表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よくある異世界への巻き込まれ転移  作者: セル・ライト
8/8

異世界生活1カ月後

あれから1カ月後、俺の冒険者カードはミスリル級の色に変わっていた。

バジリスクを討伐したあの坑道は、険しい山の山頂まで続いており、上に登れば登る程強いモンスターが現れるという、ちょっとしたダンジョンになっていた。ダンジョンと違い転移出来ないのが一苦労だが。

サリアにもらった報酬金貨5枚で、食料を買い込み山籠りをしている。


そして今、俺は山頂でドラゴンと戦っていた。


「人間風情が!いつまで粘りおる!」

「うるせぇ!このビリビリドラゴンが!お前こそいい加減くたばれ!」


雷を纏うドラゴンと戦いだして3日、流石はドラゴンというべきか、これまでどんなモンスターもアッサリと斬ってきたネメアだが今回は一刀両断というわけにはいかず、傷を負わせるだけにとどまっている。


「ちっ・・・なぜ儂の雷が効かぬ。寝こみを襲う卑怯者の人間が!」


雷を纏うドラゴンがイラつきながら言う。


「テメエがグースカ寝てるからだろうが!ただでさえ体格差が違うんだ、先手必勝だろうが!」


3日前山頂に到達した俺は、このドラゴンが寝ているのを見つけ隠密スキルを使い寝こみを襲った。せ体長10㍍はろうかというとドラゴンの寝込みを襲うのは、卑怯ではないはず。


お陰で雷属性無効に、雷竜魔法、竜言語、物理攻撃耐性大、魔法攻撃耐性大、状態異常耐性大など様々なスキルが吸収でき対等、いや他のモンスターのスキルもあるので若干優勢に事を運べている。


「ドラゴンと言っても大したことないな。まぁ、ペット位にはなるか?」

「グヌヌ、言わせておけば人間風情が!我に勝てると思っておるのか!」

「思ってるよ。じゃあ俺が勝ったらお前は俺のペットで。何その顔?負けるのが恐いの?」

「い、言わせておけばぁ!!上等だ!!我が勝ったら貴様はわしのペットだぞ!」

「OK、それでいこう。」


スキルも吸収したし、会話できるなら仲間にした方が得だろう。正直この3日間は、新しく得たスキルに体が振り回されていた。体力特大、敏捷特大に、魔力特大はともかく、加速が特に扱いづらく速度調整にようやく慣れたのだ。


「大体人に卑怯者呼ばわりするくせに、自分は空に逃げてんじゃねぇか!」

「フン。ドラゴンは空の支配者。飛んでこそ真の力が発揮されるのだ!」


翼をはためかせ、空を自由に飛び回る。だが、俺に自らの魔法が通じないため直接攻撃するには近づくしかなく、俺もその近づいた時しか攻撃の機会がなかった。それも戦闘が長引く要因の一つだろう。


「はぁ、もういい加減終わらせないか?お互い次の一撃で決着をつけよう。な?」

「良かろう!では覚悟せよ!」


そう言うと、ドラゴンは空を更に高く飛び豆粒ほどの高さまで飛んでいくと止まった。そして、俺めがけて身体を回転させながら飛んでくる。


「食らえ!ローリングサンダーアターック!」

「技名がダサすぎるっ!?」


思わぬ技名にツッコミながら俺は構える。


【マスター。頭の悪そうなドラゴンですね。】


久々に口を開いたネメアからは、罵倒の声が聞こえる。その言葉に同意しながら、近づいてくるドラゴンを見る。


「ここだ!加速!更に剛撃!」


スキルを使い、回転しながら猛スピードで突っ込んでくるドラゴンの死角に潜り込み更にスキルを発動させる。剣が深く突き刺さり、回転を止められないドラゴンの身体に螺旋状の傷が出来る。俺は何とかドラゴンが通り過ぎるまで風圧に耐えることができた。

ドラゴンは血飛沫をあげ徐々に回転が弱まり、地面へと堕ちていく。


(やっべ、死んだか?)


「グッ・・・。人間ごときに、負けるとは・・・。」


どうやらまだ生きてるようだ。あれだけの深手を負いながら生きているとは、流石ドラゴンというべきだろう。


「賭けは俺の勝ちだな。今日からお前は俺のペットだ。」


グルル、と悔しそうに呻きながら俺を睨み付けてくるドラゴン。


「人間ごときが!・・・しかし我は約束を違えぬ。仕方なかろう・・・。」


ドラゴンはうなだれながら呟き了承する。それを聞き届けた俺は、アイテムボックスから薬草を取り出しドラゴンに与える。ドラゴンの傷が徐々に塞がり血も止まっていった。


「お前の名前はライだ。悪いがしばらく付き合ってもらうぞ?事が終われば解放してやる。」


ドラゴンは渋々とうなずき、傷を癒すと言いネグラへと戻る。とりあえず、腹も減っているので俺もついていき腰を落ち着かせる。

辺りを見回せば、金貨や銀貨、剣や鎧などがゴロゴロと転がっている。


「これはお前が集めたのか?」


閉じていた眼を片方だけ開け俺を見る。


「若い頃の戦利品だ。欲しければ持っていけ。」


ライは、そう言うと再び眼を閉じ眠りに入る。


(貰える物はもらっておくか。)


