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地平の旅人  作者: 白翼冥竜
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Act.76 終わりか、始まりか

   Act.76 終わりか、始まりか


 そう、その黒き竜の名は、インフィナイト。

 ギルティア達の旅の『終着点』を名乗った存在であり、ギルティアの倒すべき、最強の敵であった…。

「また、私との戦いの為に世界を作り出したのですか…!!」

「それだけではない…今回の目的の為には、境界空間そのものに影響を及ぼさぬために、こうする必要があった…それだけだ」

 インフィナイトはそう言って、ヴェネディクスの核を掲げる。

「さぁ…この宇宙群の鍵よ!汝と余の願いを叶えようぞ!!」

 ヴェネディクスの核の周囲に、凄まじく巨大な魔法陣が展開される。

「異形の力が鍵の力にどのように影響を及ぼすか、今回の戦いから得たデータは…余の目的を新たなる段階へと進める!!」

 核から憐歌が浮かび上がる。

「汝の力…余が預かる!!」

 憐歌の胸から、蒼い光の球体が抜け出してくる。

「…な…馬鹿な…!?」

 それが、インフィナイトの胸部に吸い込まれていく。

 ギルティアは、アクセス能力がインフィナイトの方へと移動した事を、理解する。

「…そんな、事が…!!」

 エルヴズユンデが魔法陣から放出されるエネルギーを強引に突破し、

 核へ、憐歌の元へと突入し、ヴェネディクスの核を回収し、憐歌をエルヴズユンデの核に収容する。

「憐歌!憐歌!!しっかりしなさい!!」

 憐歌は気を失っているだけだ。

「…命に別状は無い。ただ、彼女の心臓部にある鍵としてのアクセス核を人間の心臓と入れ替え、内部の鍵としての器官を、全て人間の臓器へと変換しただけだ」

 インフィナイトの言葉に、ギルティアは驚愕する。

「まさか…鍵を人間にする事など…!!」

「可能なのだよ、この異形の力を制御する事が出来るならばな!!

 汝とて、あれだけ異形としての力を引き出しておきながら、それは不可能だと思うのではあるまい?」

「…!」

 成る程、異形の力は願いを叶える力、力を得る事が可能であれば、力を奪う事も、力を捨てる事も可能だ、という事か。

 可能とするだけの根源的エネルギーがあれば、そこまでの事を可能とするのか。

 ギルティアは理解する。

「ならば…その力を手に入れて…何をするつもりです!!」

 ルークの言葉から、何が目的かは知っている。

 しかし、インフィナイト自身から、直接それを聞いてはいない。

「…こうするのだ!!」

 インフィナイトの言葉と同時に、インフィナイトが光に包まれる。

「さぁ…異形の力よ、余を、更なる高みへと高めよ!終わらぬ夜を越え、新たなる希望への礎とならん!!」

 二枚の大きな翼が、その光をかき消す。

 そこにいたのは、竜ではなかった。

 エルヴズユンデと同じような姿の、機動兵器状の人型の生命体、しかし、それは紛れも無くインフィナイトだった。

「ここから…全てが始まるのだ…もう二度と…二度と過ちを繰り返させはせぬ!!」

 ルークが語った、インフィナイトの目的が、ギルティアの脳裏をよぎる。

「…あなたの言う過ちとは…一体、何の事なのです?

