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よくある異世界への巻き込まれ転移  作者: セル・ライト
4/8

いざ、ダンジョンへ

お読みくださりありがとうございます。

 翌朝、一人部屋を堪能した俺は爽やかな朝を迎えた。朝食は付いているのだが、メニューは変わらず固いパンに野菜の欠片の入ったスープだ。朝食を食べ終わり冒険者ギルドに向かう。時間は8時前。

ギルドの中に入り、エリーナの下へ向かう。他にも受付嬢はいるのだが彼女の場所だけが空いている。別に彼女が他の受付嬢に見劣りするような容姿ではないのだが、そこだけが空いているのは彼女の雰囲気のせいだろうか。

 白銀のショートヘアに鋭い目つき。掛けているスクエアフレームの眼鏡が知的な印象を与えている。鼻もスラリと高く、唇は小さく綺麗な形をしている。間違いなく美人だが、近寄り難い雰囲気も出しているのは事実だ。まあ、俺はキツメの女性がタイプだから行くけどね。


「エリーナさん、おはようございます。」

「おはようございます。ミヤベ様。今日はどういったご用件でしょうか?」


鈴のなるような美声で美女から挨拶をされる、それだけで今日一日頑張れそうだ。にやけそうになる顔を引き締め質問する。


「ダンジョンについて知りたいんですが?」

「ダンジョンについてですね。かしこまりました。ダンジョンというのは・・・。」


ダンジョンというのは、遥か昔に造られた遺跡の事を言うらしい。遺跡には様々なモンスターがいて、下層に行けば行くほどモンスターも強くなる。だがそれだけだと冒険者が好き好んでいくわけがない。

当然、宝もある。宝も下層に行けば行くほど中身はいいものになる。それを目指して冒険者はダンジョンに行くのだという。


「尚、ダンジョンには各階層ごとに転移陣があり、一度その転移陣を起動させることで再びその階層から探索できるようになっております。しかし、いまだにダンジョンの最深部に到るものはおらず現段階では20層までが最高到達地点になっています。」

「成る程。しかし、上層部だと宝がないのでうまみはなさそうですけど。」

「不思議なことに、宝箱は一度あけるとランダムで別の場所に現れるようになってますので。ですからまったくうまみがないわけでもありません。」


それを聞き俄然やる気が出てくる。どこの世界でも金は大事だ。


「ダンジョンに行かれるのですか?せめてあと一人お仲間をお連れした方が宜しいかと。」


エリーナの言葉にクスリと笑い俺は答える。


「大丈夫ですよ、俺達・・ならね。」


俺の言葉にエリーナは小首を傾げる。そんな彼女をそのままに俺は冒険者ギルドを出て行った。


走る、ただひたすら走り森へと向かう。スキルのお陰で息一つ切れもしない。森へついても、ダンジョンにつくまで走り続けた結果、エルエットから一時間程でついた。

森の奥は少し拓けており、ボロボロの石柱に囲まれた神殿が建っていた。石柱の近くに他の冒険者もいて、森の奥とは思えない程の人がいる。神殿の中は、外観とは違い綺麗に整備されている。ダンジョンに入る階段までの距離には、露店が並んでおり、回復薬や武器に防具、食料などを売っていた。俺は金がないので何も買えないけどね。


ダンジョンに入る階段の前で、ギルド職員がダンジョンに入っていく冒険者のチェックを行っている。エリーナに聞いた話では、ダンジョンに入って一週間以内に戻って来なければ死亡認定されるとのことだ。

ダンジョンに入ってすぐの転移陣は、人数制限があるらしいので1組入ると5分後にしか次の1組は入れない。俺は15分待ってダンジョンに入れた。

 といっても俺は転移陣をまだ使えない為、そのまま転移陣のある部屋を素通りし扉を開ける。扉の先は、大人が3人程並んで通れそうな通路になっており、天井は4~5メートルはありそうな高さだ。

 全体的なつくりは、大きな石を組み合わせて造られた物であり俺は古き良きダンジョンゲームを思い出した。

3分程進んだところで現れたのは、剣を持ったゴブリンだった。森にいるゴブリンよりも若干逞しい体つきをしている。


 【お任せを!】


ダンジョンに入った時にすでに抜かれている黒い刀身の剣、ネメアは正眼の構えを取りじりじりと距離を詰める。剣を持ったゴブリンも、闇雲に剣を振り回すのではなく構えを取って距離を詰めてくる。互いの間合いに入り、互いが剣を振りぬこうとするが敏捷UP中のスキルのおかげでこちらの動作が速い。慌てた剣を持ったゴブリンは剣を横にし頭上まで持ち上げ受けようと試みている。

