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066 天乃さんと嵌ったピース

「――有馬、お尻触ったらコロすからね」


「お前こそ、引き締まった俺の尻を触るなよ?」


「誰が触るかっ!」


 かはは、と笑って叩かれるティト。

 その隣ではイスカが、かちこちと紐を結んでいた。


 二人三脚の紐は、結びが緩いと転びやすい。

 がっちりときつく結ぶのが常識なのだが……。


 ――セキレイの足首が細くて、力を込めづらい。


 折れやしないかと思って、きつく結ぶことをためらってしまう。

 そんなイスカに、セキレイは微笑んだ。


「大丈夫よ、がっちり結んじゃって。靴下の上からだもの」


「……わかった」


 足元がきゅっと鳴る。紐からふわりと砂が舞う。

 見上げるイスカ。うん、と頷くセキレイ。


「じゃあ――まずは歩いて、だんだん速くする感じで」


「わかったわ」


 ぴたり、脇腹に添えられる白い腕。

 思ったよりぐいと引き寄せられて、イスカは少しどぎまぎした。

 顔のすぐ横が温かい。

 かすかに、柑橘系の香りがする。

 

 ――それは今までで、一番近くて。


 (……僕は何を考えているんだ)


 惚けそうになる思考を無理やり引き戻して、イスカはそっと手を伸ばす。

 遠慮がちに一旦止まって、それから腰に軽く添えた。


「……もっとしっかり、押さえないと」


 ほら、とセキレイが手を重ねる。

 ぐいっと強く、イスカの右手を押す。

 指先が、細いウエストに軽く沈み込んだ。


「――恥ずかしがらないの」


 もう、とイスカに言ったセキレイは、ほんの少しだけ赤かった。






「――すごい、やっぱり俺の目は間違ってなかった!」


 ぴったり息を合わせて戻ってきた二人へティトが拍手。

 ――なんだかすごく走りやすくてさ、とイスカは嬉しそうな顔をする。満面の笑みでセキレイも頷いた。


「かけ声もしてないのに、いつの間にか走れていたのよ。自分でも驚いたわ……!」


「――じゃあ、ペアはもう決定だな!」


「……ちぇ! まあよかったけどさ!」


 一人、面白くなさそうに口を尖らせるエナ。

 

 ……そういえば、ティトと賀島さんはどうだったのだろう?


 イスカが聞くと、まぁそこで見ててみ、とティトが紐を確かめた。

 はぁっとため息をひとつして、エナも立ち上がる。

 がっしりとお互いの腰を掴み、構えた。


 ……さっきお尻がどうとか言い合っていた二人とは思えなくて、イスカは少し面白く思う。


「……いい? 有馬」


「――いいぜ」


 砂がざざっと飛び散った。


 ――一拍遅れて、さんっと吹いた突風に思わず仰け反る。

 唖然とした二つの顔の上で、黒と白の髪が揺れた。


「……下地くん」


「……うん。僕たちは何を見せられているんだろ……」


 ――さっきより、遅いよっ!


 ――ちょっとっ、落ち着けって!


 ――セッキーにっ、いいとこ見せたいじゃん!


 ぎゃあぎゃあ言いながら走るティトとエナは。


「はっや……」


「ほとんど短距離走の速さじゃない……」


 めちゃくちゃ速かった。

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