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異世界魔法少女物語  作者: サッキー
第1章 無力な力で
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第2話 黒神 紀子 その2

私は黒神くろがみ 紀子のりこ、14歳でO型の蟹座。

父親は幼い頃にいなくなってお母さんは仕事に追われててちょっと寂しかったけど、お兄ちゃんがいたから寂しいのはちょっとだけだった。

だけど私は一人が好きでもあったからよく家の近くの公園のような所に遊びにいってた。実際に公園だったかは今でも分からない、中学に入って少ししてから引っ越したから。

ともかくそこは山に面した所にあって、ブランコや滑り台、鉄棒があった。しかもさらに上に登る長い石の階段があって、登った先には神主も居ない寂れた小さな神社があった。普段は誰もここには来ない。神社だけじゃなく公園?にも。

でも夏になると近所の人はみんなここに集まり、神社への階段から見える花火を楽しんでいた。

今考えると不思議な場所・・・私は子供の頃、ここで遊ぶのが好きで暗くなるまで飽きもせずにずっといた。家のすぐそば、というか2、3軒程度しかはなれていなかったからか家族は何も言わず、よっぽど遅くならない限りは何も言われなかった。


中学に入ってからは流石に滅多には行かなくなったけど、引っ越しすることが決まって最後に思い出に残そうと足を運んだとき、出会ったの。


「これで最後かな、もうここには来ることはないかな・・・」

そう感慨に耽りながら階段を登っていく。何となくあの小さな神社にお参りをしようと思いながら一段、一段ゆっくりと。

特にお参りする理由も内容はないのだけど、何となく、だ。

(お別れの挨拶?そもそも何が奉ってあるのかも知らないけど、ね)

苦笑しながら最後の段を登り・・・見た。

変な生き物?を。

それは簡単に言えばデフォルメされたリスっぽい何かだった、少なくともあんな大きなリスは見たことがない。体長30cmはあるだろうか。

「・・・・・・・・・」

目を擦り、改めて見直してもやっぱりいる。幻覚じゃない。

人がギリギリ入れるかな?って程度の大きさの神社の境内の前に蹲っている。困惑しながらも回れ右して立ち去ろうかと思った時、そのリス擬きがもぞもぞと動いて・・・

「もしかして、僕が見えてる?」

妙に可愛らしい声が聞こえた。

え、誰?慌てて辺りをキョロキョロと見渡すけど誰も見当たらない。

おかしいな、今、子供の声が聞こえたような・・・

「声も聞こえるんだ・・・まさかとは思ったけどりゅん」

また聞こえた!さらにキョロキョロと声の主を探して回りを見ていると

「えっとね、僕だよ僕、ほら手を挙げてる僕りゅん」

どこ?!分かんない、全然見えない、あわわわわわ!

ひょこひょこと右手を挙げるリスっぽい何かが視界に入るけど、無視。


無視。

無視。

無視・・・したいけど。


「もしかして、なんだけど」

「うん」

「さっきから聞こえる声って」

表情は分かんないはずなのに喜色満面で頷いているように見えて

「僕だりゅん、まさかこの世界で僕を見れるだけじゃなく声まで聞こえるなんて・・・君は伝説の魔法少女なのかりゅん?」


イロイロとキャパシティーオーバーで頭の中が真っ白になった。

それが、私とミリューの出会いで。

始まりだった。












私はまた泣いていた、いつも、いつもそうだ。

泣き喚いて、ひたすらに叫んで・・・現実に怒りを覚えて悔しさに震える。

救えなかった・・・また救えなかった、どうしてこうも私は力が足りないんだろう、力を得て、救えるはずの力を得ても救えないんだろう。

悔しくて悔しくて。

私は何でピュアキュリーズに選ばれたんだろう・・・ミリュー・・・教えて・・・







そうやってどれくらいの時間が過ぎたのか、ようやく涙が止まった時には辺りは夕闇に包まれていた。

死んだ彼の死体をそのままにはしておけず、枯れ落ちた葉っぱで取り敢えず覆って墓代わりした。

土を掘って埋めることも考えたけど、暗くなってきて時間が無いから諦めた、後日ちゃんと弔おう・・・

それほど時間を使ったつもりはないのだけど、すでに辺りは真っ暗だ、光源が空の星空しかない。


(・・・あれ?星は見えるけど・・ 月は?)

木々に星空が遮られてはいるものの、僅かだ。普段からしたら満天の星空と言えるほど雲ひとつなく・・・むしろ真っ暗なのに明るく感じる。周囲は暗いのにハッキリと周りが見える、矛盾した感じ。

(ここは・・・どこなの・・・)

さっきまで普通の、林とまではいかない程度の木々が生い茂っているだけのこの場所が、堪らなく恐怖を感じさせた。

彼を殺したゾンビ?は確かに怖かった、でもそれ以上に、今のこの場所そのものが理解出来なくて怖い。



どうしたらいいのか、身体を抱えて震え・・・

「ダメ・・わ、わた、しは・・・」


「見つけた!」

突然、喜色満面で彼女が文字通り空から振ってきた。

「長かったー!二ヶ月ぶり♪のりりん♪」

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