初めての連携プレイ
エミが加わって初めての高難易度4体討伐
果たしてどうなるのか?
「…んま、こういう訳でしてエミさんがチームに入ることになりましたー」
僕はツルギさんとロウさんに事情を説明し、2人からの了承も得たのでエミさんも含めダンジョンに行くことが決定した。
もちろんエミさんの過去の話はしなかった。
ずっと心の中で1人で抱えてきた話だから。そんなに簡単に話せない。
あ!言い忘れてたけどティアさんも無事にギルドから抜け出してきて、今は一緒に住んでいる。彼女は一時休息のためにダンジョンには潜らないんだけどね!
その代わりに家で料理を振舞ってくれるからほんと、可愛いなぁまじ最高って感じ。
メイド服着せたい…なんてとても言えません!!
「んじゃ、ダンジョンに行くか久々に、エミを入れたこのメンツで」
そうロウさんは言って、颯爽と冒険者協会に行き、まーもちろん僕は1番遅く着きましたが…みんなはやい…
てか、エミさんに至っては転移魔法使ってるし…
「はぁ…やっと着いたよ…」
「階層はどこまで行くかい?」
ツルギさん楽しそうだし、てか息も上がってないし、てかなんか話しはじまってるし!?
「んー、この戦闘力だとかなり下まで行けるかと」
相変わらず冷静なエミさん
「そうだなー…んじゃ、このクエストにするか、大型モンスター4体討伐」
「久々でこれ?ロウ笑」
「チームワークが必要ですわね。でも、チームワークもクソもないですわ、このグループ」
「てめぇーは黙っとけ!!俺が行きたいから行くんだ」
「荒っぽい人…」
あーあー本当にロウさんとエミさんってば!!
ツルギさんは止めないで笑ってるし
もー…
「僕も力を試したいのでこれをしましょう」
「あなたが言うなら…」
「いいぜー!」
「俺はこれしか行かん」
何とか丸く納まった…はぁ…
本当にこんなんで、しかも高難易度クエストとか書いてあるしいけんのか?てか、誰もやりたがらないから残ってんじゃないの???
怖くないの??
なんで、そんなに飄々としてられんの!?
「じゃあティアさん行ってきますね!」
ティアさんは、相変わらず優しい。ダンジョンの前まで来てくれた。
「はい!これみなさんのお弁当です」
「さすがティアさん!ありがとう!」
ペコッと会釈するエミさん。
相変わらず、ぶっきらぼうに受け取るロウさん。
ツルギさんも大きく手を振っている。
なんかこういうとこで性格って出るよね。と改めて思ってしまった。
こうやって初めての4体討伐に行くことになった。
しかも高難易度の!!!!
ボスの部屋に入ると、相変わらずガシャンと扉が閉められる。
ひぃ!!!第一印象クソでかい悪魔。
鋭く尖った歯が、ギラリと見える。
漆黒の悪魔。爪も尖っており、当たると死にそう…。それが4体もいるとか…。
今回は武器を持ってる様子もなく、それが唯一の安心だった。
緊張が止まらないが今までやってきたことを信じるんだ!
エミさんが詠唱を唱えてる間
ロウさんとツルギさんが交互に入れ替わり
戦ってゆく。
僕はひたすら敵の攻撃をよけながらヒールしてゆく
カキーン
「ちっ…しくじった、ツルギそっちは任せる。エミは?」
「あと3秒」
あれ?なんか色々ロウさん変わった?
今まで俺が俺が俺が倒すだったのに
「いくわよ。離れて!!」
「おう!」
「あぁ」
ドカーーーーン
うぎゃぁぁぁぁああああ
うわ、えぐっ…4体一気に死んだし
てか、まーそれだけロウさんとツルギさんが削ってたとはいえ
えぐっ…エミさん敵にマワシタクナイ
「お、お疲れ様です!今からみんなのヒールしますね」
よし全体回復OK!ほんとにこれだけはみんなに褒められるんだよなー笑
ガガガガッ…
ん?なんか変な音がするぞ??ん?
