Act.45 推参!?正義の味方!!
Act.45 推参!?正義の味方!!
紅の巨大戦艦が、境界空間を航行していた…。
巨大戦艦は、あちこちが損傷しており、 何らかの戦闘、しかも相当激しい戦闘が行われた事は想像に難くない。
「何とか持ちこたえたか…あの二体は、妙にしつこいな…」
戦艦の艦橋で、紅髪の男が呟く。
「奴がいなければどうなっていた事やら…」
「…戦闘の完了を報告する」
黒髪の青年が、艦橋に入ってくる。
「肝心の、奴、が来たか…」
男が呟き、青年に言葉を紡ぐ。
「ご苦労さん、あの時、深手を負ったまま逃げていたお前を助けて良かったよ…」
「…こちら側の損害はどうなっている?」
青年の言葉に、男がため息をつく。
「砲塔群損傷率60%、艦体損傷率40%、機動兵器損耗率40%…修理不能機体が二機出た。
人員の損失は無い…不幸中の幸いだな」
そして、男が苦笑しながら言葉を続ける。
「もっとも、あの手合いでこの損害で済んだのは拍手喝采ものだがな。
…まだお前がいなかった頃に戦った時は、大切な部下を十四人も失ってしまった。
死者が出なかったのは、お前が一人であの二体を抑えてくれたおかげだ。本当に、ありがとうな。
…時に、お前の機体の損傷はどうなんだ?」
「敵の放った衝撃波の直撃を受けて外部ヘビーアーマーが全損、大型重力弾ライフル消滅。
機体メインユニットの損傷は軽微。アーマー、ライフル共に、替えはまだある」
青年の言葉に、男が頷く。
「そうか…成る程、戦闘続行は可能のようだな…」
「…この程度、かつて俺が戦った『彼女』の強さに比べれば、大したレベルではない」
青年の言葉に、男が苦笑する。
「なら、その事に関連した本題だ…実は、大量の異形が各世界、宇宙に放出されたらしい」
「…それは、俺も機体から把握していた。
連中が実験用に捕獲していた、変異直後の異形が、何らかの原因で放出されたと推測…対処が必要と判断」
「…ああ、そう考えてる。
だが、こちらも修理しなければならんし、かといって、現状動かせる戦力を派遣したタイミングでまた四将と遭遇するとまずい。
お前に頼みがある…『彼女』は、今、万全の状態じゃないんだろう?
…なら、彼女に散った異形の位置を伝えてやってくれないか」
その言葉に、アイギスは頷く。
「関連性を理解、その意見に賛同。しかし、俺がそれを伝えるのは、少々危険と判断」
「ああ、それは分かってる。そこで、だ…」
そう言って、男はニヤリと笑った…。
一方、その頃、ギルティア達は再び異形討伐を続行していた…。
「…大分異形の相手に慣れて来ましたね、シリウス」
異形達の骸の中心で、ギルティアが剣を降ろす。
「うむ、成る程、人間相手の戦いとの勝手の違いが分かってきたわい。
どちらかというと、人間相手よりも、ロボット同士の戦いの縮図、と考えた方が良いらしいな」
シリウスが、腰に剣とショットガンを戻す。
「しかし、昨日と違って、動きに統制が取れていた気がするが?」
「ええ、シリウスも気付いていましたか…」
「昨日よりもは手応えがあった気がするのでな…そうではないかと思った」
シリウスの返答に、ギルティアが頷き、言葉を続ける。
「もしかすると、この世界に以前からいた異形の生き残りと、先日交戦したあの異形群が合流し、指揮個体を中心に統制が取れたのかもしれません。
この世界の指揮個体は以前撃破したので…恐らくは、新たに指揮個体が誕生したのでしょう。
あるいは、合流の結果誕生した可能性もあります」
「…ほう。いよいよ本格的になってきたな、楽しみだ…」
シリウスがニヤリと笑う。
「不謹慎な…と言いたい所ですが、シリウスにその言葉は相応しくありませんね。
わざわざ事を重くする必要はありませんしね…単刀直入に言います。
指揮個体に出会ったら、遊びは無しです…全力で大暴れしてください。
先日の最高位異形は確かに、指揮個体型異形よりも遥かに強力です。
しかし、彼は『戦い』を楽しんでいました。
指揮個体型は、単純に生存、そして捕食の本能により、立ち塞がるものを全て蹂躙しながら存在しています。
