ヲタッキーズ164 第3のヲタク
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第164話「第3のヲタク」。さて、今回は家族旅行から帰ると子供ベッドにスーパーヒロインの死体がw
裏にダイヤ密輸シンジケート、そして、その儲けを狙う者、そして唯一の目撃者は、都市に流行りの不法居住者…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 旅の終わり
小春日和は、冬の季語だ。
穏やかな陽光に照らされた摩天楼のアパート区画。
家族旅行から戻ると、ポストが郵便物に埋もれてるw
「ちょっと!どいて、どいて!」
「あぁやっぱり我が家が1番だなー」
「パパ!"真夜中"を迎えにペットホテルに行こう!」
既に山積みの家事に目が三角の妻、呑気な夫、はしゃぐ娘。
「ママ!お腹すいた!」
「後でシリアルをあげるわ。ソレまで我慢!」
「わかったょママ」
娘を瞬殺、次に矛先をノンキな夫に向けるw
「アナタ!ナンで出掛ける前に洗い物しなかったの?!」
「…お前こそ、ベッドがメチャクチャだな」
「誰かが寝てたの?」
何だか気配が違うw
「ママ!私のベッドに誰か寝てるょ!」
「ママのトコロに来て!アナタ?」
「う、うん。子供部屋だな?」
夫が見に逝くと…うつ伏せのスーパーヒロインの死体。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、朝から絶好調な僕←
「やっぱりな!」
「あぁ寝起きなのに。テリィたん、ウルサイ」
「テリィ様、何事ですか」
御屋敷のバックヤードをスチームパンクに改装したら居心地が良くて客の回転率は急降下、ついでに売上げも急降下w
頭が痛いトコロだけど、こーして、朝からダイナーみたいにアメリカンな朝食が食べれるのは常連を代表して感謝だ。
ところで!
「見てくれ!"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"が選ぶ"結婚したいTOランキング"に誰かさんが入っちゃったカモょ!」
「誰?」
「さぁ?電気街イケメンクラブの会長では?」
常連のハッカー、スピアがウェブをチェック。
「あら、9位だわ。去年は7位だったのに」
「早速ネガティブなご指摘をどうも」
「テリィたんの元カノ会の会長ですから。幸い"ワラッタ"のランキングなんて、ヲタ友は誰も見ないし」
アキバ発の巨大メディアも"会長"にかかっては形無しだw
「スピア、恥ずかしいのか?」
「別に。元カレがそんなランキングに入るなんて、元カノのひそかな自慢だし」
「…でも、売り出し中ではナイようですね。テリィ様、記事はお読みですか?」
メイド服でベーコンを焼くミユリさんだ。僕の推し。
「え。読んでないょ。何だって?」
「"テリィたんは、万世橋警察署の警部、ラギィとロマンチックな関係にアルとの噂だ"」
「はぁ?」
続けて読み上げるミユリさん。ベーコンが焦げそうw
「"ラギィ警部は、彼の新作SF小説"宇宙女刑事ギャバ子"のインスピレーションとなった女性だ。今年は9位だが、来年はランク外となるかもしれない"」
「(何だ?そのドヤ顔w)なぜだ?インタビューではそんな話は一言も話してナイけど」
「テリィ様、ラギィがコレを読んだらカンカンですね」
"今カノ"のミユリさんは余裕で高みの見物ポジションw
「問題ナイ。きっとラギィなら笑い飛ばしてくれるさ」
すると、スピアとミユリさんは顔を見合わせる。
「いつも元カノに囲まれてるくせに、女の気持ちが少しもワカってナイ…」
"会長"の叱責をBGMにしてスマホが鳴動。
「噂をすればラギィだ。ネットの記事を見たか、スーパーヒロインの死体を発見したか、どっちかだな」
「どうぞ神様、テリィ様のために死体でありますよーに」
「おはよう、ラギィ…えっ!スーパーヒロインの死体が?」
ミユリさんがおちょぼ口でピースサインw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
殺人現場。"秋葉原エンペラー"3708号室。
