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転生したらポンコツヒーラーな件について  作者: 音羽 心音
もっと強く(ハルキ)どうして俺は(ロウ)
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特訓の日々

ロウの厳しい試練に負けずにたちむかえるのか

ロウさんと少し離れた森の中へ来た。


「ここで俺が素手でお前に攻撃する。避けろ」


そう聞こえた瞬間僕は空を見上げていた。

あれ?さっきまでロウさんいたよね?

なんで真っ青な空が…

ゆっくりと時間が流れていく感覚


ドサッ…


「いたっ…」


「敵はいつ来るかわからねぇ、気をはれ」


とりあえずロウさんは反射神経がすごい、瞬発力もだ。

僕は何度も転ばされ空を見る。


「はぁ、はぁ、はぁ、」


「もう疲れたのか?」


容赦ない。


「まだ行けます!!」


僕は食らいつく。

それでも今日はずっと地面にはいつくばるばかりだった。


こんなにも差があるのか、当たり前だ

ロウさんの手は傷や豆だらけだ。きっと苦労をしてきたんだろう。


「今日は終わり。」


そう言ってロウさんは去っていく。


「とりあえず受け身をとる練習と…えっと、体力付けも必要だな…基礎がなってないってことだよな。体幹も鍛えないとな…まだあの俊敏さにはついていけないからまずはそこからか」


僕は分析する。

昔からこういうことが好きだったせいかブツブツと呟いてたら


「ハルキさん!」


この声は!


「ティアさん!どうして!?」


「ツルギさんに聞いたの特訓してるって、あれ?もう1人のお方は…」


「あ、ダンジョンに行ったんじゃない?朝しか付き合って貰えないから」


「そうなんですか!お昼ご飯持ってきたんです」


にこりと笑う彼女


かわいい…



「ロウさん?って方の分も持ってきたから…」


「2人で食べない?せっかくだからさ!」


「ぜひ!」


2人で他愛もない話をしながらティアさんの手作りのお昼ご飯を食べた。


あぁぁぁああ僕転生してよかったぁぁぁぁ


それが僕の感想、だってこんな可愛い子に手作り弁当貰うとかお初ですよ!?もう記念でしょ!?


「ロウさんとの特訓どうです?」


「いやー見て覚えろ体で覚えろだからな、正直あの俊敏さにはついてけない。まぁ、今日が初めてだったからさ、体力も追いつかなくて、でも僕は2人のようにみんなを守りたいから諦めない!」


「ふふ、なんかキラキラしてますね?」


「え!?そう!?」


「なんか可愛いです笑」


僕は照れた。てか、可愛いってなんだよーかっこいいじゃないのかよー泣


ティアさんとお別れしたあと

とりあえずランニングがてら走って家に戻り

腹筋100回、背筋100回、腕立て100回それを5セット柔軟、体幹トレーニング、ランニング


正直きつい。でもやらなきゃダメだ。辛いなんて思わなかった。ただひたすらにできることをするんだ。

心が負けそうな時ツルギさんの過去の話を思い出す。ツルギさんはもちろん、みんなにも悲しい顔はさせたくない。誰一人死なせたくない。

今はやれることをやるしかないんだ。


毎日のように続く特訓、なんだかんだでロウさんは時間を作ってくれた。

時間を作ってくれるってのはすごくありがたかった。

だってあの自由なロウさんがよ?

自分に時間を費やしてくれるということは、それだけロウさんの貴重な時間を奪っていることになる。

だからこそ諦めちゃいけない!

やるんだ!元の世界の僕のように逃げてばかりじゃダメだ!

向き合え!自分自身に!己の弱さに!



体力が上がるにつれて、柔軟性や体幹を鍛えたおかげか少しずつ受け身を取れるようになった。


「ほう…受け身か、でも相手は素手じゃないぞ」


「分かってます!!次こそ攻撃をかわします!」



何度してもダメだった…スピードに追いつかない…


僕は…いや、でもやると決めたんだろ!ならやりきれ!


ツルギさんにも相談し、ツルギさんが色んなところから思いっきり石を投げてくる


それを避ける練習をした。


なかなか避けれない…どうすればいいのか分からない


「んーロウは感覚派だからな、敏感なんだ、何もかも、音にも匂いにも気配にも」


気配…僕は深呼吸して目を閉じた。風の音が聞こえる。木々の音がする。小さいが水のせせらぎの音がする。

そういや、元の世界にいた時にじぃちゃんが、無になれって言ってたな…。

シーンとなる世界…。今まで目を閉じて暗かった世界にオーラのようなものが見えてきた。


「これか!?!?!?」


「うぉ!?びっくりした!なんだよー笑」


「いや、なんかすっと無になった瞬間に映像がガーっと流れてきてモヤっとしたオーラを感じるんです、それは物質によって違って…」



「お、おう、とりあえず興奮するのはわかるがハルキ落ち着け?」


「あ!すみません…」


やってしまった…。僕はつい興奮するとうわぁぁああって話してしまう。熱中してしまうのだ。

でもそれくらい、この感覚に震えたんだ。


次の日

僕は深呼吸をして目を瞑った。


「おいおい、諦めたのかよ!!!!!」


無音無光の世界、そこに現れる赤いオーラ。

燃えるような闘志を感じる。

ここだ!


ガッザザッ


目を開ける、そしたら驚いた顔をしたロウさんがいた。


「で、できた!!!!出来ましたよ僕!」


「お前…」


見事に避けることが出来た。



それからも特訓が続いた。ロウさんの身のこなし方は何度も見てきたからな。不出来ながらもくるりと回転して避けたり、ギリギリですり抜けたり…


ある日


「俺はもう教えることは無い。」


「ってことは僕!」


「あぁ、よく頑張ったな…」


初めて褒めてくれた!!!すごく嬉しかった。諦めなくてよかった。信じてよかった。ありがとうみんな、ほんとにありがとう…。

初めてだった。ちゃんと弱い自分と向き合ったのは。

すぐ諦めてたくせに。

「どーせ」が口癖だったのに。

初めてやり遂げた日、寝っ転がると木々の合間から、曇りひとつない青い空がキラキラと澄んで見えた。


「そういえばロウってさなんであんなに強いんだろうね?」

「きっと努力したんですよ!!」

「ほんと君って憧れの目で見てると言うか…単純だね」

「単純で何が悪い!!」

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