…ある意味で、最高位異形よりも『凶悪』な存在なのです」
「成る程、つまり、飢えた獣を相手にするようなものか…」
飢えた獣は時として、訓練され、完全に武装した兵士よりも遥かに危険な存在になりうる。
指揮個体型異形の力は、最高位異形と違い、制御がなされていない。
その為、時として思わぬ動きにより、熟練した旅人が撃破される可能性も存在する。
そう、それがたとえ、最高位異形と対等に戦える戦士であろうとも、だ。
「…的確な理解です」
ギルティアの言葉に、シリウスが頷く。
「それは確かに、油断出来ぬな…」
「ともあれ、今日は恐らくこれで打ち止めです…一旦戻りましょう」
「うむ!」
ギルティアとシリウスは、キャンプに向けて歩き出した…。
紅の巨大戦艦で、二人が会話を続けていた。
「…と、言う訳だ」
「理解不能、されど…彼女の性格を顧みるに、効果はありと判断。
…よって、作戦内容を承諾」
青年が頷く。
「しかし、彼女に接触するタイミングはどうするのだ?」
「そこも考えてあるさ。良いからここは俺に任せなって」
「…了解。正直、個人的にはあまり気が乗らないが…止むを得ないな…」
青年は再び頷くと同時に、深いため息をついた…。
キャンプでは、ギルティアがラーメンを茹でていた。
「…今日は何を作っておるのだ?」
「ええ、宛てのない私の旅の中での唯一の楽しみ、ラーメン食べ歩きの結果完成した、我流のラーメンです。
もっとも、ツタンカー麺のラーメンには及びませんがね…」
「ラーメン…お主の旅の話に良く出てきておったな…面白い。
それほど美味な食べ物ならば、楽しみにする価値がある」
シリウスは、そう言って笑った。
「私の好物ですから、個人の好みはあるにしろ、好みが合えばその味は保証しますよ」
「そうかそうか」
数分の沈黙。
ギルティアが、麺を上げて既に完成していたスープに入れる。
「はい、一丁上がり、です!」
ギルティアは、完成したラーメンを見て思った。
思えば、自分でラーメンを作ったのは久しぶりだ。
「うむ、頂こう!」
丼を受け取ったシリウスが、フォークでラーメンを食べはじめる。
「…フォーク…」
ギルティアが、その様子に強い違和感を感じながらも、そういう食べ方もあるか、と頷く。
思えば、確かに箸を使用する文化体系の場所ではなかった。
食べるのに支障もないようなので、とりあえずその事は保留にしておこう、ギルティアはそう思った。
「これは美味い!成る程、お嬢ちゃんが食べ歩く理由が分かるわい!!」
シリウスの言葉に、ギルティアが頷く。
「…喜んで頂けて光栄です」
ギルティアもラーメンを食べ始める。
麺の茹で加減やスープの濃さから考えて、どうやら腕は衰えていないようだ。
ファラオ店長の店では、確かに彼の技術をその目で盗んではいたが、ラーメン作り自体にはあまり参加させて貰えなかった。
故に、腕が衰えていないか、ギルティアは心配だったのだ。
「…おかわりできるか?」
既に食べ終わったらしいシリウスが、尋ねる。
「ええ」
ギルティアが頷くと、シリウスは笑顔で言った。
「なら頼む!」
「はい!」
ギルティアは、丼を受け取って、再び調理を始めた。
そして、その日、シリウスはラーメンを四杯ほどおかわりしたのだった…。
次の日の夜、シリウスとギルティアは、キャンプとは反対側の、山の中の樹海に来ていた。
「…異形達がいるとすれば、ここの筈です」
「うむ、気配があるな」
空間閉鎖と同時に、周囲の木の上から異形が次々と襲いかかってくる。
振り下ろされた爪を剣で受け止め、ショットガンの銃身で、異形を殴り潰す。
「…この世界にいた異形の影響を受け、とうとう進化が始まったようですね…!!」
ギルティアが、落下してきた異形を爪でぶち抜きながら言う。
「いや、それだけではなかろう…この空気、今までの空気とは、違う…!!」
「ええ。これは…」
敵の行動が統制されている。
そして、明らかに、今まで以上に空気が張り詰めている。
ギルティアは、その張り詰めた空気の意味を、知っていた。
「…この異形の群れを殲滅してからが、勝負です!