 それは、この宇宙群そのものを代償としてまで、成し遂げられるべき事なのですか?」

 その言葉に、インフィナイトは頷いた。

「…汝には教えても良かろう。

 かつて、余がこの宇宙群を創造してから、余は、この宇宙群全体を駆け巡り、我が力の恩恵を、宇宙群全体へともたらしてきた…。

 しかし、人類は、発展するにつれ、余からの独立を望むようになった。

 余としても、それは構わなかった。だから、余はある世界へと降り立ち、そこで人類を見守る事にした」

「……」

 ギルティアは、憐歌の様子を気遣いながらも、インフィナイトの言葉を聞き続ける。

「…しかし、更に発展した人類は、余を、その存在そのものを、自分達にとって不要な、そして、自分達にとって不都合な存在として、排除しようとしたのだ。

 彼らにとって、自らの制御下に置けない強大な力は、そう、人間以外の存在が強大な力を持っている事自体が、気に入らなかったのだ」

「!!!!!!!」

 インフィナイトの言葉が、ギルティアの過去と綺麗に重なる。

「そして、余は、人類と戦った。だが…余が居を構えていた世界は、その余波で荒廃し、人のいない世界となった。

 そして、余はその時、かけがえのない宝を、失った。同時に、非常に深い傷を負い、眠り続ける事になってしまった…。

 …もう、あのような事が二度とあってはならぬ。だから…余は宇宙群を、そして、その中核に存在する『人類』そのものを作り直すのだ。

 そう…異形の持つ願いを叶える力を、余の持つ創造の力、汝ら鍵の持つ宇宙群と繋がる力とを組み合わせ…それによって、

余は新たなる宇宙群を、新たなる人類を、新たなる希望を、新たなる未来を作り出す!!」

「インフィナイト…あなたは…!」

 そうだ、もし、イセリナすらも守れていなければ、ギルティアとて、こうなっていてもおかしくは無い。

 しかし、それと同時に、今まで守れた人々の笑顔が、それを否定する。

 だから、ギルティアは答えた。

「…あなたが間違っているとは思いません。

 しかし、私が今までしてきた事もまた、間違っているとは思いません」

 そして、エルヴズユンデが、ヴェネディクスの核を手放し、その手で剣を構える。

「私が今まで守ってきた人々の笑顔は、あなたに滅ぼされてしまうには、あまりにも惜しい…!!

 しかし、同時に、あなたの言う事も、そう、その過ちが何度も何度も繰り返され続けている事もまた、事実です。

 ですから…さぁ、今一度戦いましょう…インフィナイト…!!

 願わくば、交える剣の先に、答え在らん事を!!!」

 その言葉に、インフィナイトは頷いた。

「…良かろう!!余とて、この力を手に入れて、すぐに目的を成就させられる訳ではない…そう、ただ、計画が次の段階に進んだだけの事…!

 そう、計画に必要なものがすべて揃っただけの事…!まだ、何も実を結んではいない…これからなのだ!!

