表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/99

047 天乃さんとハーレム王子

「――うわ、王子サマじゃん」


 エマが小声で呟く。

 声の主は、まさにその呼び名の通りの顔立ちであった。

 ポマードで整えたブロンドの髪に高い鼻。自信に満ちあふれた瞳。

 女子が数人、彼の一歩後ろからついてくる。


「……ティト、誰だか知ってる?」


「――ああ、1-Dの大吉オオヨシキリ。通称『王子』って呼ばれてる、天乃の男子版みたいな奴だな」


 ティトがイスカに耳打ちする。

 なんでも、取り巻き全員と付き合ってるらしいぞ――と付け加えた。

 イスカはうわ、と少し引く。


「――大吉くん、だったかしら。……どうして私と? お話したこともないわよね」


「それはもちろん、天乃くんが魅力的な女性だからさ。確かに話すのはこれが初めてだが、これから仲よくしてくれると嬉しいよ」


「それはどうも。だけど私たち、もう行かなきゃだから――」


「いいじゃないか。おーい、カメラの人! 一枚頼むよ!」


 ちょっと、とカラが止めに入るもすでに遅く、にこにこしながら片膝をつくカメラマン。

 王子の一団が隣に来た。取り巻きの女子がちらり、とセキレイを一瞥する。あきらかに不満そうな顔をしていた。

 しゃーない、さっさと終わらせて早く行こ、と諦めた声で言うエナ。渋々、といった様子で、カラはセキレイの隣にしゃがむ。

 

 不意にズボンを引っ張られたような気がして、後ろにいたイスカは目線を落とした。

 小枝のような指が、くいくいとつまんでいる。

 青い瞳が、さりげなくイスカを見た。白い首が、小さく横へ動いた。


 ――横に来て、というような仕草。

 

 背中を押し、行けよとティトが囁く。

 ふっ、と息を吐いて、イスカはセキレイの隣に腰を下ろした。王子のグループと、ちょうど境になる位置。


「――撮りますよー、2×6はぁ?」


 ――12、と声が揃った直後。


「……ありがと」


 微かに、だけど今度はちゃんと、声が聞こえた。






「……さっきのハーレムにさ、大間いたよな。大間シコ。気が強そうなポニーテールの」


「えっと……ああ、グループ発表の時に意地悪な質問してきた人か。それがどうしたの」


「俺が思うにさ、あいつは王子が天乃に気があるのが気に入らねえんじゃないかな。だからああいう質問したんじゃねえか?」


「……なるほど、そういう事ですか。一理ありますね」

 

 艦内に入ったため小声で、ひそひそと話すティトたち。

 嫉妬ってやだねー、とエナが呆れ顔で言って、――セキレイにまで手を出されちゃたまったもんじゃないよ! と鼻息荒く言い放った。

 そしてその調子のまま、イスカを睨みつけた。


「……な、何?」


「――下地。あんたが虫除けになるんだよ。覚悟してよね」


「ええと……僕が……?」


 どもるイスカを見て、くすり、とセキレイが笑った。

読んでいただき、ありがとうございますっ!

ブックマークもよろしくおねがいします。


励みになりますので、★評価や感想を頂けるととても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