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  2 うまい棒の結末


 それからしばらくの月日がたった。

 俺とみほは学校が同じで教室も同じだ。話すことはなくても、毎日顔を合わす。――前からみほの顔色が悪いことに気づいていた。俺はもう話しかけずにはいられなかった。

「みほ、顔色悪いぞ。大丈夫か?」

「あ、修一……話しかけてくれるなんて珍しいじゃない」

「そりゃ、そんな顔してたら誰だって心配するぜ。あれか、またツイッターやってんのか。二十アカウントのやつ。それとも三十アカウントぐらいにした?」

「そんな……十アカウントのままよ。もうずっと放置。五日に一回ぐらい駿河屋で売れるの。わたしのアフィリエイトリンク経由でね」

「よかったじゃないか。駿河屋に貢献してると思うよ」

「ふふ、ねぇ。それよりわたしの顔色が悪いって話。どんな感じ?」

「どんな感じって……鏡見てないのかよ?」

「普段見てるとなかなか本人は気づかないってことあるでしょ? ……ね、言って。修一なら本当のこと言ってくれるでしょ」

「ん、まあ……それでいいって言うんなら。まずはニキビが増えたよな。あと肌も荒れてる感じ。ツヤツヤ感がない。ビタミンっつーか、栄養摂ってんのか?」

「あー……やっぱり」

「やっぱりってなんだよ。心当たりあるのか?」

「もちよ。……さすがに毎日うまい棒三十本はキツイか」

「……あ? 今なんて言った?」

「うまい棒三十本。賞味期限の問題もあるでしょ。それに多すぎて邪魔で仕方ないわ。だから食べてるの。毎日。三十本」

「アホ……だろ。飽きたか。捨てろよ。それが嫌だったらクラスの奴らにでも配れ。喜んで食ってくれるぞ」

「わたし……なんか間違っていたような気がする」

「今頃かよ」

「ノリで買っちゃった……ノリで」

「ノリで行動することが必要なときもあるが、場合によっては危険なときもある。って、そんな当たり前のこと言わすな」

「わたし、もう食べたくないよ。うまい棒……」

「だからクラスの皆に手伝ってもらえって」

「そんなぁ……なんて言って配ればいいのよ。『うまい棒、三千本買ったけど食べられなくなったから食べて下さい』って、そんなこと言える?」

「そのセリフ、過去に戻って、うまい棒を買う前のお前に聞かせたいよ」

「冷めた……駿河屋熱、もういいや」

 なんだ、このオチは……。

「結局何本食べたんだ。えぇ?」

「二百八十本……ぐらいかな」

「まだ十分の一にも達してねぇ。先は長いぞ」

「そ、そんなぁ」

「これからもっともっと体を壊していくわな。肌もカッサカサで髪の毛もあぶらっこくなって、そのうち女友達からも避けられるぜ」

「そ、そんな……ヒクヒック!」

「泣くな……悪かった。ちょっとした仕返し。あのとき、俺の言う話、全然聞こうとしてくれなかったから」

「ごめっ、ごめんねぇ……」

「放課後行ってやるよ。食ってやる。一日百本ぐらいだったらいけらぁ。一か月もすればきれいさっぱりお前の家からうまい棒はなくなってるぜ」

 甘いな、俺も……。守ってやりたい、俺はそう思ったんだ。こいつを、みほを……。

「修一、ありがとぉ。ホント、ありがとぉね」

 こいつとはずっと一緒にいてぇ。これから大人になってもずっと、ずっと……。

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