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「手が重傷じゃなくて良かったです」
「はい」
灼熱の棒を握っていたリラの手は包帯が巻かれているが、私の刀を握る力はあった。
リラが私の刀を手に取って鞘を抜いた。実体化したみすぼらしい着物を着た髪も整えていない野武士の姿の私はそれを受け取り、決闘場に一礼をして、エルゼと共に決闘場の審判の所へと向かう。
エルゼの顔はこわばっている。リラの前では動揺を見せずに頼もしくしていたが、彼女がいない場だと不安げだ。
エルゼは恐らく素行の悪い決闘士を連れてくると思っていたはずだ。腕のいい決闘士はバスロ牧師のために戦うとは思えない。だからこの裁判に来ないか、バスロ牧師の信者が決闘士として来るのではと予想していた。
だが来たのは、私と同じ存在。
エルゼが私と同じ存在同士で戦う所を見るのは初めてだ。ある程度予想しているだろうが、エルゼの考えている以上に残酷な展開になるだろう。
バスロ牧師が持ってきた布に包まれた物が解かれ、大きな盾が出てきた。それに手を合わせたと思ったら、手に取って念じていた。
だが精霊は出なかった。
私のように【真実を訴える弱き者】が持つと実体化するなどの条件がある。だが条件が揃わないと出ること無いのだ。
だがバスロ牧師はずっと念じていた。
そろそろ神判や傍聴席の人々がざわめき始めた頃、ガチャンと音を立てた。
突然、鎧の人物が現れてバスロ牧師が持つ盾を持った。
鎧は全身にバラをあしらった装飾が付いており、腰には太い剣を携えていた。鎧は全身に付いており、頭の兜も目に当たるところに穴があるくらいで顔も分からない。
「おお、強い信念を持った者にした現れない守護者様。どうか、どうか、……」
「ちょっと! 待った!」
そう言って審判はバスロ牧師と盾を持つ鎧の方へ走って行った。
「この盾、この国一番大きな教会で保管されている物じゃないですか? 本当にちゃんとした手続きで借りてきたんですか?」
「そうだ!」
「だったら、証明書があるはずだ。それを見せてください」
「後で見せる!」
そう言ってバスロ牧師は審判を押しのけた。それでも審判は何か言おうとしたが、鎧が剣を取り出して審判を突き立てた。
「早くしろ、審判! 勝てばいいんだ!」
釈然としない審判にバスロ牧師は怒鳴る。結局、審判は舞台に立つ。
そして私は守護者に一礼して、目を閉じて、今までエルゼが提示した証拠を思い出す。
目を開けて守護者の持っている盾を見る。
古い教えを盾にして喜々して危害を加える。これでは自分たちが脅威となる者ではないか。
よろしい、決闘だ!
審判が納得していない顔をしているが、「初め」と合図した。
だがお互いに動かず、ただ動きを見ている。
守護者がゆらっと盾を上げた。銀色の美しい花々のモチーフが日の光に浴びてきらめいた。
私は刀を抜いて、足を踏み込み、思いっきり盾に向かって刃を向けた。




