強くなりたい
もっと強く…自分なりに
「ツルギさんとロウさん無事かな…」
そんなことを考えてる時…
「ハルキ!!!」
ツルギさんが真っ先に駆け寄ってくる。
ロウさんはゆっくりと相変わらず歩いてるが
「ハルキ!!生きててくれてありがとう…俺、俺、」
いつもケラケラと笑ってるのに泣いてるツルギさん
「僕は…僕もティアさんも無事ですよ」
僕はニコリと笑う
「ありがとうございます、助けに来てくれて」
ツルギさんはまだ泣いている
「おい、ツルギ泣いてる暇ねーぞ、2人とも歩け無さそうだからかついで帰るぞ」
「…おう、そうだな」
僕ら4人は無事に生還した。
ティアさんいわく、僕も最初に所属しティアさんが所属してたギルドアルヌは密売をしていたらしい。
どうやらティアさんはギルドを抜け出したくて、でも抜けさせて貰えないので密売のことを冒険者協会に言うと言って無理やり抜けたらしい。
そしたら、口封じのために暗殺されるところだったということだ。
「ティアさん、なんでギルドを抜け出そうと思ったの?だって、あそこそこそこお金貰えるじゃん」
「あなたのことが心配だったから…」
「え?」
「またね」
にっこり笑って去るティアさん。僕のことが心配?ん?もしかして僕のため?
「あ!僕がポンコツだからか!納得!」
「ははっ、鈍いなーハルキ」
「馬鹿だろ」
「えぇ!?」
何故かツルギさんに笑われロウさんに罵倒された。
わけわかめ
その日の夜。
ツルギさんに呼ばれ過去の話を聞いた
だからあんなに泣いてたんだ。
辛かっただろうに…。
僕も思わず涙を流してしまった。ツルギさんは「お前がないてどーする!!笑」と笑って背中に優しくぽんと手を置く。
僕だったらきっと心が折れて、罪悪感に見舞われて、何もしなかったか、自殺してたかもしれない。
そう思うと、やっぱりツルギさんは強くて優しいなと思うし、それは家族の支えもあったんだろうなと思った。
「だから俺は絶対人を死なせたくない守りたい」
そんなツルギさんがかっこよかった。
僕から見たら悲惨だ。そんな過去を背負いながらも笑いながら必死に守ってるツルギさん。
それと比べて情けない、諦めてばかりで自分から逃げている自分。
変わりたいと心底思わせてくれたツルギさん。
確かにツルギさんが兄弟をなくしたときのように、どんだけ特訓しても努力が必ず実るとは限らない。でも諦めてしまえばゼロだ。
努力しなければ、夢を叶える可能性はゼロなんだ。
僕もツルギさんのようになりたい。そう強く願った。
次の日
願ってるだけじゃダメだ、そうだ!ロウさんに体術を教えてもらおう!!
「ロウさん!!!」
「ん?なんだよ」
「敵の攻撃を避けるすべを教えて下さい!!!」
「…。なんのためにそれを身につけたいんだ?」
ロウさんは聞く
真剣な顔つきだ
ゴクリ…
「この間ティアさんを守る時、僕は飛び出すことしか出来ませんでした。
その時、助けてくれた少年がいたんですが…」
僕は前日にあった事件で助かった経緯を話した。
「自分も守れないくせに、他人を守れないなんて無理だ」
この少年の言葉がずっと心に引っかかっていた。
「ある少年に言われた言葉がずっと心に刺さってて。僕は自己回復魔法が使えない。なら使えないなりに敵の攻撃を回避する必要性があると思うんです。
僕はヒーラーです。みんなを回復しないといけないのに僕が潰れたら元もこもないじゃないですか!
僕は、いや、僕もみんなを守りたい!そのためには僕自身を守る必要があると思うんです!」
一時の間が空いた
ゴクリ…。
緊張が走る。
「俺は教えられねぇ」
愕然とした。やっぱりロウさんは自由が好きだから手間なことしたくないよね。いや、僕がポンコツだからかもしれない。のろいし…。
「顔を上げろ、俺は教えるのが苦手だ。だから見て学べ、実践で学べ、俺が相手になってやるから」
「ロウさん!!!ありがとうございます!!」
そして僕の特訓の日々が始まることになった。
「いやーあのツルギが泣くなんてねー!」
「多分優しい方なんですよ」
「うんうん、ロウとの特訓も楽しみだね!」
「そだね!!頑張らなきゃ!」