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046 天乃さんと記念写真

 草原を越え、山脈を越え、また草原を越える。

 学校を出発してからおよそ三時間ほど経った頃、ようやくスピーカーが震えた。


 「――当機は間もなく着陸します。立っている生徒は座席へ戻り、ベルトを締めてください」


 機長のアナウンスが入り、スクールエアはゆっくりと高度を落としてゆく。眼下に見えていた茶色の線が灰色へ変わり、太さを増す。それはいつの間にか大通りとなり、それに沿って建物が増えてきた。

 

 ジオラマのような街の向こうは、舗装された平坦な地面が広がっている。

 イスカの街の飛行場とは比べものにならないほどの、四本の滑走路を備えた大きな空港。

 スクールエアは二手に分かれ、着陸専用の滑走路へと向かっていった。






 飛行機から降り、連絡バスに十分ほど揺られ、ようやくイスカたちは目的地に着いた。


「……でけえなあ。これが空を飛んでいたのか」


 ティトが仰ぎ見るそれは、航空機ではなかった。

 校舎よりも大きな、ずんぐりとした艦体。側面には巨大なエンジンが等間隔に並び、がっしりとしたプロペラを空へ向けている。全面を分厚い装甲板が覆い、上部にはそれだけで家くらいの大きさがある艦橋が突き出していた。

 四連装の対空砲がそこかしこから生えていて、上下左右、いたるところを睨んでいる。ただし銃口には蓋がされ、撃つことができなくなっていた。

 最下部には大きな扉が口を開けている。掛けられた横断幕に、歓迎の文字が踊っていた。

 

 ――ようこそ、記念艦「エラ•ノーラ」へ!


「……ちょっと有馬、いつまで眺めてんの!」


「ん? おお悪い、もう入るのか」


「その前に写真撮ってもらうの、写真屋さん来てるから!」


 振り返れば、太いレンズを構えたカメラマンが手を振っていた。班ごとに、というよりは自由に撮る流れのようで、数人のカメラマンがあちこちでシャッター音を響かせている。その前で、生徒たちは思い思いにポーズを取っていた。


「じゃあ撮りますよー、皆さん固まって!」


 先陣を切り、エナが前でピースをした。そこへ体を寄せ合うように四人が集まる。カラとセキレイがピースを重ね、イスカたちはその後ろ。

 ティトが肩を組み、イスカの顔の横にもピースを置いた。


「それでは!……4×8はー?」


「「「「「32ーっ!」」」」」


 カシャ、とシャッターが切られた。

 ……普通は1+1じゃないか? とティトがぼやく。

 アレンジでしょう、とカラが答えた、その時。


「――天乃くん。僕とも写真を撮らないかい?」


 爽やかな声が、セキレイに向かって掛けられた。

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