ!?しゃっ社交的!?」

 自覚がないのだろうか。

「うん。」

「はは…。じゃあ、そういうことで…。」

 …?

 俺には、彼女の瞳の奥が少しだけ「寂しい」と訴えかける色で染まっているように見えた。


   **


 久しぶりの部活。ハルはいなかった。学校には来ていたから、きっと部活のみを休んだのだろう。

「今日は遥ちゃんが部活休み?残念だね。」

 私が独りだったから、それを可哀想に思って相手をしてくれているのだろう。でもそんな感情は見て取れないから、美麗ちゃんは本当に心が綺麗で優しいのかもしれない。本当は優しくなんてないのに「優しい」と言われて周りから高評価を得ている、詐欺な私とは違う。美麗ちゃんは本当に、完璧なんだな…。私って、いいところあるかな…。私だけのいいところって、私が一番のことって、何…?あれ。もしかしてえるも、こんな孤独と絶望を味わって、命を捨てたのかな…。そっか。私はえるの孤独を、消してあげることすらできなかったんだ。ごめんね…。

「あはは…。そうだね…。」

 私は初めて、美麗ちゃんに愛想笑いを向けた。今はとてもじゃないけど本当の笑顔は絞り出せなかった。凄くすごく、心が弱って泣きそうだったから。


5 途切れた信頼


 #青天__せいてん__#の#霹靂__へきれき__#。その悲劇は突然起きた。

「下倉が倒れたって。」

 今日は金曜日。そう、平日だ。それなのに下倉は今日、学校を休んだ。なぜだろう。答えはとっくに出ているのに、俺はその噂から逃げていた。

 放課後。今日は勉強会はなしか。…意味もなく下倉と交換したメールを思い出した。

『今日どうしたの?』

 入力してみた。うーん。

『今日大丈夫?どうしたの?』

 この文面にしよう。俺は勇気をふり絞って送信ボタンを押した。

 ピコン。え、早いな。

『ごめん。今日勉強会、お預け…(汗)』

 どうやら同時送信だったらしい。ピコン。

『ちょっとお腹痛くてさ。月曜には頑張って元気になって、復活します!』

 嘘、だな。俺の、なんの根拠もない勘が言った。そして俺は覚悟して送った。

『本当は何で倒れたの?熱中症?』

『あ、そうそう。ごめん、心配かけたくなくて。本当は熱中症!』

 …。昨日のあの寂しそうな瞳、間違いではなかったかもしれない。

『本当は精神的に疲れてたとか?もしそうなら、遠慮せず相談するといいよ。一人で溜めこむのは良くないし。相談するのは誰でもいい!俺でもいいし、あとは佐原とか!』

 柄でもないビックリマークをつけて送信。

 …しまったか?送信してから四分、なにも返信がないことに俺は怯えていた。ピコン。

『もし精神を病んだら、上野君は頼りにならないからハルに頼るとするよ(笑)ありがとう。』

 ひとまずホッとした。地雷を踏んでしまったかと思ってヒヤヒヤした。

 俺は、あることを思い出した。明日から休日だというのに、本を教室に置いてきてしまった。まだ門の前だからセーフ。

 生徒の点々とした流れに逆らって向かった教室は、少し怖いくらいに静まり返っていた。早く本を取って帰ろう。

 ――ガラッ。

「「えっ?」」

 声が重なる。そこには、涙を一筋流した佐原がいた。なんで泣いているのだろう。聞くべきだろうか。でも、目が合ったのに何も言わないのも変だから、

「どうした?」

 と聞いた。何が、とは言わずに。

「いや、ちょっとさ…。ユリと喧嘩しちゃって…。そのユリが倒れたって聞いて…。もう、私のせいじゃん…。ユリ…ずっと…一人で…抱えて…う…うぅ……」

 け、喧嘩…?俺さっき、下倉になんて送った…?

