頼ること
ロウが変わろうとしてる理由とは?
ーロウsideー
「まだまだだな…」
「ん?何がです?」
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俺はハルキとの特訓が終わったあと、色んなギルドに人数合わせとして入っていた。
まぁ、だから忙しかったんだが。
もちろん俺が強い噂を知ってるから、入れてはくれるんだけど
実は、ハルキにツルギが過去の話をしてたのを影で聞いてた。
たまたまだけどな。
ツルギにも戦うことに対しての意味があり
ハルキが特訓するために言った言葉も俺の中で引っかかってた。
俺はなんのために戦ってるんだろう。
ツルギやハルキのように守るためじゃなかった
ただ、自由のため。
そう、誰かの為じゃなくて自分が生きていくためだけだった。
でもあいつらといると、変わらなければいけないと思った。
色んなギルドに参加してるとやっぱりパーティーによって戦い方が違い、ソロでやってきた俺からするとかなり戦いづらい。
俺の勝手な行動で人が危険な目にあうことも学んでしまった。
今まで3人で上手くいってたのは、2人が俺に合わせてくれてたからかもしれねぇ
情けなかった。それと同時に、変わりたいと思ってしまった。義務とかじゃなく、心から変わりたいと。
まーそういうわけで、色んなチームに入り、俺は人の行動を見て、次どうするか。この場合引けばいいのかとかを学んだわけだ。
それでまー、エミ?とか言うやつも加わったことだし、チームワークが必要な高難易度クエストを受けた訳だが
まだまだ、俺が周りのことを見れてないことに気付かされた。エミに対する敵の攻撃を弾いてはいたが、ほかまで頭が回らなかった。
そして最初に戻る訳だが…
「まだまだだな…」
「ん?何がです?」
「いや、エミへ向けての攻撃を弾くのでさえ精一杯だったし、自分のダメージ稼ぎが上手くいってねぇーし…。俺ってマジで周りのヤツらのこと見えてないんだなって。」
「んー…。正直僕はロウさんがどこを目指しているのか分かりませんが、自分一人で背負う必要性はないと思いますよ?
あのとき、ロウさんに今は頼むってお願いしたじゃないですか!エミさんのことは守り抜いたじゃないですか!今までのロウさんだったら、誰かしら死んでたかもしれない。僕は人のヒールしか出来ない。でもそれを悪く思ってません!これで命を繋いでるのは変わりないから。
ツルギさんもエミさんも、そしてもちろんロウさんもみんなの命を繋いでる。何一つ欠けてはいけないと思うんです。
1人でみんなを守るんじゃないんです。みんなでみんなをそれぞれの役割で守るんだと思いますよ笑」
初めてよく分からない感情に襲われた。
今まで1人で背負い込んできた。何もかも。誰も頼らずに。
多分俺は俺しか信じれなかったんだと思う。
他人を信じられなかったんだと思う。
信頼して任せれる仲間がいるというのは、なんだか心地よかった。
「人を信じるのも悪くねぇな」
まだアイツらのように人のためにとかは思えねぇーけど、俺はあいつらを信じたいと思った。
ハルキみたいにお節介野郎じゃないからな!
大切な人だけ、守れればいい。今はそれでいい。
そう思った。
小さい頃の自分が言う。
「ひとりじゃないんだよ、もういいんだよ」
俺は初めて1人っきりだけど泣いたかもしれねぇ
ぬぐえなかった孤独感が消えていった気がした。
「大切な人を守れる力が欲しい」
夜空の星を見ながら呟いた。
昔ならこんなこと言わなかった。
誰一人として欠けちゃいけない。
みんなでみんなを守る。
本当にハルキらしいなと笑ってしまった。
「みんなでか…」
ずっと一人だったから、正直、どの様にすればいいかもわかんねぇーし、信じ方もわかんねぇ、一人の方が死んでも自己責任だし、邪魔もねぇーから、周りも考えなくていいから楽ではある。
だけど、何故かわかんねぇーが俺は、ハルキの言葉に惹かれしまっている自分がいた。
「はいはーい!ロウってね本当に放浪人なんだよね!あと一匹狼ってことでロウって名前なんだよ!しってた???」