シリウス、くれぐれも油断しないで下さいね…!」
「ああ、分かっておる!」
シリウスが、再び空中から降って来た異形を、そのまま地面に叩きつけながら、答える。
「さぁ、一気に片付けましょう!!」
「うむ!!」
ギルティア達の言葉の通り、あっという間に異形の数は減っていった。
しかし、異形の数が少なくなった時、凄まじい地響きが起こる。
「まさか…!」
本来、指揮個体異形は、配下の異形が全滅してから出現する。
しかし、今はまだ、異形が残っている。
「…早すぎる…!!」
しかし、直後、ギルティアが気付く。
残っているのは、進化が遅れている異形…。
つまり、この世界に元々いたものでは無い異形の、その中でも更に弱いものだけだったのだ。
「…成る程、確かに、この異常事態で、相手が正常に行動すると考えていたのが失敗ですか…!」
凄まじい量の魔法陣が展開される。
展開されている魔法陣は、以前ギルティアと交戦した、大きな魔法陣が展開される指揮個体型異形とは別のパターンだ。
その一つ一つから、凄まじい光の柱が天に昇り、紅の雷がそれに応えるように降り注ぐ。
それらが、中央に収束し、形を成す。
まるで、巨大な腕の生えた山のような形状の異形だ。
「…シリウス!行きましょう!!」
「了解した!!」
空間の壁を破って、二機が姿を現す。
しかし、二人がそれに乗り込もうとする寸前、指揮個体型異形が、衝撃波を放とうとする。
「あれは…!!」
咄嗟に、ギルティアがシリウスの前に出る。
幾らシリウスとて人間、指揮個体型異形の衝撃波が直撃しては、命は無い。
「お嬢ちゃん!?」
ギルティアならば、今の状態でも一撃は耐えられる。
「大丈夫、一撃の後に隙が出来ます!その隙に機体に搭乗して下さい!!」
とはいえ、ギルティア自身もかなりのダメージを覚悟しなくてはならない。
指揮個体型異形が衝撃波を放とうとした、次の瞬間だった…。
「待てィ!!」
突如、空に棒読みの声が響く。
直後、指揮個体型異形に数発の弾丸が直撃し、異形が仰け反る。
「…実弾!?」
ギルティアが、声の方向を見る。
月夜をバックにした高台に、ライフルを構えて仁王立ちしていたのは、黒い重装甲の機動兵器だった。
少なくとも境界空間航行用機動兵器である事は間違いない。
「指揮個体の相手をしているのはご老体とうら若き乙女ではないか!
…正義の味方として、力を貸そう!!」
語調は強めているが、やはり棒読みである。
「…何奴!?」
シリウスが、思わず叫ぶ。
「通りすがりの正義のヒーロー、鏡黒の騎士・イージス!!」
棒読みで、その言葉を叫ぶ。
「胡散臭いやつめ…このわしをご老体呼ばわりしおったな…!