「…他に部屋に入れた者はいないハズだ。ウチはメイドとか雇ってナイし」
「ソレで、お嬢さんの学校には?」
「もちろん、断った上での家族旅行でした」
夫婦から事情聴取スルのはヲタッキーズのエアリだ。僕を見てボールペンで奥を指す。
遺体は奥にある子供部屋らしい。あ、因みに彼女はメイド服。ココはアキバだからね。
「何?」
天蓋付き子供用ベッドにワンダーウーマン風のスーパーヒロインの死体だが…
サイドテーブルに"独身TOランキング"の大見出しで、新聞が伏せてあるw
今どき紙の新聞を購読?バカかょ笑
「何って何が?ソレより状況は?ルイナ?」
手をつくフリして新聞の見出しを隠すw
「ご想像の通り、身元は不明。死亡推定時刻は、昨夜の9時から1時の間ね。家族の旅行中、この部屋でくつろいでいたみたい」
「くつろぐ?他人の家で?」
「あのね、テリィたん。スコッターと呼ばれる不法居住者は世界で10億人以上もいるのょ」
僕のスマホをハッキングし御託宣を述べるのは超天才のルイナ。多忙の合間に"リモート鑑識"をして手伝ってくれる。
ラギィ警部が現場のアチコチを指差す。
「ココには食べ物。バスルームの乾燥機には彼女のコスプレが入ってた」
「夫妻のベッドでも寝てた形跡がアルけど…きっと硬かったから、子供ベッドに変えた…かなり、抵抗してるな」
「でも、失敗した。見て。首筋に注射の跡がある。毒物検査の結果が出たら教えるわ」
そっちはルイナに任せよう。
「注射器で殺すナンて映画だけだ。スーハーヒロインをホンキで殺すなら、音波銃を使うしかナイ」
「音波銃は音がするわ。しかし、コレは…何か変ね」
「もう1人、別のスコッターが侵入して殺したとか?」
なるほどな。僕は茫然としてる夫婦を見遣る。
「ダイソ家の様子は?」
「夫婦は怯えているけど、娘は割と平気みたい」
「トラウマにならなきゃ良いけど。今回の家族旅行のコトを知っていたのは誰?」
「会社関係や学校は、みんな知ってました」
事情聴取したエアリが応える。
そこへヲタッキーズのマリレw
「被害者のスマホに残ってた画像が見れそうょ!」
「あ、あら?」
「この家?」
マリレが広げたPCに写ってるのは…この部屋だw
「なぜ写真を撮るの?」
「ソレはね、散々暮らした後で引き上げる時に、バレないように、来た時と同じ、元通りに片付けるためょ。不法居住者の常套手段」
「ルイナ。ホントに良く知ってるな。さすが超天才」
ラギィ警部の指示が飛ぶ。
「スマホの削除済みの画像も見てみたい。技術班に言ってメモリカードを復元してもらって」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋に捜査本部が立ち上がる。が…
「テリィたんは殺される」
「終わったわ」
「おいおい。何だょウカない顔して!」
メイド服で険しい顔してるエアリ&マリレに尋ねる。
「テリィたん、マジなの?独身卒業?売れちゃったの?」
「しかも、ミユリ姉様ならともかくラギィと?」
「おい!例の配信は内緒だ!特に、ミユリさんとラギィはダメだ。話したら絶対に後悔させてやるからな!」
と、ソコへ当事者?の片割れ?のラギィが登場w
「レイカ司令官と話したわ。本件は、弊社と南秋葉原条約機構の合同捜査になったから。今さらだけどよろしくね。エアリ、ダイソ家の会社や学校周りは?」
「留守だと知ってた人は全員、身元調査したけど、何も出て来なかった。もうちょい時間を拝借」
「目撃者は?」
マリレは首を横に振る。
「近所の人は、特に変わった様子はなかったって」
「だよね。私だって、近所の人の顔ナンか、ロクに覚えてないモノ」
「アキバらしいな。他人の趣味、と言うか、存在自体に興味が希薄ナンだ」
さっきの新聞を出すエアリ。
慌てて隠す僕…と、同時にw
「ハイ、もしもし?ラギィだけど…」
スマホが鳴り、クルリと振り返り歩き去るラギィ。僕は新聞を取り上げようとスルが、エアリはくるりくるりとカワす。
「みんな!ワンダーウーマンの身元判明ょ。ダグラ・ビショ。見て」
僕達は、一斉にラギィのスマホを覗き込む。
さりげなく、新聞の上にわざと手を置く僕。