「ごめん。勢いで話しちゃって。こんな話、知るかって感――」

「下倉今どこにいんの!?」

 俺は必死だった。本来の用件なんて机の中に置いて、とにかく走った。

 下倉はどんな気持ちで、俺が送ってしまったあの文面を四分間見ていたのだろう。きっと凄く、悲しくて寂しくて…。それなのに俺は…何も知らずに…!

 俺は走った。走って走って、転びそうになっても走り続けた。そしてやっと、佇む病院を認識できた。早く。俺が傷つけてしまった、彼女の元へ――


   **


 お腹にハサミを向ける。ハサミの鋭い先端が光った。手が震える。どうして…。どうして…?私って、死ぬことすらできないほど無能だったのか。なんだか自分の惨めさを思い知らされた気がして、急に泣けてくる。誰もいない静かな病室に、私の嗚咽だけが響いていた。

「下倉っ!!!」

 えっ。なんで…。ドアのところに、今までに見たことのないくらい焦りと悲しさを抱えた顔の上野君がいた。肩で息をしている。

「下倉、ハサミ置いて?」

 今にも泣きそうな優しい声を合図に、ハサミと私の涙が零れ落ちる。

「うぅ…ぁあっ…」

 なんだかやるせない気持ちになり、取り乱していた私に、

「話をしよう。」

 と、傍に優しく寄ってくれる上野君。

「私ね、ずっと自分のことが嫌いだった。私なんて死んじゃえーって思うことなんて、日常茶飯事で。」

 そんな言葉を始めに、私は自分の過去をいつのまにか全部話していた。

「うん…。」

 #相槌__あいづち__#をうってくれる優しい心が、嬉しかった。私のために必死になってくれるその心が、嬉しかった。

「ストレスによる呼吸困難だって。私が倒れた理由。私、ハルと喧嘩しちゃって……。」

 言葉を区切ってもう一息。

「上野君、親友って、本当の親友って何かな…?」

 上野君は少し考えて、こう言った。

「親友であることに定義なんてないんじゃないかな。ただその人のことをが好きって思えたら――」

 上野君の言葉は、一度途切れた。私は上野君が、誰か大切な友人を思い浮かべているのだと、勝手に解釈した。上野君は続けた。

「強いて言うなら、#羞恥心__しゅうちしん__#も気にせず何でも相談し合える関係…?」

 羞恥心なく、相談し合える…。

 上野君は、

「ごめん。急だったからまぁまぁ適当…。」

 とでも言いたげな表情で、わたしが考えるのを黙って見守ってくれている。

 私にとっては、凄く心強くて正しい答えだと思ったのだが。

「そっか、ありがとう。月曜日、学校でまた。」

「また。」

 今は、その「また。」ですら嬉しい。

 一人になって静かになった。私は深く、考えた。そうか。たしかになんでも相談できるえるを、私は本当の親友だと思っていた。

 分かり合えたらいいな。君が教えてくれた、親友というものを――。いつかハルとも分かり合えたらいいな。いつかハルと、本当の親友になれたらいいな。

「なれるかな…?」

 一人で呟いた言葉に、

「私もなりたい。ユリと、本当の親友に――」

 ハルの優しい声が、聞こえた気がした。


6 もう一度、見上げる空


 月曜日の朝。私は緊張していた。「ハルと本当の友達になれるかな…。」って心配しているわけじゃない。ハルを信じているから。じゃあどうしてか。それは、上野君と久しぶりに会うから。久しぶりと言っても、二日だけしかあいていない。けど!あんな泣いているみっともない姿を見られて…。よく考えるとめっちゃ恥ずかしい!

 登校してしまった…。まずはハルとの和解。ハル、大丈夫だよね…?架空のハルにそんなことを問いかけていると、私がよく知っている特徴的な髪型をした後ろ姿を見つけた。

「ハルっ!」

 私は叫んだ。ハルの、束ねられた髪の毛がふわりと揺れ、ハルの目が私の瞳を捉える。

「ゆっユリ…!」

 ハルは私に抱き着いてくれた。あぁ、なんか安心…。

「ユリ、凄く会いたかった。本当にごめん…!」

「私もだよ。凄く会いたくてたまらなかった。あとさ、ハルは全然悪くないからね?私がもっと、頼りやすくておおらかで優しかったら――」

「違う!ユリ、私が内気なせいだよ。私だって悩み事隠されたら嫌なのに。親友なのにごめっ――」

「親友…?親友かぁ…。ごめんハル。私たち〝まだ〟親友じゃないよ。羞恥心なくなんでも相談し合えるのが本当の親友だと、私は思う。でも私とハルは、私が一方的に相談するだけで…なんかでもそれって凄く悲しい。私だけがハルを想ってて、片想いしてるみたいで…。」

