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 こちらの話しから投稿は数話ごとになります。

「それではなぞ解きをしようじゃないか、王を殺した犯人を!」


 森の中で簡易舞台を使って、アルコバレーノ・サーカス団の人々が劇をやっていた。見ているのは耳が尖って、金髪や明るい茶髪の者が多いエルフの若者達。彼らは劇を初めて見るのか真剣に見ていた。

 劇の題目は【白き騎士】である。


「王が死んでいたのを発見したのは姫で、殺された時は一人でいた。しかも少し前に姫と王は喧嘩をしていた。だから姫が王を殺した……と言うのは、いささか乱暴な推理じゃ無いだろうか? 公爵殿」


 スラスラと自信をもって白き騎士役は話し、公爵役とその次男役は苦々しい顔になる。姫役は両手を握り祈るような仕草をしている。

 ここで怪しいチェロの音が響いた。舞台裏で鳴らしているだろう。


「そう言えば、公爵殿。あなたは王に果物を送ったそうですね。ええ、よく熟れたリンゴを。それが王の口に残っておりました」

「だから、どうした! 食べている間に姫が殺したのだろう!」

「いえいえ、違うのです。食べかけのリンゴがその場に残っておらず、なぜか公爵家のゴミ箱から見つかったのです」


 そう言って騎士は齧ってあるリンゴの模型を出した。これを見て公爵役と次男が雷に打たれたような表情を見せた。

 たっぷりと時間をかけて観客を見渡して、セリフを言う。


「このリンゴを鳥たちに与えるとたちまち死んでしまいました。つまり、このリンゴには毒がある。そう、公爵殿がこの毒のリンゴを送り、死んだのを確認した後、密かに回収させた」

「違う! 王は剣で斬られたのだ! 剣が残っているはず!」

「確かに血の付いた剣があり、王の傷もあります。だが致命傷となる程の傷では無かったはずです! それに剣は重くて、男でも振り下ろすのがやっとの代物。細い腕の姫が持てるはずがない!」

「いや! 公爵家はやっていない! 姫がやったのだ! 神の見ている前で決闘し、知らしめよう!」

「ああ、そうか。罪を認めないのか! では決闘だ!」


 そうして公爵の次男役と白き騎士役は決闘を始める。すると舞台上のライトが赤や青に点滅し、低くオドオドロしいチェロの音楽が流れて、決闘の荒々しさを表す。

 そして突然ライトが消えてチェロの音楽も止んだ。観客のエルフたちが固唾をのんで見言っていると、ゆっくりとライトが付く。

 公爵の次男役は尻もちをつき、白き騎士役は剣を突き付ける。震える声で次男役は「ま、待ってくれ」と言って、話し出す。


「あんたの言う通り、王を殺したのは姫じゃない。私の父だ!」


 次男役は自白するとパッとライトは消え、すぐにパッと白き騎士役や姫役にスポットライトが当たる。

 姫役は「ああ、騎士様……」と言う。


「私の無実を証明してくれてありがとうございます。でも……、どうして……?」

「私はあなた様を一目見た時から、愛しておりました」


 そう言って白き騎士役は兜を脱ぐ。すると姫は「ああ!」と感嘆の声を上げる。


「私は隣の国の王子です。どうか、私と結婚してください」


 そう言って立て膝をついて白き騎士役が姫役にプロポーズをする。

 その後、美しい旋律のバイオリンの音と共に白き騎士と姫と結婚式になって終幕となった。


 終わった後、観客のエルフたちは盛大な拍手をする。劇の終わりに役者たちが舞台にあがって、一礼した。


 それを証明係のエルゼは満足げに見る。


「相変わらず素敵な劇ね、【白き騎士】は。ただ白き騎士で隣の国の王子役がラコンテなのが笑っちゃうけど」


 そう言いながら得意げに頭を下げるラコンテを上から見下ろしながら、そう言った。



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