「コイツね?10年前に泥酔して逮捕されたけど、不起訴になってる。それ以外は何もナイわ」
「何もナイって…前科者のスーパーヒロイン?」
「身内に連絡して。彼女が何をしたのか聞きましょう」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
真昼の陽光が摩天楼の片側を照らす。万世橋の検視局。
「テリィたん。毒物検査の結果が出た。例のワンダーウーマンは、麻酔薬を打たれてた。ケタミンょ」
「クラブで流通してるドラッグだ」
「でも、ダグラはハイになろうとして打ったワケじゃない。そもそも、馬が死ぬ位の量を打たれてるし」
検視局のドアが開き、青いオペ着の男が顔をのぞかす。
「妹さんがお見えになりました」
「警部のラギィです。ご足労をおかけました」
「あの…この度は姉が…」
握手。ストレッチャーの上の遺体には布がかけてアル。
「コレが姉ですか?」
「はい。お辛いでしょうが…」
「では、御確認願います」
係官が白い布を取る。息を飲み夫とハグする妹。泣き出す。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
引き続き検視局。妹が泣き止むのを待つ。夫に絡まれるw
「おい、警察。不法居住者って何だ?自分の住居があるのに、なぜ他人の部屋に住むんだ?」
「ダグラさんが、何かトラブルに巻き込まれて誰かから隠れていた可能性はありませんか?」
「ないわ。姉はみんなに好かれていたモノ」
ようやく泣き止んだ妹が口を開く。
「失礼ですが、借金とか、何か経済的な問題は?」
「私は聞いてません。旅行会社でも聞かれたけど、生活に特に変化はありませんでした」
「旅行会社?ソコから不在情報が漏れたとか?」
僕は、頭をヒネる。
「お金のトラブルだったら、何かあれば、虎の子の貯金を使ってたハズょ」
「そうだね。姉さんには夢があった。お台場でスキューバの店を出すのが夢で金を貯めてたっけ」
「少しずつだけど、毎月給料の1部を口座に入れてたわ」
地味だけど感心なスーパーヒロインだw
「お姉さんと最後に会ったのはいつですか?」
「姉の旅行会社のパーティです。ちょうど、会場が夫が働く神田リバー水上空港の近くだったから、みんなで行くコトにしたの。ダーツ大会で盛り上がったわ。でも、その後会ってナイ。まさかこんなコトになるなんて」
再び泣き出す。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
分署。ラギィのデスクサイドに着席する僕。
「…そう。ありがとう」
スマホを切り溜め息をつくラギィ。
「旅行会社からょ。ダグラは、誰かから隠れてたワケじゃない。会社によると、今年は、昨日まで1日も会社を休んでないんだって」
「ダイソ家の家族旅行は?」
「ソレが別の旅行会社なのょねぇ」
念のため確認。
「ダグラの貯金は調べた?」
「もちろん。全く使ってない。手つかズょ」
「隠れてもナイし、借金もナイ。しかも、ダイソ家が留守だと知る術もナイ」
八方塞がりだ。ソコへマリレが飛び込んで来る。
「万世橋のヲタク班が現場にあったスマホの消去画像の復元に成功したわ」
近くのPCをホットにして画像を見ると…キッチン、カウンター、何処かの店舗…実に雑多な不動産カタログって感じw
「ダイソ家じゃナイわね」
「ホントに色んな住居に住み着いてルンだな」
「スリルが目当てかしら」
まさか。
「犯人は、ソンなスコッターに激怒?」
「でも、なぜ留守宅がワカルの?」
「あ!」
洗面台に向けフラッシュを焚く誰かが鏡に写ってるw
「誰なの?コイツは」
「やぁね」
「きっと犯人ょ」
第2章 UNスコッターズ
万世橋の捜査本部。
「でもさ。殺人犯が、犯行現場の写真を撮るか?鑑識じゃあるまいし。どうかしてるょ」
「記念撮影かしら」
「インバウンドじゃナイのょ。そもそも画像は削除されてたンだし」
ラギィは頭をヒネる。
「スマホの指紋は誰の?」
「犯罪歴データベースにはヒットなし」
「一般人の仕業なの?」
どうやら、そのようだ。
「ダグラ自身が不法居住者じゃナイなら"秋葉原エンペラー"で何をやってたのかな。しかも、撮影までして片付けてナイ。確かに説明がつかない…」