なんかすごく嫌な予感が…
ウォォォォォ!!!!
声のするほうを振り向くと、さっき倒したはずなのに、いやさっきと似ているけど羽が4本生えて、頭が3つある。いやいやいや聞いてない!!!
え?合体した?
「ハルキ!!逃げろ!」
ロウさんが言ってる途中で紫色のでっかいビームが、僕へと一直線に飛んできた。
死ぬ。これに当たってしまえば確実に死ぬ。
それは、ロウさんより勘が鋭くなくてもわかった。
全体回復した後だ。狙われるに決まってる。
ここで死ぬのか?
いや、死ぬな。ここで死んだら、いけない!かわせ!
僕は素早く跳躍し、体をひねって大きなビームを避け右側の方へ着地した。
ジュッ
「痛っ…」
「大丈夫か!?」
焦って駆け寄るツルギさん
「大丈夫ですよ。ローブに少しかすってちょっと火傷しただけなので。それよりツルギさん!ツルギさんの気持ちはありがたいし痛いほど分かりますが、ロウさんとエミさん2人ではきついはずです!僕のことはいいから、はやく!ツルギさんはみんなを守るんでしょ!?」
ツルギさんは、珍しく何も言わず僕に背を向けて敵の方へと向かっていった。
多分守るためだろうみんなを。
合体したあとから、あの異形な悪魔は魔法を使うようになった。
「大技来るからバリアを張るわ、はやく集まりなさい、死ぬわよ」
エミさんが大技に合わせてバリアを張る。
スドーーーーーーン…ゴゴゴゴゴゴ…
流石エミさん、かなり強いバリアを張ったみたいだ。ヒビも入らない。僕は急いでみんなの回復した。
「サンキューな」
ロウさんが初めてお礼言った!?それどころじゃない。
敵の攻撃を躱しながら僕は主にダメージを受けるタンクであるツルギさんの回復をする。
「あたし、残りのMPだと最大技を1回しか打てないわ」
「任せろ!!それまでに削る!その大技の詠唱してろ!」
「聖なる光、漆黒の闇を焼き払う…」
詠唱が始まった。
必死に耐えるツルギさん。ロウさんが少しでもダメージが与えやすいように。
ロウさんはエミさんに向かった攻撃を素早く弾いている。
「いくわよ!!離れて!」
ズドーン
金色の光が悪魔らしきものを焼いていく。
ウォォォォォ…
ガシャン
やっと閉まってた扉が開いた。
僕ら、生きてる…
初めての連携プレイらしきものをしたなと思った。
すごくモンスターは怖かったけど、今までの特訓も無駄じゃなかったし、仲間という存在がこんなにも素敵なものなのかと、不謹慎にもワクワクした。
僕も多少は傷は負ったけど大丈夫
「ロウ変わったなー戦い方」
「ですよねーいつも俺がだったのにどうしたんです?」
「てめぇらが知る必要もねぇ」
「口が悪いですわ」
「あぁーん!?」
「まぁまぁ、2人とも落ち着いて」
ホント2人気が合わないなー…困った困った
まー、高難易度クエストをやったおかげでかなりお金がはいりまして
今日はティアさんが作ってくれたご馳走を食べた。
相変わらず僕は怪我したからティアさんに治してもらってたけどね笑
「なんか、幸せだなぁ…」
「そうだな!」
相変わらず明るく返事するツルギさん
クスクスと笑うティアさん
エミさんは微笑んでる
ロウさんはガッツリ肉ばっかり食ってる
ほんと僕は恵まれてるなと思った。
出会うべくして出会ったような気がして。
無駄なことなんてひとつもないんだなと思った。僕はこの仲間を大切にしていきたい。
誰一人死なせたくない
その想いがより一層大きくなった。
「エミさんつえー」
「彼女はすごいねー君と違って!」
「一言多いわ!クソロコ!」
「事実ジャーン笑」
「…」