「ユリ…。私、ごめっ――」

 私はハルをもう一度、強く抱きしめた。

「謝るの禁止…!謝られても嬉しくないもん。せめてさ、感謝してよね。ありがとうは嬉しいからさ。それに「喧嘩するほど仲がいい」なんて言葉もあるほど、この世にはたくさん喧嘩する親友がいるんだよ。」

「うん…!ユリ、本当にありがとう。やっぱりユリは優しい。ありがとう、いつも優しくしてくれて。」

「私だって。私短所しかないけど、ハルっていう親友がいるってことが、唯一の長所…っ!」

 全くの本心だった。私にはハルしか、佐原遥しかいないと確信したのだ。

「そんな風に言ってくれて、やっぱりユリは優しいよ。私もユリが親友なことが、凄く誇らしい…っ!」

 そんなかけがえのない会話をしながら教室に入った私たち。上野君は確かに私に、優しく笑いかけてくれた。

 窓の向こうの穏やかな空はどこか、微笑んでいるように見えた。


 今日は仲直り&本当の親友になれた記念に、二人でどこかに出掛けることに決まった。

「私屋外がいい!」

 ハル相手だと、自分の意見を率直に言える。

「いいね。それなら私は遊園地とかフラワーパークとかアリだと思う!」

 ハルも率先して自分の意見を言ってくれる。本当に凄く良いことだ。

 話し合いの末、フラワーパークに行くことになった。フラワーパークにはさまざまな種類の花があるため、大の花好きの私には名案だ。さすがハル!

 私たちの家の近所には、空が綺麗な今の季節と最高にマッチするフラワーパークがある。そんな素敵なフラワーパークに、私たちは電車で向かった。

 電車に乗っている間の私は、「楽しみ!」という感情で埋まっていて、ハルの問いかけに返答が遅れるほどだった。

 …綺麗。それがフラワーパークに着いて最初に思った簡潔な感想だった。

 見渡す限り一面に咲き誇る花たちが、あまりに美しすぎて私は思わず絶句していた。やっぱり私は花が大好きだ。堂々と咲く花も、控えめに咲く花も。

 そのなかで、一際目を惹かれた花があった。向日葵だ。向日葵の名の由来は確か、花が太陽の方向を追うように動くことからだったか。前から向日葵は好きだったが、やはり実際に見てみるとより一層美しく見える。特に私は、向日葵の花言葉が好きだった。向日葵自体は『憧れ』、『あなただけを見つめる』、『情熱』というなんとも使いづらい言葉選びになっているが、向日葵は本数で違う意味を持っているのだ。一本が『一目惚れ』。七本が『密かな愛』。十一本が『最愛』。九十九本が『永遠の愛』、『ずっと一緒にいよう』。百八本が『結婚しよう』。そして九百九十九本が『何度生まれ変わってもあなたを愛す』。

 こんなにバリエーションがある中で、私は向日葵が三本の花言葉が大好きだった。花言葉は――


7 繋がる信頼


 どうやら下倉と佐原は、仲直りができたみたいだ。途切れた糸が繋がったように、二人が毎日一緒にいるのを知っている。とても微笑ましいことだ。

 今日も、当たり前のようにある勉強会。

「よし。私は友達関係の問題を乗り越えたわけだが、上野君!次は君の番だよ?」

 …はい?俺は別に、友達関係の方は良好なのだが。

「上野君、悩みがあるだろう?悩みと言っても…例えば嫌だったこととか辛かったこととか!」

 心当たりはあった。でもそれは、決して辛いことではなかったため、俺は押し黙ってしまっていた。

「ほら、心当たりがあるでしょう?どんな些細なことでもいいから、言ってくれない…?私はもっと、上野君のことを知りたいよ。」

 下倉になら、言ってもいいと思えた。

「うち、お金がないから家から近いって理由でこの高校選んだんだ。本当の俺の偏差値よりも低い。でも、家族が憎いわけじゃない。ただ、俺の学力足りなかっただけ。俺に、余裕がなかっただけなんだ。余裕があればアルバイトだってできたはず。」

