(7)
――一日がたって、みほが俺に言った。そこは学校の教室だった。
「修一ぃ、売れたよ。あのカード」
「売れたって、入札がついたのか? いくら?」
「まだ三百円だけど」
「三百円……じゃあ入札一だな」
オークションでは競い合う者がいて、初めて値段が吊り上げられていく。だが、欲しい人が一人だったらいつまでたっても値段は変わらない。結果、三百円で落札となるわけだ。
みほは送料や発送のトラブルを避けるために送料を無料にしたようだ。メール便は八十円か、百六十円。それに手間も考えたら儲けなんかないに等しい。
「まだ四日ぐらいあるんだっけ? 運が良ければまた上がるってさ」
「また上がったら雑貨の福袋欲しいな~。ルンルン♪」
お前の頭は駿河屋だけかっての。
その夜、みほから電話がかかってきた。
なんだろう? いくらか声は慌てている印象だった。
「しゅ、修一?」
「あぁ、俺だよ。どうした、なにかあったのか? そんな辛そうな声して」
「違うの。らんま1/2が……いつの間にか千五百円になってる!」
「千五百円?」
ほとんど捨てる間近だった、あのらんま1/2のカードが……千五百円。
「カードはやはりいつの時代でも高値だ」
それは手頃なサイズだというのが理由だろうか。種類が多くて集めがいがあるというのもある。
集めるのが楽しいのだ。今では普通に買って集めることはできない品物。希少と言えば希少だ。一部の人たちにとってだが。
「千五百円……やるなぁ。これで送料分引いても十分にプラスだ。しかもお前、ほとんど手間かけてないな。なんだこの、『カードセットです。中古です。よろしくお願いします』ってのは。三行で商品説明終わってるじゃないか」
「こういうのはシンプルなほうがいいのよ。オークションストアなんか情報が多すぎてワケがわからないでしょ。ああいうのって買うときも大変なんだよ。オーダーフォームに情報を入力してさ」
「そっか、シンプルだからこそいい……かもしれん」
さらに二時間後、みほからメールがきた。
メールを読むと二千百円に上がったって。あのカード、もう少しで捨てるところだったのにな。
んー、今回は駿河屋にも驚かされたがヤフオク利用者にも驚かされたなー。欲しい人は欲しいんだ。駿河屋も自分のとこで売ったらよかったのに。四百八十円が二千百円か……しかも価格はまだまだ上がる余地あり。一体いくらまで上がるんだろ、俺も楽しみになってきた。……あー、これであいつ、ますます味をしめただろうな。今度はもっと買いそうだ。
――買った。買ったんだって、四箱も。
翌日、学校で。
「アホか、お前。四箱も買ってどうする?」
「だぁって、それでも二千円いかないんだよ?」
「いや、安いのはわかるがな。……安い、確かに安い。それはもう『駿河屋さん。本当にこの価格であってます? 間違って安くしすぎてませんか?』って言いたいぐらいにな。しかし四箱はさすがに……ってか、よく買えたな。制限とかに引っかからなかった?」
「うん、大丈夫。わたしもそこだけ心配だったんだけどね。まぁー、二個は買えるだろうと思ってたの。で、試しに三回目注文ボタン押したら買えたの。で、さらにもう一箱欲しいなーって思って」
「押したら買えたの、か」
「そう」
「まあ、そのときは家に呼んでくれよな」
「なによ、珍しい。自分から行きたいなんて言うのって初めてじゃん?」
そりゃあ、四箱も届くんだ。同時に。
どんなカオスな状態になるんだ。もうワケわからん。一箱でもあんなにワクワクできるんだ。それが四箱……しかも二千円かからない。
駿河屋、あんたはどれだけ客を喜ばせるつもりだ? こんなの……最高じゃねーか。
――というわけで五日後に雑貨の福袋が四箱、みほの家に届いた。
俺はいつもより緊張してみほの家を訪問する。息遣いが荒かった。
みほも目が血走っていた。獣を追う目だ。野生の、ハンターのような。
実際、駿河屋の福袋は宝箱みたいなものなので、そういう気持ちになるのも頷ける。しかも損することは……ない。確実に四百八十円以上のものが入っている。俺は十倍の五千円分ぐらいの価値があるのではと思っている。
そうそう、らんま1/2のカードについてたが、ようやく落札日を迎え、結局六千円で落札された。超ラッキーだぜ。なんとも羨ましい。
まさか今回もするのか? 転売?
