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13

 火事現場は牧草地だった。ラコンテは「何で火を使わない場所で火事になるんだ?」と悪態をつく。だが原因はすぐわかった。知らない人々が火を持って燃やしている。それを住んでいるピクシの民達が、必死に消火活動をしてやめさせようとしていた。

 すぐにエルゼは近くにいたピクシの民に「何があったんですか?」と聞いた。


「意味分からない連中が意味の分からない事を言って、牧草地に火をつけたんだ」


 つまりここにいるピクシの民も事情が理解できないみたいだ。

 火をつけている奴らを見るとピクシの民ではなく、みんな金髪や茶髪で肌の色も薄桃色の肌をしている。ただここに住んでいる者達とは雰囲気が違う気がした。

 彼らとピクシの民の話しを聞くと「我々がここに住むんだ!」「魔女は去ったんだろ!」などと言っている。なるほど、意味が分からない。

 ラコンテやピクシの民の男性陣は消火活動をするが、知らない集団に邪魔されたり、別の場所に火をつけたりと一向に進まない。


 ようやく、ここでハーバードクラー公爵が「何をしているんだ!」と言ってやってきた。すると知らない集団は公爵に詰め寄った。


「ここの領主か!」

「何でピクシの民を追い出していないんだ!」

「あいつらは魔女に惑わされたんだろ!」

「バスロ牧師はどこ行ったんだ?」


 ハーバードクラー公爵は黙らせて「君たちは何者なんだ?」と聞く。


「かつて悪魔が生み出した飢饉の時に、この地を追われた者達だ! バスロ牧師がこの地が復活したが、魔女によって再び闇に落とされるかもしれない。今こそ立ち上がって、この地を守ろうと集まったんだ」

「つまり、この地を乗っ取ろうとしているのか!」


 彼らの言葉にピクシの民の一人が取っ組み合いをしようとして、みんなと公爵は止める。

 火事を起こした集団たちは飢饉前から住んでいた者達で、再びこの地を守ろうと集まったのだろう。……ピクシの民の一人が乗っ取りと思っても仕方が無いな。


「なんでピクシの民がまだいるんだ?」

「神判を行い魔女と親族を殺して、ピクシの民は全員追放するって領主と約束していたはずだろ?」

「その神判は判決非難しました」


 エルゼが答えるとバスロ牧師の信者は「はあ?」と詰め寄った。かなり圧が強めだが、エルゼは冷静な顔で話す。


「彼が行った神判の問題がありました。例えば日中に行われないといけないのに夜に行った事、少女が魔女である証拠が少ないのと非現実的だった事、何より魔女か聖女かという二通りしか選択肢が無かった事、……」

「分からないよ! 神判はして、リラって女が魔女だってわかったんだろ!」

「彼女は普通の女の子である可能性がありますので、魔女と決めつけたバスロ牧師に判決非難だけです」

「何でだよ! あいつは魔女だろ! じゃあ、さっさとピクシの民を追放しろ!」

「ですから!」


 エルゼは何度も何度も同じ答えを言って、うんざりしていた。

 だがバスロ牧師の信者は理解してくれない。というか、してくれない。魔女を殺して、ピクシの民は追放すべきとしか思っていないようだ。

 ここでハーバードクラー公爵も話し出した。


「君たちは飢饉の時に領主と一緒に逃げたんじゃないか。なのに、どうして戻ってきたんだ?」

「この地が復活したのに、魔女が悪さしようとしているって聞いたんだ。ほら、こんなにも悪の草が生えているし」


 そう言って牧草を指さした。三つの葉が付いて春になると白いポンポンのような花が咲く草であり、よく見かける草だ。ここ以外でも牧草として育てている。


「だから俺達が管理しないといけないんだ!」

「お前ら、ここの地が復活したから乗っ取ろうとしているんだろ!」


 ピクシの民がそう言ってまた乱闘が始まりそうになりそうだったので、ハーバードクラー公爵は「静粛に!」と大声で言った。


「とにかく今の領主は私だ。ここにいるピクシの民の追放は考えていないし、神判は判決非難になったからリラは処刑もしない。とにかく君たちは帰りなさい」

「はあ? バスロ牧師はここに住めると言っていたぞ!」

「俺達の場所だったんだぞ!」

「魔女を処刑しないで、ピクシの民を追放しないのはおかしい!」


 理解しようとしてくれないバスロ牧師の信者の言い分に、ハーバードクラー公爵はうんざりした顔になった。

 そして公爵は「国の騎士団を呼んで、追い出すぞ!」と言って、ようやくバスロ牧師の信者は出て行った。




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