059 天乃さんと水着のお披露目
砂だらけのコンクリートの上に、ぱらぱらと飛行機が停められていた。貸出用、と小さく書かれた車止めでタイヤは挟まれ、キャノピィには日よけのカバーが掛けられている。どの機体にも人はいない。
すぐ隣には砂浜が広がっている。人は皆そちらに行っていた。
彼らを見守るように立てられた看板には、「ケセラ海岸飛行場」とかすれた文字が踊る。
かすかに、看板が揺れた。きしきしと軋んだ。
それがだんだんと大きくなって、ゆったりとキャメルイエローの機体が降りてきた。
「――ちゃんと見張っててね? 覗いたらだめよ」
「わかってるって」
イスカはプロペラの前で仁王立ちしていた。見渡す限り、近くに人はいないが念のため。
その後ろ、翼の陰でセキレイが着替えている。とはいえ下に着てきていると言っていたので、服を脱ぐだけなのだろうけど。
「もういいわよー! 下地くんも着替えて、こっちを見ないようにね!」
案の定、五分も経たないうちに声がかかる。
わかった、と返事をして、ズボンとシャツを脱ぐ。男子の着替えは一瞬だ。
「終わったよ」
「――じゃあいくわよ……いっせーの!」
せっ、で二人は同時に振り返った。
「――わあ、おそろいじゃない!」
セキレイが嬉しそうな顔で口に手を当てる。
おそろいと言うのは色のことだろう、イスカもセキレイも示し合わせた訳でもないのに、ブルー系の水着を選んでいた。
だがイスカはそれどころではなかった。
軽くフリーズしてしまっていた。
「……」
セキレイの水着姿は、控えめに言って天使そのものだったのだ。
髪と同じく、眩しいほどに真っ白な肌。それを際立たせているのは、青空のごときアクアグレイのタンクトップビキニ。
ホルダーネックのトップスは上半身のほとんどをティアードが覆うデザインで、体のラインを分かりづらくしていたが、それでも彼女が細身であることは容易に分かる。
ボトムスから覗くすらりとした太ももは太すぎずも細すぎずもなく、健康的な張りをこれでもかと主張していた。
総じて、清楚なセキレイらしさを余すことなく発揮した姿だったが……イスカは正直、目のやり場に困ってしまう。
――とにかく可愛すぎるのだ。
「……どうかしら、似合ってる?」
はにかみながら、くるりと回って見せるセキレイ。
ふわっと揺れるティアードは後ろ側にはあまり無くて、予期せず露わになった白い背中から、イスカはあわてて目を逸らした。
「――うん、いいと思う。……とても」
うるさい鼓動に邪魔されながらも、どうにか言葉を絞り出す。
そんなイスカを見て、セキレイはにまっと笑った。
「ありがと。下地くんも似合っているわよ」
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