みほがギャンブルにはまったら大変そうだ。まだ駿河屋で楽しんでるだけのほうがずっといい。
「は、入るね。じゃあ」
「お前の家だろ、普通に入れ。あとからついていくから」
なに軽く混乱状態になってんだよ。自分んち入るのにインターホン押そうとするな。
「た、ただ今ー。お、お母さん、駿河屋から荷物届いたー?」
カミカミじゃないか。駿河屋って言葉がこの家ではもう普通になってるんだろうな。一般人だったら羊羹のほうをイメージするぜ。
みほの部屋に入ると、中にはダンボールが四箱。
「うお、すげぇ。いきなりか……前のマンガ五百冊のときは玄関だったのにな」
「軽いからね。本と比べたら」
「よし、ちょっと持たせてみな。……よっ!」
四箱、持ってみてわかったことがある。重さにかなりバラつきがあることを。
軽いのはたぶん衣類系が入っているんだと思う。前回のワンピースのクッションのようにな。
「……これが一番重いぜ。こいつから行くか? ニヤリ」
思わずにやけてしまった。まあ開封する順番なんてぶっちゃけどうでもいいんだが。最後には全部開けるんだし。
「よし、じゃあそれから開けよう」
中からグラスが出てきた。コップともいう。重い正体はこれだった。
一つや二つではない。八個ほど入ってた。
「コップか……使い道ねーな。しかもビール系が多い。ディズニーのコップは絵柄が全面に出すぎてて使いにくいよ」
「はずれ……? でもたくさん入ってる。小物とか」
「そりゃあグラスだけじゃあ格好つかないからな。ん? 箱に小物を入れているパターンが多いな。箱は小物入れとしても使える。けっこうお得かも」
「小さい箱ね。わたしは特に使い道ないわ」
目についたのはガチャガチャのフィギュアなどを入れるケースがあったこと。その中にはグラスが二つ狭そうに入っていた。
「おい、ここに入れるか? すごいセンスだぜ、駿河屋」
ガチャガチャも何個か入ってた。食玩か? ビニール袋に入れられていたらよくわからない。でも一つ気に入ったシリーズがあった。消防車シリーズだ。
「かっこいいな、これ。ちょっと不謹慎かもしれないけど。四つあるのか? ……リアル。すげぇ、欲しい」
「売ってあげるよ。一個二十円」
「……まあまあ妥当な値段だな。ウルトラマン系も多いぞ。お前、こういうのは好きじゃねーの?」
「わたしは……これかな?」
アザラシのストラップみたいなガチャガチャか……。女の子ウケしそうなデザインだ。マジ、男女楽しめる作りになってるよな。ちゃんと考えてんだ、すごいわ。四百八十円なのに。
あとはマクドナルドのおもちゃとか……食玩、ガチャガチャが多いかな。
「おっと待て! 駿河屋!」
「どうしたの?」
「バッチだ。すげぇある。五十個ぐらいあるぜ」
「本当だ。……マジハンパないよね」
「あんまり知らねーな。乙女ゲーのやつか? もしくは同人? 男の俺がほとんど知らないんだからな。あ、どさぐさに紛れてルフィのバッチが四つぐらいある。こんなにバッチ付けてたら服が穴だらけになるぜ」
「北斗の拳のぬいぐるみキーホルダーだ。しぶぅー……」
「しかも南斗五車星か。ケンシロウとかレイとか、まったくそういうのないし」
「じゃあジュウザばっかり人気が集まるよね」
「……俺はお前のレパートリーがよくわからんのだが」
続いて二箱目を開ける。とにかく開けたい。まずは全部の箱を開けて、それからゆっくり見ることにした。
気になるものだけを話題に取り上げる。いくぞ!
