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搭乗案内が始まり、改札前に乗客が集まっていく。
そんな中、私はゆっくりとメールBOXを起動し、それを確認した。
シンプルな文章。
三行だけ。
「今までありがとう。
俺は幸せだったよ。
幸せに出来なくてごめんね。」
胸元からぐっと熱いものが込み上げてくる。
これを彼はどんな気持ちで送ったのだろう。
彼は自分の気持ちを表現することが苦手だった。
うんとたくさん考えた言葉を送ってくれたのだと思う。
私こそ。
私こそ、ごめんね。
ユキさん……。
込み上げてくる涙を堪えて、上を向く。
その場に留まりたい気持ちを振り切るように立ち上がった。
搭乗口を笑顔で通過する。
係員は優しく笑いかけてくれて、
「行ってらっしゃいませ、お帰りお待ちしてます」
と、温かい言葉をくれた。