無になる
彼はまな集中増加の技を会得できるのか?
「ティアさん!!!」
「ん?どこか行かれるんですか?」
あ…そうだった。エミさんの存在は内緒だったんだ。
どどどどうしよう!?言い訳…え、あ…あ!?
「魔法図書館に行ってきます!!!」
「ふふ、勉強熱心だね。頑張って!」
ふー、良かった…。元々魔法図書館にはよく行っていたからバレずに済んだ…。
僕はエミさんの元へと向かう。森の奥へと。
「やっと着いたぁぁぁぁぁぁー」
「少しは静かにするということを覚えないのかしら」
ちょっと恥ずかしくなって俯いてしまった。僕はどうもすぐに感情が表に出るみたいだ。
「休んでる暇なんてないわよ、時間は有限、あたしはあたしの時間もあるから、ほら早く立って」
えええええ!?1分も経ってないよ!?す、す、スパルタ…。
「もっと集中するの。空気に漂う粒子を感じるように、心を穏やかに、静かに無にする」
もう始まってるし…。
「はい…」
エミさんとのマナを高める特訓がはじまった。
どうやらマナというものは空中に漂う粒子のようなものを自分の中に取り込み、力とすることらしい。
人それぞれキャパがあるように見えたのはその粒子を取り込む力が強いか弱いかの違いらしい。
まずはその粒子を感じることが大切だったが
雑念を捨て去るのはなかなか大変だ。
「そう、深呼吸して集中するの」
「ふー…」
キラキラするものが見える。青や黄色、赤…色んな色の粒子が見えてきた。
「あの、色んな色の粒子が見えるんですけど」
「早いわね、素質があるわ、そのまま一点に自分に集中させるイメージをするの」
「はい…」
一点に集中させる…一点に
体が光り始めた
「やるじゃない、出来てるわ」
「ほんとですか!?」
「ほら、気を抜かない、常に維持できるようにしなさい」
「はい!」
僕は毎日自主練し、エミさんにみてもらった。
「ティアさん!!魔法図書館いってきますね!!!」
「今日もですか?昨日も…ココ最近ずっと行ってますね。」
ギクッ…
どどどどーしよ!そこまで考えてなかった!!
そりゃそうだいつもなら1週間に2、3回しか行かないのに、毎日となると疑われるよな!!!えっとえっと…。
「こいつも、こいつでなんかあるんだよ。心配するなティア」
ロウさん!!!ナイスです!!
「勉強熱心なことはいい事じゃないか!ハルキ応援してるぞ!」
ツルギさん!ナイスです!!!2人に感謝しまくりんぐです!!!
「はい、そうですね!勉強熱心なのは素敵なことです!頑張って!」
ふぅー…。2人の言葉があったとはいえ、ティアさんが純粋でよかった…。
もしバレてたら…
ブルッ…
あぁ、考えるだけでも怖い。エミさん怒らせたら怖いからなー。
そうやって何度も通い続け、常に周りの粒子を取り込む練習を繰り返した。集中を常にし続けるのは大変だ。でもやるしかない!
「うん、いいわ。冒険者協会にて、魔法鑑定してもらいなさい。」
「あ!はい!」
正直不安だったせいなのか足が重い。
だって確かに粒子は見えるけど、これといった目に見える変化はなかったからだ。
そして魔法鑑定で、魔力を測ってもらったら…
1350!?
いや、500しかなかったのに、え!?こんなに変わるもん!?
こうやって目に見える形で変化が起きてることに、すごく嬉しかった。どんなに努力しても目に見えなかったから、変化が分からなかったから。諦めそうになったが、自分を信じて良かった。諦めなくてよかった。
目に見えるものが全てじゃないんだな。
とりあえずエミさんに報告して感謝の言葉を!!!!
「エミさん!魔力上がってました!ありがとうございます!ちなみにエミさんの魔力は?」
「3000よ」
「ひぃ!?」
「なんでそんなに魔力があるのにダンジョンへ行かないんですか?ギルドとか入らないんですか?」
「それは…」
あれ?これ聞いちゃまずかった!?え、どしよ!?
「あ!話したくないならいいですよ!」
「いいわ、あなたになら話すわ。私の過去話」
「エミさんの過去話ってなんだろう?」
「不思議な女性だもんねー!」
「ほんとに謎が多い…」