お嬢ちゃん、くれぐれも油断はせぬ事だ…って…」
疑いのまなざしを彼に向けていたシリウスの言葉が、途切れる。
それを見つめるギルティアの目が、キラキラと輝いていたのだ。
「…ミラーナイト・イージス、ですか…か、かっこいい…」
「そうか、そうか…うむ、分かった」
シリウスが、頷く。
相手がかなり棒読みとは言え、確かに、ギルティアはこういうのが好きそうな娘だ。
この殺伐とした世界の連なりで、たった一人正義を抱いて旅を続けてきた彼女にとっては、
この手の人物はまさに救世主に等しい。
分からないでもないし、今、彼女の夢を壊してしまうのは可哀想だ。
彼女は、自分の夢を壊さずにいてくれたのだ、ならば、今度は自分も、彼女のフォローをしよう。
もしあの謎の機動兵器が不穏な動きをした時は、全力でギルティアをフォローしよう、シリウスは、そう決めた。
「シリウス、行きましょう!!」
「うむ!」
ギルティアとシリウスが、それぞれ機体に乗り込む。
「エルヴズユンデ、起動ッ!!」
「アークトゥルース、参る!!」
異形の両腕が振り下ろされる。
腕を、二機が空中に飛び立って回避する。
更に、ミラーナイト・イージスが、肩の付け根に向けてライフルの狙撃を行う。
両肩の付け根を撃ち抜かれた異形の腕が、上がらなくなる。
「…行きます!!」
エルヴズユンデが、剣を構えて一気に加速する。
「でえええええええええええいっ!!」
そして、一閃。
しかし、刃は止められ、異形には目立ったダメージは無い。
敵は、かなりの防御力を持つようだ。
「…威力が足りませんか…!」
異形の腕が再生し、異形が、エルヴズユンデにその巨大な拳を振り下ろす。
「何のッ!!」
エルヴズユンデの左腕の爪が、振り下ろされた拳を受け止める。
金属の軋む音が聞こえる。
「今です!シリウス、イージス!!」
「うむ!」
「了解!」
ギルティアの言葉に、シリウス、イージス双方が応じ、イージスの機体とアークトゥルースが、大型ライフルとレールガンを構える。
「行くぞ!」
「ターゲット、ロック…攻撃を開始する!!」
放たれた弾丸が、異形に直撃し、異形が大きくのけぞる。
異形が、腕を一振りする。
凄まじい衝撃波が発生し、三機を飲み込む。
咄嗟に、前に出ていたエルヴズユンデが二機の盾になり、前進する。
「プリズナーブラスター…バァァァァァァストッ!!!」
エルヴズユンデのブラスターが雨のように降り注ぎ、異形の身体を削り取る。
「続けて参るぞ!!」
アークトゥルースが、両肩の光子爆雷を放ち、続けてチャージされたデモンズ・スローターの粒子加速砲モードを放つ。
大爆発が、異形を飲み込む。
異形が、もう一度腕を振り、衝撃波を発生させようとする。
「敵の再攻撃を確認…阻止する…!」
「止めます…!」
イージスの機体とエルヴズユンデが、それぞれ、右腕と左腕の付け根に向けて、ライフルとレーザーを正確に叩き込む。
続けて、エルヴズユンデが更に踏み込み、爪を叩き込む。
「格闘戦に持ち込みます…!」
更に、脚部ブースターを全開にして、異形を蹴り飛ばす。
「たあああああッ!」
巨大な異形が、轟音を立ててよろめく。
「ハハハハハハ!この場は私に任せておけ!!」
イージスが、棒読みで叫ぶ。
「全兵装制御、一点を集中捕捉…全砲撃兵装、集中砲火…フル・バースト…!!」
そして、イージスの機体が、異形の核が存在する部分の、厳重に防御されている部分に向け、機体に満載された火器を一斉に叩き込む。
度重なる砲撃により、敵異形の核がむき出しになる。
「敵異形コア露出…止めは任せるぞ、ギルティア!!」
「ええ…行きます!!」
エルヴズユンデが、爆風に突っ込む。
「クローバースト…スティング!!」
次の瞬間、爆風は、放たれたレーザーの閃光に貫かれて吹き飛んだ。
「エリミネートッ!!!」
異形の核を、爪が鷲掴みにし、最大出力のレーザーが、コアを跡形も無く消し飛ばした。
「…願わくば、汝の罪が祓われん事を」
ギルティアの言葉と共に、異形は崩れ去った…。
「思った以上に、苦戦せずに倒す事が出来ました…イージス、協力に感謝します」
「正義の味方に礼など不要だ!!」
イージスが相変わらず棒読みで答える。
「…あ」
ギルティアが、ふと言葉を紡ぐ。
「先ほどは、何故私の名を?」
「…む…」