「あらあら。いつもなら泉のように妄想がアフれ出て、ベラベラと仮説を喋りまくるトコロょね?」
「うーん正直なトコロ、何にも浮かばないょ」
するとナゼかドヤ顔のラギィ。何なんだw
「指紋も目撃者もアウト。まるで幽霊ね」
「しかし、幽霊はどうやってダイソ家がずっと留守だと知るのかしら?何か知る術があるンだと思うけど、ヲタッキーズ、何とかならない?」
「ROG。誰の家に侵入したかを調べてみるわ」
エアリ&マリレは現場に出かける。見送ったラギィはデスクの上に新聞を見つけて怪訝な顔をスル。新聞に手を伸ばす…
目の前でひったくる僕←
「な、何ょ?試合結果を見たかったのに」
「ホームの勝ちだ」
「…何の試合だか、未だ言ってないわw」
あ、しまった笑
「例のビッグゲームだろ?スゴかったょねぇアハハ」
「ハハーン何か隠してるのね?」
「何かって何だろう?美味しいの?」
ヤバ。その時、マリレが飛び込んで来るw
「見て!誰かの家の薬棚を撮った画像、もう少しで処方薬の名前が読めそうなの!」
「そりゃあ世紀の1大事だぁ!」←
「ヲタクチームに写真が拡大出来るか聞いて…いいえ、拡大しろって命令して!」
その隙に新聞を折り畳み素早く小脇に抱える僕。
全く、今どき紙の新聞を購読だって?バカかょ笑
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部にラダフ・ラドフさんに来て頂く。中年のオバさん。ただし、純金髪w
「ウソでしょ!あの薬棚を開けたの?まさか、私の日記も見られたかしら?」
今どき紙の日記帳をつけてるのか?バカかょw
「ラダフさん、この男に見覚えはありますか?日記のコトはお気の毒でした」
「絶対ないわ」
「(変な日本語ねw)ダイソ御一家も知りませんか?」
画像を示すラギィ。首を横に振るラダフさん(純金髪w)。
「知らないわ」
「旅行のコトだってママにしか話してないの。会社には仮病を使ったわ。だから、ボスには言わないでね」
「何か異変はなかった?」
すると、ポンと手を打つラドフさん。
「あぁそーゆーコトだったのね」
「何?」
「あのね。水道の水漏れを直すよう管理人に言っておいたのょ。だのに、なかなか直してくれなくて。ソレが貴女、旅行から戻ったら直ってたワケ。管理人に御礼を言って東北土産のズンダ餅をあげたら直してないって言われた。ズンダ餅を返せ!」
そっちか?
「ふーん侵入者が水道管を修理?」
「あ、あら?貴方、テリィたん?"元カノ戦隊ミレン5"、読んでるわょ…えっとソレから冷蔵庫にイチゴ味の変なシャンパンがあった。旅行前にパーティをしたから、その時の友人が置いていったのかと思った。でも、私の友人はあんなシャンパンは買わないわ」
「安物の酒?」
激しく首を横に振る。
「いいえ、高いの。発泡酒より」
「侵入者は水道を直し"高価な"プレゼントを残す。礼儀正しい人達だな」
「ソレでも、犯人なの。パーティのゲストみたいに言わないで…じゃミシェ。ご協力に感謝スルわ」
ところが"純金髪"オバさんは帰らないw
「そういえば、新聞の写真を見たわょ!でも、写真よりも実物の方がよっぽどカッコイイわ」
「良く逝われます」
「え?テリィたん、新聞に載ったの?」
無邪気な笑顔で振り向くラギィ。
「警部の彼女って貴女のコトね?」
「待って…何?」
「素敵な彼をゲットしたわね。手放しちゃダメょ」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
広げた新聞を下ろすと…般若の面だw
「テリィたんとロマンチックな関係?コレ何?」
「待て、ラギィ!"噂"って描いてアルぞ!」
「テリィたん、インタビューで何を話したの?」
ギャレーのテーブルの上に新聞を叩きつけるラギィ。
「何も話してないょ!僕の評判にだって影響スルだろ?」
「僕の評判?私の評判はどうなるのよっ?!」
「僕も被害者ナンだ。こんなデタラメ新聞、購読をヤメるのはヲタクの義務だ。そもそも、今どき紙の新聞を購読してるとは!バカかょw」
必死に煙幕を張りながら、心にひっかかる…え。購読?