 そして、汝に勝てずして、余の望む未来は無い!承知しているよ…よって、この戦いで汝の持つ鍵も頂く…翼よ…世界の力を我の前に示せ!!」

 インフィナイトの翼が、黒い光に飲み込まれていく。

 それは紛れも無く、宇宙群へのアクセスの発動だった。

 憐歌のこの宇宙群でのアクセス能力のアクセス率はアクセス率は百パーセント、もしそのアクセス能力を完璧に行使できたとしたら、

インフィナイト自身の能力とあいまってその力は百パーセントのアクセス能力どころではなくなるのは、想像に難くない。

 一方、こちらは、まだ先程の戦いの傷の再生が終わっていない。

 そして、左腕に至っては、切り落とされて未だに使える状態まで再生してはいない。

「まさか…こんな事になるとは…」

 全てが悪い方向へ分岐し始めている、ギルティアは感じていた。

 しかし、同時に、もし、この状況を何とかする事が出来れば、憐歌とこの宇宙群のいずれもハッピーエンドに導ける、そんな方向への分岐でもある。

 だから、インフィナイトの願いを成就させるわけには行かなかった。

 この道を、ギルティアは選択したのだ。それは、最善の結末か最悪の結末かの、二択でしか無い。

 彼女と戦っていた先程までの状況とは違う。

 こうなってしまった以上、どうあっても負ける訳には行かない。

 そして、いくらインフィナイトであろうと、手に入れてすぐにアクセス能力を完璧に行使するのは不可能のはずだ…勝算が、無い訳ではなかった。

「…私は、負けません!!」

 エルヴズユンデが、インフィナイトに突進する。

「ミッドナイト・ハウリング!!」

 インフィナイトの周囲に、光弾が展開される。

 光弾が竜となり、エルヴズユンデに襲い掛かる。

「ディストレス…ストーム!!!」

 エルヴズユンデが、翼に衝撃波を乗せて、思いきり羽ばたく。

 凄まじい爆風が、光の竜を阻む。

「…行きます!!」

 インフィナイトが、剣を構えて突っ込む。

 剣と剣が正面から激突する。

「成る程…良いだろう!!」

 インフィナイトが、羽ばたく。

 それは、エルヴズユンデがやった事と全く同じ、衝撃波を乗せた羽ばたきだった。

 爆風が、エルヴズユンデを吹き飛ばす。

「ぐううううううううううっ…!!」

「さぁ、続けて参るぞ!!」

 凄まじい速度で、インフィナイトが追撃をかける。

 左腕が再生していれば、対応も可能だ。

 しかし、左腕が再生していない現状で、その連撃を迎撃しきる事は、出来なかった。

「プリズナーブラスター…バァァァァァァァストッ!!!!」

「創盾展開!!」

 インフィナイトの左腕に、盾が姿を現す。

 更に、盾から、広範囲に強力な空間壁が展開され、ブラスターはそれに全て阻まれる。

「無駄だ!余の創壁の前にはブラスターなど…無力!!」

 剣の一撃が、エルヴズユンデの右肩アーマーを、左足を立て続けに叩き斬る。

「…く…っ…ディストレス・ストームッ!!」

 強引に体勢を立て直し、羽ばたきによる爆風で自らを吹き飛ばし、距離を離す。

「…何とか、左腕を再生せねば…!!」

 ギルティアが、冷や汗を書いた、その直後だった…。

「インフィナイト…やはりお主だったか!!」

 レールガンの雨が、インフィナイトを襲う。

「…む…!?」

 そこには、デモンズ・スローターとフェイト・スレイヤーを構えたアークトゥルースが立っていた。

「…シリウス!?な、何故此処に!!」

「応急修理だけを何とか済ませた時に、丁度、こ奴がお主達の元へと向かっている事を確認してな」

 アークトゥルースが、エルヴズユンデの前に出る。

「やめなさい!私を守る必要は無いと、何度言えば…!!」

「せめて、今その機体の核に乗せているもう一人の鍵の娘を然るべき所に届けてからにせよ!!

 …さすれば、送り届けている間に修復もできよう!!」

「…!!」

 そして、シリウスは続ける。

「それに…本当を言えば、これはお主を助けるための戦いではない!!

 わしは、先日、わし自身の威信を傷つけられたからな…。

 我が社の誇りに賭け、せめて一太刀報いねば気が済まぬのだ…お主がこ奴を倒す前にな!!

 …これはわし自身の至極勝手な願いぞ…お主には、関係ない!!」

 シリウスは、そう言ってニヤリと笑った。

「わしのこの行動は自己責任ぞ!わしの事は気遣い無用!!」

「シリウス…」

 今のインフィナイトに撤退の意思はないようだ。

 ならば、たとえ今少しの時間を置き、インフィナイトがよりアクセス能力を使いこなせるようになるとしても、そちらの方がまだ勝利の可能性は高くなるかもしれない。

 ギルティアは、少し考え、頷く。

「分かりました。しかし、約束して下さい…どうか、死なないで」

「死ぬものか。今までと同じように、わしは生き延びて見せよう。

 わしはまだまだ旅を続けたいのだ!そうだろう?世界はこんなにも広く果てしない!!