イージスが、誰も気づかない程度だが、一瞬だけ慌てたような素振りを見せる。
「…それは、私が正義の味方だからだ!!」
と言う言葉と共に、誰にも聞こえないように呟く。
「これは、流石に苦しいか…?」
「…そうですか。正義、まだ、私以外にも、その言葉を真顔で使ってくれる人が残っていたとは思いませんでした」
そう言って、ギルティアは微笑んだ。
まさか、勘ぐられないとは思っても見なかったらしく、イージスは少し驚いた表情をした。
「…そうか」
「それと…あの実弾…」
少し、見覚えがあった。
少し前に、異形との交戦中に、どこからか飛来した実弾に助けられた事がある。
「以前、私を助けてくれたのは、あなたですか…?」
「ああ、異形と交戦中の君を見かけてね、危険だったので援護させてもらった」
これまた棒読みだ。しかし、言っている事に偽りは無かった。
「…本当に、助かりました」
ギルティアが、再び頭を下げる。
「本来、私が他者を助けねばならない立場なのに…面目ありません…」
「その正義の心あってこそ、私は君を助けたのだ」
相変わらず棒読みだったが、その言葉にだけは、他の言葉とは違った重みがあった。
「…本当に、申し訳ありません」
このままギルティアに平謝りされていても、話が本題に進まないと判断したイージスは、話を切り出す。
「ところで、大量の異形が、あちこちの世界、宇宙に放出されたという事は、知っているか?」
「はい、異常な数の異形と交戦しました」
「私の仲間が、飛来した世界、宇宙の情報を収集してくれてね」
その言葉に、ギルティアは驚愕する。
「何と…!」
「しかし、私や、私の仲間だけでは処理しきれないのだ」
「この私に力を貸して欲しい、と、つまり、そういう事ですね?」
「…話が早くて助かる」
イージスのその言葉に、ギルティアは、笑顔で頷いた。
「むしろその位置が分かるのならば、こちらから聞きたいくらいです。
私でお役にたてるのならば、喜んで協力致します…!」
「…感謝する!!」
イージスが、相変わらずの棒読みで喜びの意を表明する。
一方、ギルティアがイージスと会話している間、アークトゥルースに、イージスから文字で通信が入る。
『…俺を疑っていると判断』
『流石に分かるか…』
シリウスの返信に、再び通信が返ってくる。
『無理も無いという事は、理解している』
『お嬢ちゃんの名を知っている、お主、一体何者だ?』
『彼女の古い知り合い、とだけ言っておこう。
彼女が俺の目的を阻まない限り、彼女の敵になるつもりは無い』
その言葉に、シリウスが返信する。
『ならば、その目的とは何だ?』
『今は、インフィナイトの撃破が、俺の最優先目的だ。
…それに、彼女が、俺の目的の邪魔になる事は、今後も恐らく無いだろう』
その言葉に、シリウスは頷き、返信を続ける。
『…信じられぬ、と言いたい所だが、事実、お嬢ちゃんの話を聞いているに、二度も助けられておるようだからな。
…それに、お主の戦い方に、二心は見られなかった…この場はお主を信頼する』
『…理解に、感謝する』
イージスのその言葉に、更に返信する。
『ただし』
『…何らかの条件があるのか?』
『今度、直接わしと会う時があったならば、酒の一杯くらいは奢って貰うぞ』
シリウスは、ニヤリと笑みを浮かべながら、そう送信した。
『…了解、その申し出を承諾する』
『ふふ…楽しみにしているぞ』
文字による通信は、その一言で途切れた…。
「では、位置情報をそちらに送信する」
エルヴズユンデに、イージスからのデータが送られてくる。
複数の宇宙、世界が表示された地図に、まるで勢力分布図のように、今回放出された異形の拡散分布図が表示されていく。
「…位置の確認、終了。情報提供に感謝します」
「頼んだぞ…!!」
棒読みのその言葉に、ギルティアは深く頷いた。
「…了解です!」
「正義の導きあるならば、また会う事もあるだろう!
願わくば、汝の旅に幸多からん事を!さらばだ!!」
イージスは棒読みでそう言うと、そのまま境界空間へと飛び去っていった…。
エルヴズユンデとアークトゥルースも、そのまま境界空間に出る。
「…思わぬ展開になりました…」
「…うむ」
「取り敢えず、今後のルートを再構築する必要がありますね…」
ギルティアは、拡散分布図を改めて確認しはじめた…。
続く




