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074 四人の心配と相談

 食堂は相変わらず混んでいた。

 四人はその端に固まって座る。男子二人は日替わりランチのミートボール、女子二人はお弁当。

 しかし、誰も手を付けはしない。


「……確かに僕もそう思う。元気がないというか、なにか悩んでいるような」


「セッキーね、なんか壁を作っちゃってるんだよ。あたしたちにも、言っちゃえば他人行儀みたいで……」


 エナが、小さく震えながら言う。


「絶対何かあったはずなんだよ。それもただごとじゃない事が。――じゃなきゃ、セッキーがあんなになるわけないもん!」


「エナ……」


 カラにさすられながら、エナは顔をあげた。

 いつもの彼女からは考えられないほどに、その表情はくしゃくしゃに歪んでいる。

 する、と一筋、涙が流れた。


「あたしは――あたしもカラも、セッキーが辛い思いをしているなら助けてあげたいっ! だからその原因を知りたい! けれど!」


 ――セッキーは話してくれない。ううん、多分あたしたちにも話せないことで苦しんでる。


「あたしとカラじゃ、セッキーを助けられない……!」


 張り上げた声で一瞬、周りが静かになった。

 エナがずびりと鼻をすする。

 カラが目線を机に落とす。こくりと頷いた。

 

 四人の間とは対照的に、徐々に喧騒が戻ってくる。

 それを見計らっていたかように、ティトが口を開いた。


「……特に天乃と仲がいい二人ですらだめなら、俺はもっとだめだろう。イスカならともかく、俺はイスカの友達――天乃からすれば友達の友達だからな。だが関係が離れているってのは、何も悪いことばかりじゃない」


 水を一口飲んで、続ける。


「……少し視野を広く持てるからな。この三日間、俺はそれとなく天乃の接し方を見ていた。お前ら三人に対してのものだけではなく、クラスの皆に対してのものもだ。それでひとつ、分かったことがある」


「ほんとっ!?」


「ああ。今の天乃は、()()()()()()()()()()()()()()()


 イスカは唾を飲み込んだ。


 ――それはまるで、少し前の僕みたいじゃないか。


「セキレイが、人との関わりを避けている……のですか?」


「そうだ。誰にも気を許していない。だから態度が誰に対しても変わらない。まるでどこにも味方がいないと思っているみたいに……」 


「そんな訳ないのに! あたしたちは……あたしたちは絶対にセッキーの味方なのに。友達なのに」


「落ち着いて、エナ。セキレイもそれは分かっているはずです。けれどそれでもということならば、今のセキレイは理性が閉ざされているということです。感情が抑えきれていない。なにか心に怪我をした……そういうことになるでしょうか」


「……だろうな。俺には、天乃が何かを恐れているように見えたよ」


「――じゃあ、どうすればいいの……」


 うつ伏せの腕の間から、エナの声が漏れる。

 熱を帯びて湿ったそれが、三人の間を流れていく。


「セッキーを助けられなきゃ意味がないんだよ。理由が分かったって――!」


「僕が助けるよ」


「イスカ……!?」


 ティトが驚いた目で隣を見る。

 予想外の言葉に、エナとカラが絶句した。

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