「違うよ。」

「…え?」

「絶対に違う。こっちから聞いといていきなり言うのも気が引けるけど、私は上野君の意見に反対します。逆に聞くけど、上野君がバイトしたところで解決できるような問題だったの?」

「それは…。」

「たかが高校生の上野君に、自分を責める権利なんてありません!」

 俺は呆然としていた。まさか、こんなにも真正面から否定してくれる子がいるとは。それに言い分だって、少しは納得してしまった。

「そんな戸惑った顔して、可愛っ!」

 彼女は笑った。そしてもう一言。俺には絶対に断れない約束を。

「もう、そんな暗い思考して。そんな上野君にお誘いです!ダンス明日だから、良かったら、良かったらだよ?…見に来てねっ…!」

 はにかみながら言う彼女に、俺はすっかり見惚れていた。

 今日は火曜日。でも、普通の火曜日より断然緊張する火曜日だ。口から心臓が出そうとは、こういうことなのか。だが、女子高じゃないだけ十倍マシだ。

 ダンスの会場である明達高等学校、略して明高の門を潜る。なぜか東高の入学初日を思い出す。…緊張しすぎだ。このままでは下倉に悟られてからかわれそうだから、一旦落ち着こう。

 会場は体育館らしい。確かに人の大群が、一か所に吸い込まれていくように集まっていく。人が吸い込まれる先には、体育館があった。

 あと一分で始まるらしい。男子一人で女子のダンスを見に来る人はなかなかいないらしく、まるで俺は変質者。困ったものだ。

 「ビー」

 体育館が一瞬で静寂に包まれると共に、ステージの幕が上がった。ステージの上には、少し恥ずかしそうに顔を赤らめる下倉の姿があった。衣装がフリフリのアイドルのようなものだったからだろうか。俺まで顔が熱くなっていたのは。

 俺は門の前で下倉を待っていた。

「あっ!…見に来てくれたんだ…。」

 明らかに恥ずかしそうに言う彼女を、俺は可愛いと思ってしまった。

「う、うん。えっと、ダンス上手だったよ。センターだからかなり目立ってたけど。」

「悪目立ちしてたとか言わないでっ!」

「いや言ってないよ?」

 彼女と話していると、俺は自然と笑っている。彼女の話術は魔法みたいでなんだか不思議だ。


   **


 あぁ恥ずかしい…。男の子の前でダンスを披露するのなんて初めてだし、ましてや何百人の前でなんて…。でも美愛たちには喜んでもらえたし、いいとしよう。

 でも実は、もう一つ問題があることを忘れていた。

「あのさ上野君。明日会えませんかっ?」

 私の勇気を振り絞った言葉…。

「今日じゃなくて、明日…?」

 確認するような上野君に、必死で頷く。

「俺はいいよ。」

「やった!」

 おっと。思わず声に出てしまった。顔をしかめている私に、笑いかけてくれる上野君。その笑顔のお陰で、私は笑顔を取り戻せた。上野君の笑顔は、魔法みたいでなんだか不思議!


8 独りぼっちじゃない笑顔


 祝日のため学校はお休みの今日、水曜日。今日は私にとって勝負の日。鏡を見て前髪を整え、私はあるものを持って家を出た。

 待ち合わせ場所である駅の時計台。時計を見ると、十分も早く着いてしまったことが分かった。

「早く着きすぎた~…。」

「なんか張り切ってる?」

「ひゃっ!」

 急に後ろから上野君の声が聞こえ、変な声をあげてしまった。

「ははっ。驚きすぎ。」

 い、いや、ははじゃないのですが?

