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引退魔王道中記  作者:
3/3

魔王と勇者

皆さんお久しぶりなのです、魔王です。

お得意の影魔法で街の側に転移出来たまでは良かったんですけど状況はあまり芳しくないです、ハイ。

ここに来るまで全然頭になかったんですけど私ってお金もってなかったんですよね。

魔王なんて称号持ってますけど懐はゼロだなんて虚しい。

しかもこの魔族って結構人間から嫌われてるらしくて魔族の特徴とも言われる赤い目を見ただけでどの店も入店断られるんです!!

確かに魔族は世界から滲み出る瘴気が濃密に集まることで生まれるから殆どの奴は狂暴だけど!!

そうじゃない奴も偶にはいるんだよ!!!

私とか!!

まぁ宿に泊まれなくても適当な影に入って寝るし、邪険にした店の食べ物を影越しにかっぱらってやってるんで生活に困ったりはしないんですけどね。

だけれども足がついたらまずいんで街から街へと荷馬車の影に潜んでただ乗りで当てもなく旅しています。

まあいつまでもこんな差別され続けるのはイライラするので次着く街では魔族だってばれない秘策を考えたのです。

要は瞳が赤くなければいい。

結構な量の魔力を消費して瞳を黒く染める影魔法、名付けて『アイ・シャドー』を自分にかけました。

これで周りからは私は黒目に見えるはずです。

即席で作った上に見た目は真っ黒に見えるように、それでいて視界はクリアに見えるようにと非常に精密な魔法になってしまって精々10分が限界ですけどこれ魔法があればもうちょっとマシな生活を送れるはずだから満足満足。

私はすっかり意気揚々と街に入って行きました。

で、困った。

せっかく楽しく街をぶらぶらしてたのになんかみすぼらしくてくっさい男に肩をガシッと掴まれたので新手の痴漢かと思ったんですけどこいつの体から滲み出る聖属性の力、この属性を持っているのはこの世界で1人だけ。


「げっ!!?勇者!?」


思わず言ってしまってしまったと思いました。

勇者のことはあまり世間一般には広まっていません。

ましてや顔を知っている人なんて相当少ないはず。

なのに思いっきり墓穴掘ったよねコレ、明らか怪しいよね私。

私の動揺とは裏腹に発言ミスに気がつかないほど興奮した様子の勇者は号泣しながら私に抱きついた……って、


「ぎにゃあァァァァァァァァァァァ!!!??」


「愛梨ィィィィィぃぃぃィィィィィ!!!!!」


いきなり泣きながら抱きつかれるとか怖い!!怖い!!

ぞわりと鳥肌が立ち、勇者の拘束から逃れようとするけどホールドがっちりしすぎて無理、魔族としては破格の非力さを今ほど怨む時はないだろう。

つーかさっきから誰やねん、アイリって?

カオス過ぎて何がなんだかわかりませんけど私の自由が飛び立つ音が聞こえた気がします。


*魔法紹介*

 聖魔法

かなり希少な魔法であり、使えるものは何万年かに1人ぐらいの割合。主に浄化の力に特出しており、魔族やモンスターには大ダメージを与えられる。また身体強化もでき、戦闘に特化した能力であるともいえる。

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