 しかし、その見事な反応をものともせずネメアは剣ごとゴブリンを切り捨てた。


【マスター。剣術初級のスキルですよ。これでマスターも剣を扱えるようになるますね。】

「へえ、確かにネメアを持っても違和感を感じない。」


俺は正眼に構えネメアの助力なしに、ネメアを振る。袈裟斬り、逆袈裟斬り、突き、払い全てがスムーズに振れている。


【お見事ですマスター。】

「ありがとう。って言ってもスキルのおかげだけどな。けどスキルの重要性がよくわかったよ。」


剣道すらしたことのない俺が、素人とは思えない振り方をしているのだ。こうした技術的なスキルを得るとスキルの重要性がよくわかった。


【では先に進みましょう。マスター。】


死体を回収し終えた俺は頷き、先へ進む。1階層なので既に踏破され地図も出回っているのだが、金がないし結構な額になる。まあ、ネメアのオートマッピング機能があるので特に地図は必要ないだろう。

進むただひたすらに進む。あれから2時間は歩いただろう。現れるモンスターは剣を持ったゴブリンのみ。おかげで俺の剣術スキルは上級になり、ネメアの補助なしでゴブリンをたやすく仕留めている。


【これで8匹目ですね。マスター、合成の結果[剣術匠]のスキルを得ました。このスキルはこれ以上合成できませんので、早く別のモンスターに会えるといいですね。】


全くネメアの言うとおりだ。様々なモンスターって言ってたのに。この階層だけがそうなのかもしれないが。気を取り直し先に進んだところで下に降りる階段を見つける。ようやくゴブリン以外のモンスターに出会えそうだ。


そう思っていた時期が俺にもありました。ってなんでやねん!2階層に降り先に進む。各階層に降りる際に転移陣があるのだが、一旦戻ることになるので今回は無視だ。その先に待っていたモンスターは弓を持ったゴブリンだった。皆さんもお察しだろうこのモンスターが持つスキルを。そう、弓術初級でした。敏捷UPのスキルにより一気に距離を詰め横薙ぎに一閃、首と胴体が離れ血飛沫があがる。


「くそ俺にはネメアがいるから、弓術なんて必要ないのに。」

【ありがとうございます、マスター。しかし、スキルはあって困るものではありません。】

「そ、そうだな。いつか弓が必要な時があるかもな。」


ネメアの言葉に、頷く。


【さあ、どんどんいきましょう。】


ネメアに促され先へと進む。順調に進んでいるように見えるだろうが、実は結構行き止まりにあったりする。ここまで宝箱は一度も見てない。まあ、その分弓術のスキルは上がって[弓術匠]になったが。

ダンジョンに入って6時間程だろうか、今の成果はゴブリンの魔石と素材20セット。宿を一人部屋にしても、着替え位は買える余裕がある。今日は戻ることに決め3階層への階段を探し、転移陣のある部屋に行く。転移陣に乗ると青白い光に包まれ、浮遊感を感じる。10秒程すると青白い光は消え浮遊感もなくなった。

正面にある部屋の扉を開け外へ出る。どうやらダンジョンの入口の転移陣のある部屋とは違う場所で、神殿の入口側に出たようだ。


「お疲れ様です。お名前を確認させて頂きます。」


部屋を出るとギルドの職員がチェックをしていた。露店の脇に掛けられた時計の針は3時(15時)を指しており、露店商も一旦街に戻るのだろう。護衛と共に店じまいをしていた。俺はそれを横目に見ながら神殿の外に出て、街まで走り出した。


街に着きギルドへ向かう。エリーナのもとへ行き魔石と素材をだす。


「ソードゴブリンの魔石と素材10セットにアーチャーゴブリンの魔石と素材10セットで、しめて銀貨2枚になります。」

「おお、思ったより多いですね。しかし、良く魔石の種類が分かりますね?」

「僅かにですが、魔石の色や形等が普通のゴブリンの魔石とは違うのです。新人の頃は私も見分けがつきませんでした。」


2種類の魔石を、マジマジと見るが区別がつかない。


「うーん、違いが全くわかりません。凄いですねエリーナさん。」

「いえ、それほどでもありません。それよりもその布袋の方が凄いですよ。そんなに小さくてこれだけの量を入れることができるのですから。」


エリーナのその言葉にドキリとする。


「あ、あはは・・・。見た目によらず意外と入るんですよこの袋。知り合いからもらった大事な物です。」


そうですか。とそれ以上聞かれずに、銀貨2枚を渡される。エリーナに服屋の場所を聞き、噴水広場の近くにある服屋へ行く。今着ている物と似たような布の服を2セット買い、下着も買う。銅貨30枚を支払い酒場に行き食事と、今日は奮発して果実酒を頼む銅貨10枚。

冷静に考えれば一食1万円なのだがこの世界では、これぐらいが普通の相場なのだろうか。今日のメニューはオーク肉のステーキ定食。癒し亭の固いパンとは違い、酒場のパンは柔らかく旨い。スープも具がしっかり入っており野菜の欠片ではない。肉も柔らかく、口の中で蕩けていく。何よりも酒が旨い。エルエットの特産品オーリと呼ばれる果実を使った酒は、甘く飲みやすくノド越しがいい。


【マスター、明日はゴブリン以外のモンスターに出会えるといいですね。】


ネメアの言葉に頷き食事を終えた俺は、癒し亭に戻りほろ酔いのいい気分で眠りについた。

宮部ヒロ

能力・・・体力UP大・敏捷UP中・剣術匠・弓術匠

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