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きらきら  作者: 真未
大事な人。
14/19

4

建物と飛行機をつなぐ固定橋は、まだ春先ということもあり、空気がひんやりしていた。


緩やかな下り道。


下り坂のはずなのに、なぜか踏みとどまる。


後悔、するかな?


そう思いながらも、機内へ進む。


残り数名が乗り込むと、ドアが閉まる。


機内アナウンスが流れた後、ゆっくり飛行機は動き出す。


滑走路まで着くと、一旦停止。


座席は空港が見える方の窓際にした。


屋上で手を振っている人が見える。


あぁ。


家族だ。


それと、他にも見覚えがある人がいた。


端っこで控えめにいて、だけど、大きく手を振っている。


間違いない。


7年間、想っていた人。


「ユキさん……」


さっきは我慢できていた涙腺は、その姿を捉えると一気に緩んだ。


ダメだ…止まらない。


私も彼も目がいい。


私が見えているのだろうか。


じっとこちらを見ている。


表情までは見えないけれど、彼は、顔を拭うような仕草をしていた。


泣いてる。


付き合って7年間。


私は彼の涙を一度も見たことがなかった。


大きく両手を振りながら、彼は今、きっと泣いている。


私はいつか言った。


「飛行機からはね、小さく手を振っても見えないの。だから、手を振る時は恥ずかしがらずに肩から振らなきゃいけないんだよ」


彼は、今、そうしてくれている。


もう、涙を止める方法が分からなかった。

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