「テリィたん!貴方は何もわかってナイ!女が警部をヤルのは大変なのっ!こーゆーコトをネタにされて、ドンドンやり辛くなるのょドンドン!…あら、何?誰に電話してるの?」
「"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"?えっと、CEOのキット・グランに"古い友人が来た"と伝えてくれないか…(ココで僕はスマホの送話口を抑えてラギィに)ミシェは、自分の旅行を知ってたのはママだけって話してたが、他にも知ってた奴がいた。だって、集合ポストに新聞が溜まってたら留守がバレバレだろ?」
「そっか!そースルと"いいね"も止めなきゃね!となるとSNSも新聞も、メディア企業なら停止情報から誰が何日留守にするかが一目瞭然ょ!」
僕のスマホに耳を近づけるラギィ。顔が近い。
「よぉキット。調子は?」
「テリィたん、あのね。ミニコミ誌から始めたウチも、今じゃ世界が相手の巨大メディア企業に成長したの。タマには、自分がテリィたんの元カノだってコトを忘れさせてょ」
「忘れるな。購読者についてだ。ソチラの購読者2名の"いいね"や新聞の停止状況を知りたい」
すると、ボソッとつぶやく巨大メディアのCEO。
「今どき紙の新聞を購読してる奴がいるの?どんなバカ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"編集センター。
「従業員だけで数千人いる。わからないな」
編集長と呼ばれる男は、オフィス内の階段を3段飛ばしで駆け登りながら、ロクに質問を確認もしないで応える。
「その中で、配達停止の情報が分かるのは?」
「契約担当者10人位と請求担当。ソレにモチロン配達のアジアンなバイト達も知ってる」
「名前のリストをください」
またまた何も確認せズ、今度は階段を駆け降りる。
僕は、階下のフロアで馴染みの編集者を見つけるw
「ドナナ!」
背後から声をかける。ピクンとした後で彼女は振り返る。
「テリィたん?!あ。9位になったコトを怒ってるのね?私は7位が良いと言ったのょ!」
「待て待て。ソンなコトは気にしてないょ。ただ、あのさ、なぜラギィと関係があるナンて描いたンだ?」
「あら。だって、テリィたんが彼女の話ばっかりスルから、まぁそう思ったワケ」
やっぱりドナナが犯人かw
「してナイだろ?ラギィの話ナンか」
「してたでしょ?"ラギィ話"を延々と。彼女が、どんなに面白い人かとか、彼女の得意なコトとか」
「ぼ、僕がソンなコトを?」
濡れ衣…かな?あれ?
「去年はミユリ姉様の話ばっかりしてたのに」
「誤解だょ!」
「そーかしら?実は"嫁にしたいグラビア地下アイドル第3位"がテリィたんを気に入ってたわ。写真は見た?」
ドナナは、両手で新聞を広げる。
「え。グラビア地下アイドル3位?そ、ソレは…」
「新聞には、ゼヒ全体に目を通して欲しいわね」
「普段は目を通すが、最近は"ギャバ子"の執筆が忙しくてさ…おおっすげぇ!たまげたなコリャ!」
新聞をヒッタクルと第3位だけ…手ブラだ。気合いが違うw
「アマダ・リビン。彼女の電話番号を知りたい?」
ドナナの挑むような目つき。
口を開けて絶句している僕。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ本社ビル地下の配送センター。輪転機が回ってる。
「見つけたわ!ミッキ・カルソ。ダイソ家も彼が配達を担当してる」
「やっぱり配達人か」
「でも、今日は欠勤だって。編集長、リストのミッキの住所が空欄ですけど」
編集長は、フランス人みたいに両肩をスボめてみせる。
「描いてナイ理由が今、わかったょ」
「明日が給料日ですね。ミッキの給料は…振込ですか?」
「いや。配達バイトは直接取りに来る。10時に給料が届くが、必ず10時1分には取りに来てる」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。インディアンサマーの西陽が差す。
「でも、配達人が音波銃やケタミンを扱う?」