「おっと、でかい。これ、カードフォルダーだよな? ピタてん? ……ようわからんが、商品自体はしっかりしている」
三十ファイルぐらい付いているのか。ほとんど使われた形跡がない。一つのファイルに十八枚入るから……五百枚ほど入るのか。すげぇボリューム。こんなの百均じゃあ到底出せないクオリティーだ。百均のはビニールが脆い。表紙さえ気にしなければすげぇ優れものだ。
「腕時計……? なにこれ、アニメとか関係ないじゃん。普通の腕時計だ。うはっ! セーラームーンのシールがある。みほ、これってらんま1/2のときみたいにならねぇかな?」
「いいんじゃない。セーラームーン、有名だしね」
宝の山だな、ここは。他にもたくさん出てきそうだ。……聖闘士星矢のメンコ! キタコレ!!
「すっげ、うわ、すっげ!!」
「なによ、うるさい。メンコぉ? ……メンコってなに?」
「いや、メンコはメンコだろ。その昔、スマホもケータイもない時代がありました。PSPもDSもない時代です。あるのはファミコン。だから子どもたちは外でよく遊んだのさ。メンコ、ビー玉。そう、親戚の兄ちゃんから聞かされた。……うわっ! 聖闘士星矢デラックスカード! なんかこの紙袋のチープさがいい! しかも未開封だ。なんで? どういう経緯で未開封のまま保存されていたわけ? 一度も開けたいって衝動に駆られなかったの?」
「なに一人でブツブツ言ってんのよ、気持ち悪い……」
「エヴァンゲリオン ICカードステッカー! ……う、なんだこれ? しかも非売品? え、これどうやって手に入れるものなの、本来なら」
「わからないときは……?」
「「ググる!」」
……はもった。久しぶりに。
調べたら一枚二百円ぐらいの価値があることがわかった。それがなぜか四枚ある。得した気分だ。
「わぁっ、重っ!」
「どうした?」
みほが手にしていたもの、それは下敷き!
「おぉ、下敷き……」
中学生になってから全然使わなくなった下敷き。だが、小学生のときは必需品だった。鉛筆だとなぜか、下敷きなしで書くとページが汚れてしまうからな。
アニメの下敷きはおそらく中学生から高校生を対象にして販売している。だから実用品ではなく。観賞用なのだ。しかし、この枚数……多い!
一枚一枚の下敷きなら、なんてことはない。二十枚も集まったらかなりの重さだ。一枚二百五十で二十枚だと五千円! うひゃー、たまらんぜ。
絵柄は十五年ほど前にはやったアニメ。当然、俺はほとんど知らない。
「……売るか?」
「売ろう!」
だよな、いらないものは売ったらいい。こういう下敷きなんかも好きな人は好きなはずだ。今ではどこでも売ってないからな。いやぁ、ヤフオクっていいなぁ。
「ちょっ、これ! ハル……ヒ?」
あのハルヒか。それのTシャツだ。……これ、もしかして三千円ぐらいするんじゃねーか。
「ちょっと、ググる」
「好きねぇ、ググるの」
……おうっ!
くそっ! 調べたぜ。なかなかヒットしねぇ。詳細を得るまで三十分ほどかかった。気分はもう探偵だ、ちくしょう!
