第三話 幕間 夢のバケツプリン
お詫びのコンビニスイーツ、ちょっと贅沢なプリン。
「みんなで食べよう?」とはずみが言い出し、リモ子にあい・まい・もこ、5人で分けたは良いけれど。
5人で半分も食べていない。
「少食なの?足りるの?馬鹿なの?死ぬの?」
「バカはどっちよ!」
彼女たちは、身長30cm強。人間の1/5と言ったところだろう。
なら、5人で分けてちょうど良いと思うんだけど。
「あのさ、背の高さが1/5なら、タテ・ヨコも1/5だよ?」
ああ、そうでした。1/125、めんどうだから1/100で良いや。
体積とか体重とかは、人間の1%なんだ。
「1%じゃなくて、0.8%!! 乙女にとっては大事なところなんだから!」
はいはい、分かりましたっと。
それにしても。
「リモ子って、数字に強いんだな。理系女子?」
「そりゃ、リモコンの妖怪だもん」
納得行くような、行かないような。
ともかく、そうすると……。
このプリン、人間の感覚からすると、タテ・ヨコ・高さとも5倍。
重さ125倍。
バケツプリンだー!
え、ちょっと待って?
じゃあ5人で半分食べてないって言っても、人間の感覚からすればひとりあたり5人前、いや10人前……。
「太るぞ?」
「ばかー!」
「甘いものは!」
「別腹だもん!」
「……デリカシー無い……喪男……」
「言わないでください!」
ぺちぺち叩いてくるけれど。
体重の乗ってないパンチ(人間の1%ないんだもん)など、痛くも痒くもないのである。
「私たちは妖怪だよ!何でもありなんだから!」
いきなり人間サイズに。
5人がかりでぽかすかやられては敵わない。
バランスを崩し、倒れこむ。
美少女5人の、その中へ。
あっ。なんか柔らかい。いい匂いがする。
うわ、リモ子の足、すべすべしてる……。
「死ね!バカ!変態!」
彼女たちはふたたび30cm級に戻り、夢のひと時は儚く潰えたのであった。