「配達は、きっと表向きの仕事ナンだ」
「配達停止のリストをゲットしたわ。今も、秋葉原の何処かで無断居住してるカモ。ミッキは音波銃を所持してる可能性がアルわ。警戒して。テリィたんと私は"ワラッタ"で張り込んでみる」
うなずくエアリ&マリレ。
「ROG。探してみるわ」
「犯罪予防で新聞を止めるのね」
「何か本末転倒だけど」
出掛ける2人。因みにメイド服だ。ココはアキバだからね。
「…テリィたん。"ワラッタ"で誰と話してたの?」
「ドナナだ。僕達の記事を描いた編集者」
「ヤメてょ!"僕達"とか!」
キッとなって顔を上げるラギィ。
「わかってる。わかってるさ」
「ウソだと言ってくれた?」
「伝えたさ…実は、ソレが良い結果になった。どうやら"結婚したいグラビア地下アイドル第3位"ちゃんが、僕に興味がアルらしい。そのうちアキバのセレブは、僕と彼女とのロマンス一色になるから"僕達"の噂は消えるさ」
マズいと思いながらも、一気にまくし立ててしまう。
「次の日の"ワラッタウェブニュース"の見出しはこうね。"9位と3位が2人で食事!"」
「平均は6位か。あのさ、とにかく!僕とロマンチックな関係を持ちたい腐女子はたくさんいるんだょ」
「誰に向かって言ってるの?ミユリ姉様?」
僕は、クルリと踵を返して歩き去る。ラギィは、余裕の笑顔で見送るが、僕が消えるや慌てて第3位の記事に目を落とす。
「何が"結婚したいグラビア地下アイドル第3位"ちゃんょ…あら?シングルマザーじゃナイの」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
超天才ルイナは秋葉原D.A.大統領の首席補佐官。車椅子のゴスロリ女子なので激務の大半をラボでこなす。その時…
「私、楽しみたい」
ふと目を上げると、目の前のモニターにラギィが映ってる。
「ねぇルイナ。何とかしてょ」
「"秋葉原エンペラー"に死体で横たわってたスーパーヒロインさんも同じ。でも、無理ポ」
「デートしたい」
単刀直入かつ脈絡ナシに斬り込む。ルイナ、ドン引き。
「え。何?」
「デートょ!男性と一緒に。私に誰か紹介したいって言ってたょね?ソレが今ょ。だから、よろしく」
「ねぇ一体何があったの?」
大統領の予算教書を脇にどけ、身を乗り出す首席補佐官w
「ほら、私って前の職場じゃ"新橋鮫"とか呼ばれて…こんな仕事だから、仕事の後は静かな時間を求めてた。でも、ソレに飽きちゃった。少しウルサイ位の人が良いわ。はしゃぎたい…恋をして」
「あっそ。じゃ処方箋を出すわ」
「ブラデカー?世界征服を狙う悪の秘密組織?」
送信されて来たメールに驚くラギィ。
「違う違う。ブラド・デッカ。紹介したかったブラドょ」
「イケメン?」
「"神田消防"カレンダーの7月ょ」
「7月?夏の担当はハズレなしだわ!」
「その通り!」
悪い?相談がまとまるw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜遅くの"潜り酒場"。
「じゃあ8時でどう?…わかった。おやすみ、アマダ」
美女のアポを取り付け、颯爽と御帰宅スル僕。
カウンター席で仕事中のスピアが顔を上げる。
「お腹空いたー」
「ミユリ姉様のXmasキッシュが1切れしぶとく残ってる」
「hallelujah!大好物だ。で、今日はどんな1日?」
スピアのサイドに座る。
「実に最高だったわ。先ず国際的ハッカー集団"あの荷物"から、緊急のお呼び出しを受けた」
「ええっ?何が原因だ?」
「テリィたんに渡してくれって。彼女の電話番号。どーやらドイツのハッカーで、あと3年でシニアみたい」
うーん枯れてるなw
「若い子が良いなら5才のスロンがテリィたん、イケてるって。あと3ヶ月で6才ょ。今度ダブルデートしよ?」
僕を真正面から見据えるをスピア。
「ははあ。スピア、僕のコトを嫌いになり始めてるだろ?」
「ちょっとね。ラギィは?」
「まぁ大丈夫だ。光栄に思ってるカモな。そのキッシュ…」
スピアが皿を叩くw
