表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

学園長はのじゃロリかエルフの二択が基本

「えっと……確か事務室はこっちです」


「あ、そういや使い魔登録って何するんだ?」


「大したことはしないですよ。書類を書いて契約印を登録して、魔力量を測って終了です」


「ふーん、そうか…………って契約印?なんだそれ?」


「あ、そうでした……契約印確認し忘れてました……。申し訳ないですが、トレスさん。体のどこかに紋章みたいなものが書かれてませんか?私も探してみるので」



紋章か。まぁ文脈から察するに使い魔である証みたいなものかな?探してみよう。



ちなみに現在地は職員棟の廊下。今は登録のための書類などがある事務室に向かっているらしい。その途中で登録とは何をするのか気になったのでアルシアに聞いてみたら紋章を探してくれといわれた。


だが体を確認するといってもまさかアルシアの前で全裸になるわけにゃいかないし、いやそれはそれでありなのかもしれないけどその後の関係が成り立たなくなりそうなのでいったん物陰に隠れて自分の体を確認してみる。なんか言い方がいやらしい。違うから!そんなんじゃないから!…………何言ってんだ俺。



ついでに言っておくと俺の体は前々世の体だが、服装の方はスーツのような服を着ている。これが天界での仕事時の服装であったのでそのままこの世界にも着てきた。スーツなのに凄い動きやすいし気に入ってんだよ、これ。




まぁとにかく探してみるか。一番ありそうな手の甲や腕、足は…………ないな。次にありそうなのは…………胸とか?



まぁいやでもねぇ?胸に紋章とかどこのお色気担当ですかっていうか、胸に紋章があるのは女の子とかの方が良いだろ。例えばアルシアとかが紋章を見せるときに恥ずかしがりながら服を着崩して胸のあたりをちらりと………………ふむ。



鼻の奥から溢れだす赤き情動を抑えながら自分の胸の辺りを見てみると────盾が意匠化された紋章みたいのがあった。








うん。まぁ予想はしてた。なにせ自分からフラグたてまくってたし。







俺がお色気担当かよ……この世界間違いすぎるだろ。冴えない少年の姿をした奴に何求めてんだよこんちくしょーとぶつぶつ言いながらアルシアのところへ戻ると、なぜか顔を真っ赤にしたアルシアがうつむきながら何かをぶつぶつ呟いていた。何あれ超可愛い。



「…………おーい、アルシア」


「ひゃうぅ!?」



びくーん!と体を跳ねさせたかと思うとわたわたと少し崩れていた制服を整えるアルシア。一体なんだ?



「と、と、と、トレスさん!紋章は見つかりました!?」


「あ、あぁ……」


「そそそそうですか!じゃ、じゃあ行きましょうか!?」



………………いや何事だよ。








◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆








「こ、ここです……」



まだ顔が赤いアルシアとたどり着いたのはまぁなんの変哲もない扉。扉にはこの世界の文字で『事務室』と書いてあるのでまぁ事務室なんだろう。



「ここで書類を貰って書いて…………け、け、契約印を…………」


「…………?」



本当にさっきからどうしたんだ……?体調でも悪いのか?いやあり得るな。俺を召喚するためにとんでもない量の魔力を放出したんだ。どこかしら不調になってもおかしくない。



「し、失礼します!」



体調は大丈夫か聞く前にアルシアが扉を開けてしまったので、気になりはするが一旦保留にしておく。



扉の向こうにはオフィスのように机が幾つか並べられており、きれいに整頓された机や書類が山積みにされた机などがある。そんな机のうちの一つに一人だけ女性が座っていた。



黒髪に近い青髪をポニーテールにし、鋭利な印象を受けるつり目が特長の美人さん。なんだかな、天界から覗いていた時にも思っていたがこの世界顔面偏差値高いな。



「アルシア・シルスト。何か用ですか?」


「セレス先生……あの、使い魔登録を……」


「使い魔?」



ぴくり、と眉を動かすセレス?さん。その目線が俺に向いたのでとりあえずにへらと笑ってピースしておく。いぇーいぴーすぴーす。


少し見つめられていたかと思うと次第にその目が見開かれ、驚愕の表情になってきた。なぜだろうね、こういうクールな美人さんの驚きの表情って萌える。ギャップ萌えって奴ですね!