「上野君!びっくりしたじゃん!」

 頬を膨らませながら言うと、上野君はまた笑った。なんか私の言葉でこんなにころころ笑ってくれるの、嬉しいな。

「てか、今日ってほんとにどうしたの?昨日誘う時、なんか緊張してたみたいだけど。」

 なんで上野君って、こういう時に限って勘が鋭いのだろう。どうしよう、なんて言えばいいのだろう。もう、思い切って言っちゃえ!

「実は今日、上野君に渡したいものがあるの!」

「渡したいもの?なんだろう。」

 私は、月曜日に買った向日葵の花束を渡した。

「えっ!向日葵っ?」

 どうしよう。お気に召さなかったかな。もしかして、花嫌いだったとか…?

「俺向日葵大好きなんだ!」

 …!嘘…。嬉しい…!

「向日葵って花言葉とかも素敵だから、よく調べてたんだよね~。え、俺が向日葵好きなこと知ってた?」

「いや、全然知らなかった!私も向日葵が、花言葉含めて大好きだから、う、嬉しいよ…。えっと、その…。」

 私が渡した向日葵は、三本だった。もし上野君が、三本の向日葵の花言葉を知っていたら…。そう思うと、信じられないくらい鼓動の音がうるさかった。

「下倉ってもしかして、向日葵の本数の花言葉とかって…知ってたりする?」

「えっ…?」

 もしかして上野君、知っているのかな…!?私は息を呑んで答えた。

「知ってるよ。」

 上野君の顔が、勢いよく薄紅色に染まっていくのが分かった。

「下倉。三本の向日葵の花言葉って、確か…。『愛の告白』…だったのは気のせいか!ごめん!やっぱなんでも――」

「そうだよ。『愛の告白』。す、素敵だよね!」

 私の顔は噴火寸前だった。よし!頑張れ下倉優里!あと少しだ!

「私、ずっと決めてたの。大切な人ができたら、必ずその人に三本の向日葵を渡すって。だから私その……上野君のことが、す、すk――」

「待って。その続きは俺に言わせて?俺も一応男だからさ。下倉、いや優里。俺、ずっと前から優里のことが――」

 二人で肩を並べて歩く。私の中の辞書の『幸せ』が更新された。

 今日は天気に恵まれていて、空はどこまでも青く澄み渡っている。

「陽太君、見て!今日は空が綺麗ですねー!」

「なにそれ。月の空バージョン?」

 「今夜は月が綺麗ですね」の裏の意味が「愛しています」なのは有名だけれど、「ずっと月は綺麗ですよ」の意味は有名ではない。これは私も最近知った。

「そうかも。でも本当に綺麗だよ。」

「いや、空はずっと綺麗だよ。いつ見ても。」

 意味は、「わたしもあなたのことがずっと好きでしたよ」。上野君が、その意味を知りながら言ったのかは分からない。でも私は、上野君に優しく笑いかけておいた。


エピローグ


 陽太君やハルが、今日も幸せでありますように――。大切な人が幸せなら、私も幸せであれるから。今日も、一つだけささやかな願い事を捧げてから登校する。

 今日は、委員会決めがある。私たちは二年生になり、学年が更新されたからだ。私は柄でもなく、学級委員に立候補するつもりだ。また新しい経験をするために。新しい一歩を踏み出すために。

 学級委員は、立候補者が複数いた場合その場で立候補者全員が演説をする。そしてクラス全員がいいと思った人に投票するという決め方をするのだ。これがまた、緊張の原因だ。でも、大丈夫――。私は独りじゃない。あの頃みたいに、孤独じゃない。

 私は意味もなく、空を仰ぐ。こうしていると、不思議と落ち着くから。空の下という共通点が、私たちにはある。そう、だから空を見ると、独りぼっちじゃない気がして安心するのだ。――強くなろう。

 見上げた空の向こう側に、私の大好きな陽太君の笑顔が、見えた気がした。


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