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最高の休日2
エヌ氏は、駅に来るとすぐさま駅員窓口に行く。
「チェインコートまでの切符をくれ。」
「かしこまりました。」
駅員はエヌ氏の首筋にある有機端末のメーカーマークを見ると不思議な顔をした。切符を買う奴は今時珍しい、端末を内蔵しているなら直接チャージすれば良い。(先進国では人口の9割が有機端末を内蔵している。)
駅員から穴の空いた切符を受け取るとホームに向かう。階段を上がると目の前に時刻表が表示される。
エヌ氏は、この表示の表れ方がたまらなく嫌いだった。
「いつまでこの駅は2世代前の不良品を使っているんだ。」彼はこの不快感をもみ消そうと今日の予定を考え始めた。
列車の中で立っていると、彼にメッセージが届いた。
不快感なメッセージだと彼は直感した。きっと、自分の休日を台無しにしてくれるに違いない。メッセージを開くとその直感が誤りだとわかった。彼女からだ。
ただ、もう一つのメッセージが彼を不快にさせた。仕事の依頼だった。
「チケットが無駄になったな…」エヌ氏はそう小さく呟くと次の駅で降りた。