金貨、銀貨をアイテムボックスに回収していく、武器も質が良いものが多く使わない物は売ればいいだろう。

次に防具を回収していく。ある一つの防具を見たとき俺の手は止まった。


【どうかされました?マスター。】

「いや、ちょっと良い考えが浮かんでね。」


目の前にある、漆黒の鎧にフルフェイスの兜を見てニヤリと笑う。


「後は、赤いマントもあれば最高かな。」



ある兵士の手記


その日は朝から激しい雨が降っていた。自分のツキのなさにため息をつきながら、仲間と共に巡回をする。


「チッ。2日前まで雷が鳴り止まない中の巡回で今日は雨か。ついてねぇぜまったく。」


仲間の一人が愚痴をこぼしながら歩く。街の中は商人と冒険者がチラホラと見えるぐらいだ。


「ぼやいても仕方ないだろ。さっさと終わらせて、早く詰所に戻ろうぜ。」


仲間のもう一人がそう口にした瞬間、バリバリツっという音に続き、ドォーンという音が近くで聞こえた。


「結構近く鳴ったな。一旦どこかに退避しよう。」


皆が頷き、近くに見える店に駆け出す。だが、そこで異変に気づく。


バリバリツ、バリバリツという音が絶えず自らの耳に聴こえてくる事を、そして、自らの足元に巨大な影がうつしだされていることに。


ゆっくりと上を見ると、そこに雷を纏ったドラゴンとそのドラゴンに乗る漆黒の全身鎧を纏った騎士がいたんだ。



険しい山の山頂、ライのネグラで2目の朝を迎える。


「傷は癒えたようだな。天気もいいし、行くとするか。」


山頂は陽に照らされているが、下を見れば分厚い雲が広がっている。雲の向こうはきっと雨が降っているだろう。


「一体何をするつもりだ?」


ガチャガチャと漆黒の全身鎧を纏おうとしている俺にライが聞く。


「今日は脅しかな。」


俺の言葉に首を傾げ、黙ったライ。準備ができた俺はライに乗せてもらうように頼む。

ライはブツブツと文句を言いながらも、背中に乗せてくれた。


「ライ、麓の街に行くぞ。俺のいう通りに動いてくれ。」


ライは、翼をはためかせ浮上し山の斜面を這うような低さで降りていく。分厚い雲を突き破った先はやはり雨で、あつらえむ向きの天気だった。

俺が1カ月掛けて登った山を凄まじいスピードで下っていき、あっという間に街につく。

街の上空をゆっくり旋回し、雷竜魔法により雷を発生させる。轟音と共に街の近くに堕ちる雷、同時に急降下して兵士の近くへとよる。

さすがにここまで来れば、他の住民達も異変に気付き、窓から顔をだし驚いているものがいる。


「聴け!愚かな人族よ!我は神の遣いなり、!この地は神が獣人族に与えた地!それを愚かにも、占拠し、獣人族を虐げている人間共に神はお怒りだ!」


そこで、雷竜魔法により街をグルリと囲う防壁を数ヶ所破壊する。


ヒィッと至るところから恐れおののく声が聞こえる。


「しかし!神は愚かな人族にも慈悲を与える!今より7日の間に、この街を出ていけば裁きを与えぬとの事だ!ゆめゆめ忘れるな!」


最後に一際大きな雷を時計塔におとす。ガラガラと崩れる時計塔を、街の者が呆然と見ている間に再び空を飛び山へと戻っていった。


7日後、再び街に行く。街は閑散として、見えるのは獣人族にサリアとエリーナだ。ライの背から飛び降り近づく。兜を外してみせると、サリアとエリーナ以外の獣人族は驚いていた。


「やはり貴方でしたか。ドラゴンを従えるとは。」


軽く手を挙げ、サリアの言葉を遮る。


「獣人達よ!人族達との戦いはこれからだ!自らのいきる場所を、我と共に守ろうとするものは我と共に来い!」


ワーーー、という歓声が聞こえた後は300名程の獣人族が前に出てくる。俺はアイテムボックスから武器、防具をとりだし与えていく。


「行くぞ!この世界の未来のために!」


遥か未来まで語られる英雄の物語が動き出した瞬間だった。

いきなりですけど、この話で完結させていただきます。お読みくださりありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