なんて別に腹が立っているわけではない。興奮しているのだ
これは角川文庫の『二〇〇七 角川文庫 発見。ちょっくらぶ』対象商品(もちろん本)を二冊買い、そこのサイトにアクセスするとブックカバーが貰えるという。そのときの抽選でもらえるTシャツのようだ。
普通にレアじゃねーか。なんでこんなもんを四百八十円の福袋に入れちゃってんの? 駿河屋。
「ま、まあいい。何名様に当たるかまでは調べていない。もしかしたら全プレだったかもしれないし。そうだとしたら価値は低いか……まあ俺もみほもこのTシャツは着れないな。着る勇気がない。次、行こうか」
「修一! またTシャツあったよ、ほら!」
今度は黒地だ。ハルヒのは白地だったからな。……ん? 字か? でかでかと書いてやがる。えー、『初音島に住んでます』だって。……なんのこっちゃ?
「初音ミク? ……初音って聞くとどうしてもミクをイメージするんだが。とは言っても俺はそれほど初音ミクに詳しくない」
「じゃあ調べたら? あんた好きでしょ?」
「むぅ、気になったらとことん調べる性分でな。なんて、普段からそうじゃないんだが、こういうどうでもいい福袋の疑問はどうしても調べたくなる。福袋になんか負けるかって気持ちなんだろーな。あぁ、待ってろ……」
――そして、五分後。
「サクラサクD.C.III~ダ・カーポIII? に関係あるんだってさ」
「なに、それ? もう一回言ってみて」
「さくらさく、ディーシー、ダ。カーポさん? スリー? ……よくわかんねぇよ」
「自分の知らないジャンルの商品が届くってある意味すごいよね。毎度勉強になる」
「Tシャツは高そうだな。心なしかTシャツが二枚入っている箱はプチプチが余計に入っている気がするぞ。水増しか」
「いいじゃん。四百八十円でTシャツ二枚の時点ですでにお得なんだしさ」
「だよな、普通に……次、行くか」
イナズマイレブンの下敷きが十五枚ぐらい出てきやがった。ミニ下敷きか。イケメンとそうでない奴との差がひどすぎる。こりゃあ人気はきれいに二つに分かれるだろうよ。
ナツコミ2011? ……なんだ、この丸メンコでも入っているような銀の袋は。未開封か。……開けないほうがいいだろう。これも売れそうだな。
おっと、集英社繋がりで少年ジャンプのトランプか。非売品?
調べるか……二百円ぐらいの価値。最近、価値ばっかり気にしているな。トランプなら百均ので十分だからな。このトランプはサイズが小さいよ。
「おい、るろうに剣心のフィルムだぜ……これって高くないか?」
「フィルムってさ、実際に使われたフィルムなの?」
「そうじゃね? ……いや、知らないけど」
「映ってるの剣心だよね。かなりいいショットなんじゃない」
「だよな。しかも今気づいたけどこれ、売ってるやつだし。四百円。だったら左之助は二百円とかか? そうしないと売れないだろ。雑魚の敵キャラとか十円でもいいところだぜ。やっぱり量産のフィルムだよ」
「アニメって深いよね。わからないことばかり」
「これでもちょっとは知ってるつもりだったんだがな。深いな、マジで。数年前に実写の剣心あったじゃん? だから今、人気すごいんじゃねーの」
次はすごかった。しおりふうにしたフィルムが五十枚ほどあった。枚って言っていいのかわからんが。
「多すぎだろ。やべっ、興奮してきた。なんのアニメ?」
「アニメじゃないみたいね。見る?」
「あぁ」
みほからフィルムを受け取る。……実写か? コンビニのシーンが映ってるな。あ、これもコンビニのシーン。……コンビニのシーンばっかりじゃねぇか!