 こんなにも面白い旅路、ここで終わらせる訳には行かぬ!!」

 シリウスの言葉に、ギルティアは何も言わずに頷いた。

 そして、エルヴズユンデは、境界空間へと離脱、そのまま宇宙へと移動を開始する。

「ほう…汝、彼女の代行をしようと言うのか?」

 インフィナイトの言葉に、シリウスは首を横に振った。

「いいや、守るつもりも、代わりになるつもりもない。

…わしはただ、お主に、先日の借りを返すだけだ」

「成る程…汝は先日一機だけ撤退したあの人間か…借りを返す、とは、随分と身の程を知らぬ老人だ。

 だが、汝はエルグリオを退け、ヴェルゼンとオーガティスを圧倒した相当な猛者だと聞いている…。

 ならば、アクセス能力制御のウォーミングアップにはなるであろうな…良かろう、軽く遊んでやろう」

 インフィナイトが、剣を構える。

「…勝負ぞ!インフィナイトよ!!」

 アークトゥルースが、フェイト・スレイヤーを構える。

「少しは持ちこたえてくれたまえよ!!」

「わしには、誇りに思える社員がおる!その社員がわしに託した力…今こそ、見せてくれよう!!

 フェイト・スレイヤー…リミッター解除!!」

 シリウスのその言葉に応じ、フェイト・スレイヤーの刀身が、一層強い光を放つ。

 同時に、アークトゥルースの周囲に、高出力のフィールドが発生する。

「アンファース・インダストリアルが社長、シリウス=アンファース…参る!!」

 そして、アークトゥルースは、インフィナイトへと突進していった…。


 ギルティアは、晴夜の所に移動を続けながら、心配そうに憐歌を見守る。

「…憐歌…」

 憐歌が目を覚ます気配が一向に無い。

 心臓も、しっかりと動いている。命に別状はなさそうだ。

 しかし、やはり、目を覚まさないのだ。

「…ともあれ、晴夜さんの元へ急がなくては…!!」

 エルヴズユンデは、更に加速した…。


 インフィナイトとアークトゥルースが、真正面から斬り結ぶ。

「…何の!!」

 力負けは激しいが、それならそうと、戦いようはある。

 剣を受け流し、インフィナイトの胸部を蹴り飛ばす。

 更に、蹴り飛ばされた先に、光子爆雷をぶち込む。

「フフフ…効かんよ!!」

 直撃した光子爆雷の爆風の中から、インフィナイトが飛び出してくる。

「そうか!ならば…これでどうだ!!!」

 飛び出したインフィナイトの目の前には、アークトゥルースが剣を振りかざしていた。

「むぅ!!」

 インフィナイトが、咄嗟に盾を構える。

「スターライト・セイヴァー!!

 …はあああああああああああああああああああああああああああああーっ!!!!」

 フェイト・スレイヤーの一振りが、インフィナイトの盾ごと、インフィナイトの左腕を両断する。

「な…フフ…成る程、この剣は…大したものだ!!

