バンド「」!
眩しい光が体育館に差し込む。
桜が落ちる。
いつもは朝、妹に布団を剥がされ起きる。
けれど今日は違った。
自分で起き、学校に行く準備を済ませ、リビングにいく。
リビングに近づくにつれ、卵焼きなどのいい匂いが漂って来る。
リビングに行くと妹の綾がいた。
綾は毎日朝ごはんを作ってくれる。
灰人「綾おはよう。」
綾「あれ!?お兄ちゃん起きられたの!?」
灰人「お前は俺をなんだと思ってんだよ。」
綾「ロリコン変態兄貴。」
灰人「あのなぁ…。」
綾「お兄ちゃん!もう楓ちゃん来ちゃうよ!あと今日本番でしょ!」
灰人「もうそんな時間か…。いただきます!」
俺は時間がないのと腹が減っていた為ご飯にがっついた。
ピーンポーン。
インターホンがなった。
楓が家に迎えに来たのだろう。
俺は急いで準備をし、楓と一緒に家を出た。
楓「灰人。今日本番だね。緊張してない?」
学校に向かいながら話をする。
灰人「してないよ。いやでも、チビりそう。」
楓「朝から汚いなー。でもまさか灰人がバンドやるなんてね。」
灰人「自分でも驚いてるよ。」
亮「灰人ー!楓ー!おはよう!」
瞬「亮ー!待ってよー! やっと追いついた急に走るんだもん。」
灰人「2人ともおはよう。」
2人とは学校の校門前で会った。
灰人「今日本番だな。」
全員「うん!」
俺たちはバンドを組んで文化祭のステージで歌うことになっている。今日は文化祭当日。皆小学校からの幼なじみで、いつかバンドを組みたい!と言っていた。中学生になりやっと今日その夢が叶うのだ。全員興奮している。
ついに本番だ。
灰人「皆!やっと夢が叶ったんだ!全力出して楽しもう!」
全員「うん!」
ブーッブーッ。
公演ブザーが体育館に響き渡る。
照明が落とされ、あたりは暗闇に包まれる。
灰人(始まる!俺たちの楽しい時間が!)
本番は無事終わった。
皆、笑顔でとても楽しそうだった。
俺達はこの快感にハマっていった。
その日の夜ある1本の電話が来た。
ブーッブーッ
スマホがテーブルの上でバイブレーションで震えている。
灰人「ハイハイ、ってこんな時間に誰だよ」
時間は既に22時を回っている。
電話番号に驚く、見た事のない電話番号だ、恐る恐る電話に出た。
灰人「もしもし」
謎の女「あっ、もしもし、すいません夜分遅くにあのすいません「」の灰人君ですか?私、音の節高校の校長をしている、吉野恵里と申します。あの今日のライブを動画サイトで見てとても気に入ってしまって……」
「」《空白》とは俺らのバンド名である。
灰人「え!?動画サイトですか!?」
灰人の言葉を聞いて恵里は戸惑いながら言う。
恵里「はい……。「」の初ライブ!というタイトルで……」
灰人「えぇ……。というか!どうやって僕の電話番号知ったんですか!?」
恵里「ああ、君の学校の校長と知り合いでねぇ教えてもらった!」
灰人「えぇ!って母と知り合いなんすか!?」
恵里「まあ知り合いというか、親友かな?」
灰人「めちゃくちゃ仲良いじゃないですか!知り合いのレベル超えてますよそれ」
恵里「あはは、でね要件なんだけどさ、来月うちの文化祭でライブやらないかい?」
恵里は笑いながら灰人に提案した。
灰人「えぇ!!!いいんですか?!」
恵里「ああ!よろしく頼むぞ」
灰人「はい!ありがとうございます!」