021 天乃さんと運命の人
ぱち、と音がして、二人はモニタに向きなおる。
映っていたシークバーが消えて、灰色の検索ボックスに切り替わった。
「やっと立ち上がったわね、ええと……」
かたんかたんとキーボードを弾くセキレイ。傍らに貼られている変換表を見ながら、交通省のページへのコマンドを入力。
しばらく経って、ようやくページが表示された。
ころころとマウスを転がしながら、航空機使用率の統計データを探す。項目がずらりと並んでいて、まるで文字の海のよう。
「……もう少し整えたくなるわね。そう思わない?」
「わかる、見ているだけで目が痛くなる。――変わろうか?」
「もう少し頑張るわ。多分だけれど、その後にお願いするかも」
「わかった」
セキレイは目をぱちぱちと瞬いて、姿勢を直した。
白いまつ毛から目を引き剥がし、後ろを振り返れば、本棚の隙間からティトたちが見える。
何冊か本を抱えたティトの側で、脚立に乗ったカラが背表紙を選んでいた。確かに、お似合いの二人である。
「――そういえば、最近よく一緒になるわよね。……登下校の時は抜きにして」
画面から目を離さずに、セキレイが小声で言った。
話しても向こうには聞こえないと踏んでいたので、イスカも頷いて続ける。
「なんでだろうな……ならないように意識しているのに」
「そういうのって、コントロールできないものなのかもしれないわね。運命みたいに」
思わず口をつぐんだイスカに、セキレイがいたずらっぽく微笑む。
「ということはある意味、下地くんは運命の人ね」
「……僕じゃなかったら勘違いしそうな言葉だな」
「あら、勘違いではないかもしれないわよ?」
「――もしそうなら、友達は皆、運命の人だろう」
「そうね。友達になる運命だった人だもの」
――それじゃあ交代、後はよろしく。
ふふ、と笑って、セキレイは背伸びした。
使用率内訳、と書かれた紙に、つらつらと情報を記していく。
一位、戦闘機。
二位、爆撃機。
三位、攻撃機。
四位、輸送機。
「まぁ、予想通りだわなー」
ティトが椅子にもたれかかって呟いた。
授業も二回目。前回の調べた結果をまとめているのだが、イスカとセキレイが調べた最新の統計も、ティトとカラが持ってきた過去の統計も、相変わらずこの結果。戦時中の生産量を反映したものだった。
「そもそもの供給源が余剰機体や中古機ですし、数年では変わりませんよね」
これも考察で使いましょう、とカラはすかさずメモを取る。
「じゃあ、次はそれぞれの機種で人気の機体ね。これは一人ずつ分担して調べるのがいいと思うのだけど」
「そうしましょう。皆さん希望はあります?」
「――なら、ちょっとお願いしたいことがあるんだけど」
いつもは一歩引き気味だからか、びっくりした顔が三つ、イスカを見た。
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