「…………アルシア・シルスト…………まさか、使い魔とは…………そこのにやけ面の男のことですか……?」


「……はい。この人のことです」



にやけ面!?まさか顔に出ていたのか!?



顔をぐにぐにして普通の顔に戻そうと苦心している俺をよそにセレスさんが眉間を押さえながら



「まさか……いえ、そんな馬鹿な……アルシア・シルスト。まさかとは思いますが奴隷を買ってきて使い魔などと言っているなどでは──」


「トレスさんは奴隷なんかじゃありません!!!!」


「……っ!?」


「落ち着けってアルシア」



本当にこの子は俺のことをどう思っているのやら。俺が懇願したから外では少し崩れた言葉遣いをしているが、もし頼まなかったらいつでもどこでもアルシアは俺を敬っていそうで恐いな……確かに俺は神だが、彼女は俺を異常なまでに神格化しているように感じる。勘違いならいいんだけど……



「……トレスさんは私が召喚した精霊の……使い魔、です」


「……それはつまり貴女は人型の精霊を召喚したということになりますが?」


「その通りです」


「…………はぁ…………私では判断をくだせません。ついてきなさい。学園長に伺いをたてます」



頭を抱えたセレスさんは唐突に立ち上がりそんなことを言ってすたすた部屋の外へ歩いていく。つーか、え?学園長?



「……申し訳ありません、トレスさん。つい熱くなってしまいました」


「あー、まぁ気にすんな。というか何?奴隷を引っ張ってきて使い魔って言い張る奴とかいるのか?」


「プライドの塊のような貴族が、昔に」



人型精霊を召喚したっていう箔を手に入れようとしたのか。あほらし。



「何をしているのですか?アルシア・シルスト。はやく来なさい。大精霊様もこちらへ」



大精霊って……いや人型は高位精霊って知られてるからだろうけど……むず痒いなぁ本当に。



「……なぁアルシア。学園長ってどんな人だ?」


「学園長ですか……」



……?何か言いにくそうだな。まさか……



「学園長って『のじゃロリ』だったりする?」


「のじゃろり?何でしょうか、それは?」


「……うん、ごめんなんでもない」



むぅ、悪い癖が…………

そうだな。ここでもう言っておいた方が良いのかもしれないから言っておこう。






実は…………俺は、前々世ではオタクだったのだ!!




…………え?なに?知ってた?それはごめん。





一人小芝居はこれくらいにしておいてかつかつ廊下を歩くセレスさんにおいてかれないようについていく。歩くの速いなセレスさん。なんかイライラしているようだけど、アルシアがちょっと辛そうなのでスピード落としてくれるとありがたいんですが…………




「それで話を続けますと、学園長は────」


「着きました」



アルシアが何かを言いかけたところで一行は足を止めた。


両開きの立派な木造の扉。ここが学園長室のようだ。

アルシアの言い方といいなんか癖のありそうな人物の予感がするな…………



「学園長。セレス・シュレインです。今よろしいでしょうか」



どうぞ、と女性の声が返ってくる。やはり女性か……声は幼くはないし、のじゃロリではないようだな。別にがっかりとかしていない。いやほんとに。






………………実はちょっとだけがっかりしてる。






がちゃり、とセレスさんが扉を開ける。すたすた入っていくセレスさんに続いてアルシア、俺の順に入ると────










「あら…………先程巨大な魔力が使われたと思ったのですが、どうやら貴女の仕業のようですね、アルシアさん。是非私にも後ろの方を紹介してはくれませんか?」




さらさらな金髪に優しそうに見えてその実奥ではこちらを見抜こうとする鋭い光が見える碧眼。そして何よりその女性の耳は、()()()()()






あーなるほどー。そっちのパターンできたかー。




どうやらこの学園の学園長はのじゃロリではなく、エルフパターンの方だったようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