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第一声‥僕がいない頃
この文を読んで、何を感じ、何を思うかは、人それぞれです。
少年が何を伝えようとしているのか、貴方なりの答えを見つけて下さい。
ずっとずっと昔、僕が生まれてくるその前は、
誰も僕の事を知らなかった。
僕が僕になる前は、
僕が生まれてくる理由も、
生きていく意味も、無かった。
僕が生まれてくる前、
僕は誰かの一部で、
何かの欠片で、
そして、
この世界、そのものだった。
神様は僕に問うた。
「お前は、誰なんだ」
僕は神様に答えた。
「僕はね、誰でもないんだよ」
神様はまた問うた。
「お前は、幸せか」
僕はまた答えた。
「僕はね、幸せでも、不幸でもないんだよ」
神様は更に問うた。
「お前は、生きているのか」
僕は更に答えた。
「僕はね、生きているけど、生きていないんだよ」
神様は笑った。
「お前は、不思議だね」
僕も笑った。
「僕はね、不思議だね」
ずっとずっと昔、僕が生まれてくるその前は、
僕も僕の事を、知らなかった。




