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息を切らしながら駅まで走り、改札を抜けて階段をかけ上る。既に電車は止まっていて間一髪というところだった。
先に乗っていた幼馴染みに、息も整わぬまま声をかけると、生温い微笑みとともにおはようと答えてくれた。
「さすがにもうちょっと早く出たほうがいいよ?…髪もグシャグシャになっちゃってるし。」
幼馴染みである彼女は、酷く残念な生き物を見る目で私を見ながらそんなことを言う。彼女、美咲ちゃんは、可愛い系と美人系が絶妙にミックスされた美少女だ。薄く化粧をして、綺麗に脱色した長い髪を少しだけ編み込みにしている。もし私が男に産まれていたら、妬んだ周囲にいじめられるのは確実だったろう。
「わかってはいるのだけれどねぇ。どうしても睡眠に対する愛の方が勝るんだよ。」私は肩口で切られたボサボサの髪を撫で付け、笑ってごまかしながら答えた。
いつも通りの朝だと思っていた。