「しおりを入れる袋が四枚ほど一緒に入ってるな。……銀のエンゼル? そういう映画があったのか。ふーん」
この枚数はすごいな。ファンならきっと欲しがるだろう。レアだな。
「キューピー零戦。キューピーが零戦になってら。すごい組み合わせだな。発想がすごいよ」
「これはキューピーファンも軍事ファンからも支持がありそうね」
「すべてのことに言えるんだが、興味のない人にとったら本当にどうでもいいものだよな」
「同感!」
まだまだあるぜ。いい加減に疲れてきた。お、今度はフィギュア箱か。フィギュアばっかり入ってら。どれ、一発目はカーネルおじさんか! 貯金箱になってら。これはこれで面白いな。
んー、目玉のオヤジか。よく見てみりゃあグロいよな、こいつ。
アンパンマン、ピカチュウ、ドラクエのスライム……まあ黄金パターンだよな。人気キャラはフィギュアになりやすい。
「なんだこれ? バケツみたいなやつが出てきたぞ。しかも……電撃プレイステーション? 雑誌の認定を受けているフィギュアだ。レア?」
――約十分調べるが手がかりがなにもなし。ここまでノーヒントなのも珍しい。
出ねぇ、出ねぇ、出ねぇ! ……はぁ、そろそろめぼしいものは終わりか。まあなかなか楽しめたかな。
「んじゃ、俺は帰るぜ」
「あん、出品するの手伝ってよ」
「出品って、ヤフオクか。どれ出すの? 聖闘士星矢とか売れそうだよな。五個ぐらいに絞ったら?」
「商品が多かったら送料も高くなるでしょ? だからメール便で送れそうなやつだけにしようかな」
なるほど、確かにそれはいいかもしれない。メール便は二センチまで発送が可能。ガチャガチャの人形など送れない。やっぱりカード、紙関係だな。下敷きも薄いぞ。
「前、コンビニで服をメールで送ってる人がいたぞ。Tシャツも売れよ」
「うん、そうする。千円ぐらいなら売れそうかな?」
千円。Tシャツは二枚。二枚とも売れて二千円か。元は十分取ってる。ハードルは低い。
「雑貨福袋とヤフオクのコンボ、パねぇな、ホント」
「売れそうな商品はこっちの箱。それ以外の商品はこっち」
「それ以外の商品はどうするんだ? ……リサイクル屋にでも行ったらいい。小物が十円なんかで売れるかもしれないからな」
「近くにないじゃない、リサイクル屋さん~」
「ほら、フリマとかもあるじゃん。現金を回収して無限ループしてみたいじゃん、せっかくなら」
――俺も手伝って、みほがヤフオクに出品する商品は十個に絞った。
「ん、なんだこれ?」
俺の手のひらの大きさぐらいだ。箱?
「あぁ、それ? カード? みたいな写真? が入ってた」
「そんなの、売れんの?」
「非売品って書いてあるから一応出してみるつもりだけど……」
「ま、いいんじゃないか。二百円ぐらいで売れるんじゃね。好きな人がいれば。俺は聖闘士星矢のほうが売れると思うけどな。じゃあ仕分けも手伝ったし、帰ってもいい?」
「まだ。写真撮って出品までするんだから」
「そんなのお前一人でできるじゃないか」
「ダ~メ。こんな面倒なこと、わたし一人だと投げたくなるわ。だから、お~ね~が~いっ!」
「わかった。袖を引っ張るな、伸びる」
仕方ない。それだけ手伝ってやるか。じゃ、まずは写真っと。
パシャ、パシャパシャ……。
十点だと言っても、一つの商品につき二枚、もしくは三枚写真を撮るからけっこうな枚数だ。そしてけっこうな労働。
くそっ、まあ福袋を開ける楽しみを分けてもらったし、またオークションの楽しみも増えるということでまったく無意味というわけではないのだが。
「――ふぅっ、終わったぞ。さ、データを移そう」
「ケータイから送信みたいなことしないの?」
「しねぇ。俺もお前もガラパゴスなんとかじゃないか。そんな器用なことできねぇよ。ちょっとパソコンにつなげたら一気に金がかかる低料金プランだ。そんなリスク冒したくねぇ」
「千三百円だもんね。わたしたちのケータイ料金……」
そう、二人は常にエコだった。