悪い見本のルパソです
「それは何か嫌だ……我慢を覚えるよ」
ルパソという悪い見本のお陰で、ポイも少しは反省したらしい。
「ちょっと待ってろよ。手紙と槍を預けてくるから……流石にポイは装備出来ないだろ」
職業【毒】の装備はナイフ系だと説明があって、力の数値とは無関係で【形見の槍】は装備不可。それなら、ポイはどうなんだ? 力は【投げナイフ】の威力で俺よりもあると思う。パラメーターを確認出来ないから、想像でしかないんだけど……爺さんの孫の装備物なら、NPCが装備出来ても問題ない気がする。
「この槍を持てばいいの? ……気持ち悪いから嫌だ!!」
ポイが【形見の槍】を持つと、拒否反応が出たみたいに手放した。これは装備不可って事だよな。装備可能だった場合、俺という主人公を差し置いて、ポイ無双が始まるところだった。なんせ、【形見の槍】の攻撃力は+50だから、序盤では敵なしだろ。
「ゴメンな。少し安心したのも悪いと思ってる。これは預けてくるから」
【形見の槍】はNPCに売るのは無理でも、商人のプレイヤーなら可能かもしれない。【ガルダイン特効】があるのに装備出来ないのは、宝の持ち腐れだ。ガルダインを倒すためにも、参加するメンバーに買って貰いたい。それまでは下手に売らない方がいいだろう。
「いらっしゃいませ。預かり所です。物を預かる時は返却時にGの支払いがあります。物によって値段が変わりますので注意してください。Gを預かる時は1000Gから可能です。それによる手数料はありません」
俺が預かり所に入ると、すぐに女性店員が声を掛けてきた。店員はファンタジー感が全くない銀行員の制服を着ている。店内はシンプルに大きな鉄柵の向こうに無数の金庫が設置されているだけ。それぞれがプレイヤーの預かり物が入ってるんだろう。
「今回はこの二つをお願いします」
「お預かりします。これはSランクの貴重な物ですね。返却時には合わせて10Gが必要になります。長い時間放置されていると、自動的にある場所へ売られるようになるので注意を」
貴重品の方が返却時のGは少ないみたいだ。クエストに必要となった時、大金で払えませんは止めておいたのかも。長期間といっても、現実の方で半年。そうなるぐらいならにログアウトしてないなら、アンインストールしてるだろうし……
「お待たせ。下水道へ行くため、住宅街のゴミ捨て場だな」
「どこのゴミ捨て場なのか臭いで分かるから、任せてよ」
ポイは何処に行かず、預かり所で待っていた。ルパソの姿はない。兵士を振り切って、待っていたらゾッとするところだった。
住宅街へ行くため、露店が並ぶ中央の道を通り抜けていく。商店街とは注意の道を挟んでの反対側だ。
「なるほど……住人達の家も石造りか。公園もあったり、憩いの場だな」
住宅街の家は殆どが同じ建物。貴族の屋敷とかはなし。プレイヤーの姿も少なく、公園で子供のNPC達が遊んでいたりと、大人のNPCが散歩してたりと日常の光景だ。
そんな公園にあるゴミ箱を漁るプレイヤーが……しかも、体ごと突っ込んでいる。そんな所でも素材が落ちていたりするものなのか? そのプレイヤーは……ルパン!!
「アイツ……何やってるんだ? ポイも声を掛けたら駄目だぞ」
兵士から隠れるためにゴミ箱の中に? 頭隠して、尻隠さずだぞ。公園にいるNPCの子供達も、ルパソの怪しい姿に集まってきてるし。
「あそこは下水道の入口じゃないよ。ここからは毒に臭いがしないから」
ポイの言葉に納得……したくない。流石にゴミ箱とゴミ捨て場は間違えないだろ。ウルも目立たない場所だと言ってたのに、公園の中なんて目立ち過ぎる。
「わざとか? わざとなのか? ルパソが俺達に気付く前に立ち去ろう」
目立つ行動で、俺達に見つけてもらう算段か? 孤高の盗賊、正義の盗賊の名前が泣くぞ。俺達が気付く前に、兵士に気付かれたらどうするんだろう? 子供達が集まり出したところで巡回中の兵士が公園の中へ……
「人目に付かない場所を探さないとな」
ルパソは兵士から逃げるだろうから、何処かに隠れておこう。【空気のような存在】の効果はないだろうし。




