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東へ進め!リュールのお誕生日・後

早起きしてプレゼントの薪と木箱を見つけた二人。



「まぁ!嬉しいわ、とても助かりますもの。親切な酔っ払いさんもいらっしゃるのね、粋な贈り物ですわ」


「有り難い贈り物だよね~!あ、見て、これ。可愛い、リボンが巻いてあるよ。これさ、暖炉の前に飾ろ?」



ほのぼのと喜ぶ二人に、木箱をずらした男の妻はヤキモキと二人の様子を気にかけていただけに安堵。

書き置きで悪意が無いのは判明していたが、普通は見ず知らずの他人から薪を誕生日の祝いに貰っても喜ばないと思って心配していたのだ。



さて、ここからが腕の見せ所!と張り切るご近所さん方。



エルダとの秘密の打ち合わせ通り、リュールを呼び出す係が昼前に動く。その間に、お店から作り置きのご馳走を運ぶ者、仕上げをするエルダを手伝う者。


短時間であっという間に二人分のご馳走が完成。


何度もお礼を言うエルダに『これからが本番だよ!』と腕捲りをするアマンダ達ご近所さん方。


「エルねーたん、こっち!」


幼子に手をひかれて、ご近所さんの家へ。あれよあれよと言う間にお洒落な服へとお着替え、髪も結われる。


「リューねーたんもエルねーたんも、きれい!」


手を叩いて喜ぶ幼子に、その母がうんうんと頷く。どういう事かと尋ねてもはぐらかされつつ、家に戻ろうとしたら玄関でリュールと鉢合わせになる。


「素敵ですわ!エルダ、森の妖精さんみたいね、可愛いわ、凄く可愛いですわ!!ああ、なんて可憐なの!」


開口一番に大絶賛するリュールだが、こちらも大変身している。


「リュールこそ、綺麗でびっくりしたよ。エルフのお姫様みたい!お洋服、とても似合ってるね!それに、その髪型だとなんかすごーく大人っぽいよ!」


エルダがリュールの周りをくるりと一周しながら褒めると、どちらからともなく手を取り合って軽やかにステップを踏んだ。膝丈の柔らかな布のスカートがふわりと揺れて、腰のリボンが優雅になびく。


「きれいきれい、ねーたんたち、おひめさまのダンス!」


幼子が大興奮ではしゃぐと、ご近所さん達が玄関に集まってきて口々に二人を褒める。


お洒落な服は同じ布で作った、二人へのプレゼント。服だけじゃないよ、と手をひかれて家に入れば唖然。

テーブルに溢れんばかりのご馳走の山、暖炉の脇に詰まれたプレゼント。それに、小さなクッションが増えていたり、窓辺に花が飾られている。



「あらまー、泣いちまったら美人が台無しだよ。ほらほら、笑ってごらんよ別嬪さん」



アマンダに涙を拭われても、えぐえぐと泣くリュール。その横でエルダも盛大に貰い泣きしている。


「うれ、しくて。涙が、とまりませんわ!こんなに…素敵なお誕生日に、なる、なんて。…本当に、ありがとうございます。わたくし、幸せ物、ですわ!」


感涙にむせび泣きのリュールが切れ切れに告げ、エルダと抱き合って更に泣く二人に、ご近所さん方の目にも涙が滲む。


アマンダも、真っ赤な目を擦って『さぁさぁ、冷めちまう前にお食べよ』と促す。美味しいものは皆で食べるのが一番、と賑やかな昼食になった。


それから、プレゼントの一つ一つに感謝と喜びの言葉を口にしながらのまったり時間。無邪気に大喜びのリュールの姿に、贈り主達も頬を緩ませていた。



解散後、せっかくお洒落しているのだから見せびらかしておいでと口々に言われた少女達は街の広場へと繰り出す。



プラチナの髪を瞳と同じ濃緑のリボンで纏めあげて、白と薄いラベンダーの清楚ですっきりとした装いのリュールは、普段よりもぐっと大人びた雰囲気。元々が華奢な体型なのもあり、すらりと伸びた色白な手足と理知の輝きを宿す濃緑の瞳はエルフの姫君そのもの。


焦げ茶のふわふわとした髪を高い位置で結び、風に遊ばせるエルダ。同じ白と薄いラベンダーの布だがこちらは愛らしさを全面に押し出している。活動的なエルダの動きに合わせてヒラヒラとリボンやプリーツが揺れる。限りなく澄んだ水色の瞳と、無邪気な愛らしさはまるで妖精。



その二人がお揃いの手籠を持って歩く姿に、人々は感嘆するやら見惚れるやら。なかには振り返り振り返り見る者、驚きのあまり固まる者までいたのだが、少女達は『プレゼントの服』が素晴らしいのだと残念な勘違いをしていた。



非常に楽しい誕生日を過ごし、大満足のリュールがエルダを労う。そして、エルダの誕生日も盛大にお祝いをすると宣言をした。

それから、この素敵なお洋服で夏祭りに行きましょうね、とニコニコと約束をかわした。

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