信じるということ
信じるって何なんだろう…
そんなこんなでツルギさんとロウさん僕以外最強メンツと言ってもいい2人とダンジョンに行くことになった
「俺タウリス倒しに行く」
まーた勝手に決めてるよこの人
「タウリスかー…敵が固くてロウが一旦諦めたヤツだろ?珍しく笑」
「飽きたんだ、長引くのは嫌い」
「でも、タウリスって大型の…」
僕は正直怖かった。いや、だって最初のダンジョンでは死にかけ、ほかのダンジョンも自分をヒールできないくせに敵視ばかりとるし、ズタボロだし…まぁ、ロウさん来てからズタボロは少し減ったけどタウリスって上級じゃなかったっけ?確か二足歩行で3m位はあったはず。そしてかなり硬い。攻撃は確か大ぶりで斧を持ってたはずだが、一撃一撃が重かったはず。
「ははっ!そんな縮こまるなよ!俺がいる!安心しろ!俺が守る!」
「ツルギさん!!!!」
あぁ、男の僕でも惚れそうだ。
「えっと確かそのタウリスまで行くには…」
「うん!小型モンスターも倒しながら中型モンスター10体だね!」
にこやかに言うツルギさん。
「雑魚はどうでもいいんだよ」
それまでの道中をなんとも思ってなさそうなロウさん
あぁ、ほんと大丈夫なのか?僕で…
前の世界でも、この世界でも上手くいってない僕が…
ほんとに自分を信じれなくてそんな自分が嫌で。
情けない
僕の不安を他所にサクサクと倒して進んでいく2人
さすが余裕そうだ
中ボスもタンクのツルギさんの腕がすごくいいせいかダメージも稼げてる
ほぼみんな無傷
僕以外
「お前さー、なんでそんないつもモンスターに狙われてんの?」
ロウさんが聞く
いやそれこっちが聞きたいわ!
「女の子に好かれるよりモンスターに好かれてるのかもねー笑」
ケラケラと笑うツルギさん
女の子に好かれたいですよ!?
「だいたいお前は身のこなしがなってないんだよ、ひゅってやってひょってやってなーくるっと…」
ちょ、ちょっとワカンナイ
ロウさん感覚派だからなー
「ロウそれじゃ分かんねーよw」
キョトンとするロウさん
「なんでわかんねーのかわかんねー」
「相変わらずだなーロウも笑」
なんかお兄さんと弟みたいだ
何とか目標のタウリスのところまで辿り着いた。
多分2人は何とかとかおもってないんだろうけど!!
僕だけだろうけど!!!
自信満々の2人がすごく羨ましくキラキラして見えた。
ごくん…
これが鋼鉄の牛という名を持つタウリス
怖い…足が震える…。
鋭い眼光が死を感じさせ禍々しい雰囲気を出している。
ほんとに生きて帰れるのか?
「行くぞ」
ロウさんは相変わらずせっかちだ
でも何故か目がギラギラしてる
「いっちょやりますか!笑」
この人たち怖くないのかよ…
ガシャンガシャンガシャン
扉を開け中に入ると扉が一気にしまった。
BOSS級となるとそうなる
って僕転移石持ってくんの忘れたーーーー
ノーーーーーーン
「僕…オワタ」
「はぁ?転移石どうせまた忘れたんだろ、んな事で泣くな」
「ははっ!言うてる間に近づいてるよー!」
このふたりは僕の弱さを知らないんだ、何も出来ない、人をヒールしかできない自分のことをヒールできないポンコツだってことを
「おぉー重いねー笑」
「は、かってーな!でもなてめぇのために武器作り直してきたんだよな!んでもって新技も」
僕は必死でヒールする。さすがにこの相手となると2人でも難しそうだ。
だけど2人は笑ってる。
「頭おかしいよ、もう、イノチカカッテルンダヨ」
僕が強ければ2人のように楽しめてたのか、
ぼーっと考えてたら
「危ない!!」
え?
大きな赤く染った岩が降ってきた相手の攻撃だ
ドカーン
「うっ…」
静かに目を開けると
「はぁ、はぁ、大丈夫かい?」
そこには酷い火傷に血だらけになってるツルギさんがいた
「ツルギさん、僕…」
僕がぼーっとしてたから…ヒーラーなのに…人の命がかかってるのに責任が重い仕事なのに…僕が…僕が…僕が…
「大丈夫、俺が守る」
なんて情けない
僕は体力の回復はできても、やけどは…
「おい!こっちは俺がやっとくからよハルキ!お前は少しは自分を信じろ」
「信じろって…」
確かにロウさんのおかげでレベルも上がった魔力も上がったでも、でも…
«俺が守る»
そうだ、僕が守らなくてどうするんだ、ヒーラーだろ?助けるんだ!できなくても沢山魔導書を今まで読んで勉強してきた。成功してくれ!!!お願い頼む!!
「リウレ」
青い光が放たれる
すると、目の前にいた痛々しい傷だらけのツルギさんの傷が消えていった
「ハルキ!!やるやん!ありがとな!」
「ツルギさん、僕、僕…」
ツルギは少し微笑み頭を撫で腰を上げた
「ロウサンキュ、もう大丈夫だ!ハルキやるな!後方支援ハルキ頼む」
「はい!!!」
「んだから言ったろ、信じろって。お前が勉強してたの知ってるし、夜遅くまで呪文唱えてたのも知ってるうるさかったけど」
うわぁぁぁぁぁあ知られてたーそしてごめんなさーーーい
2人のおかげで僕はひとつ成長した。
今まで成功したことがないから、ずっと現実から目を背けてきたから、自分のことを信じれなかったから。
でも、2人のおかげで、信じることの大切さを知った。
2人のために役に立ちたい
ぐぉぉぉぉおぉお
何とか3人でBOSSを倒し帰還した。
僕はツルギさんに背負われてる自己治癒できないためボロボロだったからだ
「大丈夫?」
「あ、ティアさん」
「治してあげる」
あたたかい光が僕の体を包む。
僕もこんなふうになれたらいいのに、いやになるんだ。
「ティアさんなんでここに?」
「噂を聞いて心配で…」
「ぼくのために?」
こくりと頷くティアさん
「いいねー、いい感じだねー笑」
「興味ねぇ」
茶化すツルギさんと、いつも通りのロウさん。
「ちょっと茶化さないでください!」
僕は恥ずかしくなった。
ティアさんはクスリと笑い去ってしまった
あ、お礼言い忘れた。
「なぁ、ハルキくんだっけ?俺も仲間に入れてくれ正式に」
へ?
なんでこんな僕なんかの仲間に?
嬉しい半分疑問だった。だって強いじゃん。いくらでもツルギさんを欲しがってるギルドいるじゃん
「お前に頼んでんだからお前が決めろ」
ロウさんは言う
「僕なんかでよければ…」
「僕なんかじゃない!ハルキがいいんだ」
嬉しかった、すごく嬉しかった。でもなぜ気にいられたのかは分からない
「今度俺の話してあげるよ」
小声で言うツルギさん
なんの話しだろう?そう思いながら家に帰った。
今日はロウさんも疲れてるみたいだし呪文はやめとくか
僕は寝床につき目を閉じた。
次の日事件が起こるとも知らずに
「事件ってなんだろうね!?気になるね!?」
「いや、僕は平穏にいきたいです」
「君勇者志望だっだろー、そんなこと言ってたら…」
「よくその口で言えるな!!!!?ポンコツなヒーラーにしたのは誰だーーーー!!」
モフモフされるロコ様であった。