 とうとう、今の人類もこの領域に帰ってきたか…ならば、計画を急がねばならんな!!」

 帰ってきた、という言葉に引っかかる物を感じながらも、シリウスは攻撃を続ける。

 零距離からの、レールガン、粒子加速砲の連射。

 いくら創壁を展開できるとは言え、ここまでの至近距離であれば、軽減は出来ない。

「ぐ、う…!だが!!」

 インフィナイトが、翼に衝撃波を乗せて羽ばたく。

「ぬっ…!!」

 周囲に凄まじい爆風が発生する。

アークトゥルースが、フェイト・スレイヤーに内蔵されたフィールドを最大出力で展開してそれを相殺するが、完全には防ぎきれず、吹き飛ばされる。

「さぁ、どんどん行くぞ!!ミッドナイト・ハウリング!!」

 インフィナイトの周囲に、夥しい量の光弾が展開される。

 そして、その一つ一つが光の竜となり、アークトゥルースを襲う。

「光子爆雷、射出!!脚部ビーム砲、デモンズ・スローター…一斉射撃!!!」

 凄まじい弾幕が、光の竜と真正面から食い合って、光に還る。

 閃光が、暗黒の空間を満たした…。


 一方その頃、突然情報が途切れた晴夜は、いても立ってもいられずに、家の外に出て空を見上げていた。

「憐歌…いつまでも、待ってるぞ…」

 その直後、だった。

 突如、晴夜の周囲の空間が閉鎖される。

「!?」

「晴夜さん!!」

 そこにいたのは、エルヴズユンデ…ギルティアだった。

「ギルティア…さん!?」

「憐歌を…連れてきました!」

 エルヴズユンデから、ギルティアが、憐歌を抱えて降りてくる。

「…目立った外傷もありませんし、命に別状は無いはずです」

「そう、か…良かった…」

 しかし、と、ギルティアは続ける。

「…一向に、目を覚まさないのです」

「!」

 ギルティアは、憐歌とギルティアとの戦い、その決着と、その直後に起こった事を話す。

「…って事は、今の憐歌は…」

「紛れも無く、人間です…しかし、何分、前例も無い事です。

 どうなるかは分かりません…ともあれ、憐歌の事をお願いします」

 ギルティアが、そのまま歩き出す。

「ギルティアさん、あんたは…」

 晴夜の言葉にギルティアは足を止め、振り向かずに言葉を紡いだ。

「…私は彼女とは違いますから。それに、これが私の選択…その選択から、私自身が逃げるわけには行きません」

 言葉を切り、ギルティアはエルヴズユンデに乗り込む。エルヴズユンデの目に光が灯る。

「だから…大丈夫。あなたも、憐歌も…皆纏めて、私が守ります。

 それが、勝ってしまった私の責任…私は全てを幸せにしてみせる…この私の、全てを賭けて!!

 それが、ただ使命を、存在意義を果たし続ける亡霊の…たった一つの願いです…!」

 そして、エルヴズユンデは飛び立っていった…。


 シリウスは、衝突で発生した閃光を睨む。

「人間と神の力の差…埋めるには遠すぎる…だが、それでも!!」

「それでも、何だと言うのか?」

 閃光の中央から、インフィナイトが剣を構えて突っ込んでくる。

 インフィナイトの剣が、黒い光を放っている。

「わしの誇りを、なめるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

「良かろう!ならば、さぁ…生き残りたいのならば全力で来るといい!!!」

 黒い光を纏った太刀筋と、白い光の軌跡を残す太刀筋が、真正面から激突する。

「…ミッドナイト・ハウリング!!」

 至近距離から、竜がアークトゥルースにむけて食いつこうと迫る。

「な…!」

 咄嗟に、アークトゥルースが光子爆雷を放って爆発でそれを止めるが、

 幾つかの竜が、アークトゥルースの肩を、足を食い千切る。

「ぐうっ…!!」

「そろそろ、遊びは終わりにしようか…!!」

 アークトゥルースが、至近距離からデモンズ・スローターを放ち、その反動で一気に距離を離す。

「逃さん!」

 光の竜が、更にアークトゥルースを追撃する。

 腰部、背部、頭部にも竜が喰いつく。

「ぐ、うううう…!まだ、まだ…わしは負けぬ!!」

 光子爆雷と、脚部ビーム砲を放ち続ける。

 ダメージは無い。

「ふふ…この状況下でまだ諦めぬか…汝は、人間にしておくには惜しい男だな。

 …だが、これで最後だ!エンドレス…ハウリング!!!」

 インフィナイトの黒い翼が散る。

 その翼と、数多の光の竜が重なり、一つの巨大な黒竜となってアークトゥルースに襲い掛かる。

「ここまでとは…いや…わしは負けぬ!!!」

 頭から血を流しながら、シリウスは叫んだ。

 そして、黒竜に向け、アークトゥルースは剣を構える。

 その直後、聞き覚えのある声が響いた。

「アトネメントプライ…ファイアーッ!!!!」

 黒竜の横っ面に黒い光が激突し、黒竜の勢いが削がれる。

「今だ!!」

 その一瞬を突き、アークトゥルースの一閃が黒竜を両断した。

「ぬ…!?」

 インフィナイトが、黒い光を放った者の方を見る。

「…インフィナイト、そこまでです!!」

 そこには、損傷もほぼ完全に回復したエルヴズユンデが、剣を構えて立っていた…。


続く


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