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滑走路に一時停止した後、飛行機は勢いをつけ、離陸へと進む。
景色が線になって、見えない。
涙でぼやけて見えていなかったせいもあると思う。
ふわっと一瞬無重力に包まれた後、機体は斜めに真っ直ぐ空へ向かった。
見下ろすと、離れていく空港がまず目に入る。
そして、高さを増していくと、見慣れた景色が小さく映った。
あ、通っていた大学だ。
実家も見える。
近くの畑も。
ドライブした時によく通った橋だ。
こうして遠くなればなるほど実感する。
遊びに行く時も同じ景色を見ているはずなのに、感覚が全然違う。