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恋愛もの?

突然降り始めた雨に・・・

作者: 馬

今日はお得意先の説明会。

とある施設を借り切り、今後の会社方針や事業計画などが説明される。


大手企業ともなるとその施設のスケールもでかい。

総勢1000人は入ろうかというスペースで、まるで有名人の講演会のような場が開かれる。

テレビカメラがあれば、もう間違いなく大企業。

そこまでは行かないが、雑誌記者(日刊工業?日経?)らしき姿もチラホラ。


私は朝5時に起き、在来線を乗り継いで、新幹線こだまに乗り込み、一路大都会へやって来た。

天気は晴れだ。

折りたたみ傘は営業マンとして必需品だが、今日はいらないだろうと早朝の決断。


さすがに2時間、座りっぱなしの聞きっぱなしはキツイ。

途中から催眠術のように聞こえてくる、あの偉いサン達のお言葉。


あぁ・・・・・


ふと我に帰る。

もう説明会は終盤。

「んーーーーよく寝た・・・か・・・」

「マ・・・マズイな、こりゃ、報告でけん。」


なんとしてもあの説明資料を入手せねば・・・と考える。

そもそも資料があれば、こんなところまで来なくても・・・。


説明会は終了・・・。

散り散りにホールを後にする同業者たち。

明らかな寝起き顔を見つけてはホっとする私。

「いや、違う違う、資料、資料。」と焦る。


携帯の電源を入れると着信多数。

まずは電話せねば・・・。


外は雨が降り始めていた。

タクシーを手配する面々も伺える。

(っく、さらに雨か・・・駅までダッシュだな、、、こりゃ)


あれやこれや電話を終えて、会場に戻る。

20分は経過していただろうか・・・。

片付けの人間しか残っていない。

(誰か捕まえて、資料を・・・資料を・・・)


死霊のごとく徘徊する怪しい私。


どうせなら!


一番きれいな女性に問いかける。

やり取りはこうだ。


「○○株式会社の○○と申します。お忙しいところ申し訳ございません」


女性「あ、はい。 お世話になっております、いかがなさいました?」


「あの・・・本日の説明会資料を頂戴することはできませんでしょうか?」


女性「あぁ・・・資料ですか・・・部数に限りがございまして、配布しておりません」


「そうですか・・・では可能な限りで結構ですので、データでいただくことはできませんでしょうか?」(←必死


女性「・・・そうですね、検討させていただきます。よろしければご名刺を頂戴してもよろしいでしょうか?」


「ありがとうございます。 改めまして○○の○○と申します、是非よろしくお願いいたします」


女性「はい。配布可能でしたら、こちらのメールにて送らせていただきますので。」


「はい、お待ちしております。 失礼致します」



ミッション完了だ。

これで送られてこれば、問題は・・・たぶん無い。

寝ていた私が誰よりも内容を理解できる・・・ふふ。


誇らしげに胸を張って会場を出る。

雨が降っている・・・。

(よし!ダッシュだ!走るぞぉぉぉ!)



女性「あ!○○さん待ってください!」

さっきの女性だ!

傘を持ってこっちに走ってくる・・・。



マジか・・・?!

傘まで貸してくれるの?

ふふ・・・モテる男はツライツライ。

(根拠はございません)



タッタッタッ

女性が息を切らして走ってくる。


私はビックリした表情を作って










「は・・・はい?! どうしたんですか?」


女性「ハァッ、 ハァッ、・・・」










女性「あの・・・・」



「はい」










女性「資料配布できません」



ガーーーン!!!!



ミッションを完了できなかった私が涙と雨に濡れながら駅まで走ったのは言うまでもない。


プラス思考って怖いですよね。



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[一言] めっさおもろい!!オモロー!!
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