「光栄?」
キッシュとドリンクを手に立ち上がり、プイと出て逝くw
「キッシュ…お腹減ったな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌日。"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"本社ビルの地下配送センター。かつての賑わいはナイ。今どき紙の…(以下省略)。
「今、10時15分だ。未だミッキは現れないな」
「焦らないの。ところで、テリィたん。"ドラゴ"ってレストランを知ってる?」
「もちろん。"ロマンチックなスチームパンクレストラン"のベスト10に入ってた。人気があるから、コネがナイと予約は取れない。何で?」
思わせぶりなラギィw
「別に。何処か良いレストランがないカナと思って」
「デートか?」
「えぇまぁね。でも、何でそんなに驚くの?!」
ソレは!あの店で食事したカップルの97.2%はセック…
「いや。ただ"ドラゴ"に逝く体位、じゃなかった、タイプには見えなくてさ」
「そう?それじゃ私はどんな体位、じゃなかった、タイプの女だと思ってた?」
「そうだな。おいミッキだ。彼女が来たぞ」
翠のベレー帽の女。ラギィが声をかける。
「ミッキ・カルソ…」
途端に逃げ出すミッキ。追うベケット。作業員突き飛ばす。正面から台車が来て避け切れズ衝突!ラギィが逆手を取る。
「…ダグラ・ビショの殺害容疑で逮捕スル!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そのママ、ミッキは万世橋の取調室に直行w
「貴女がダグラを殺すのに使ったケタミンょ」
「いやいや。私のじゃナイわ」
「音波銃を使えば後が面倒だものね」
薬瓶や音波銃の画像を示しながら挑発するラギィ。
「私の音波銃じゃナイわ。私は、あの部屋に無断で住んでただけょ。私はスコッター」
「何ソレ?アリエッティの男版みたいな奴?」
「え。アリエテ戦車師団?」
要領を得ない発言に動揺するミッキw
「とにかく!私は犯罪者じゃない。自由な(不法)居住者の集まり"国際スコッターズ連盟"の会員番号18950ょ」
「1万番台とは筋金入りだな…でも、不法居住は立派な犯罪だぜ?」
「でも、被害者は出してないでしょ?」
意味不明なドヤ顔w
「じゃダグラをあの部屋で殺したのは誰?」
「メトラ家にいた連中ょ」
「メトラ家?何ソレ?美味しいの?」
またまた意味不明な"家"が出て来るw
「私が、ダイソ家の前に住み着いてた家ょ」
「ややこしくなってきたから、最初から話してくれる?」
「OK。先ず、メトラ家が1週間留守になると聞いて、こりゃ住み着くチャンスだと思って早速ピッキングしに行ったワケょ。で、後で元通りにスルために写真を撮ってたらテーブルの上に注射器を発見した。まぁきっと家族の誰かが糖尿病なんだろう、ぐらいに思ってた。でもね、別の部屋のベッドの上に音波銃が置いてあった。その横には色々な用具もね」
用具?
「まさか…SM?」
「あのね!クライミングの用具ょ。とにかく、ヤバそうナンで逃げようと荷物をかき集めてたら、誰かが部屋に入って来る音がした。慌ててウォークインクローゼットに隠れたら、隙間から3人が入ってくるのが見えた。さっきの顔写真の男と地味な男と顔に三日月の傷がある。いかにも悪そうなマッチョな男の3人組ょ」
「顔に三日月の傷?」
「ね、なんか変な話でしょ?とにかく、連中の目を盗み荷物を持ってダイソ家に逃げたワケょ。で、到着して荷物を置いてくつろいでたら、突然ドアが開いて、さっきの2人が入って来たじゃナイの!」
意外にナイスなストーリーテラーで聞いてて退屈しないw
「ソレは、ダグラと三日月の2人組だな?!」
「惜しい!ダグラと地味な男のコンビでしたぁ!ダグラが私のスマホを返して、と飛びかかって来た!」
「おおっ!…ところで、君って、実は思い付きで話してナイか?」
一応"同業者"臭いので、先に1発カマしておく。
「あら。ホントにホントょ。メラド家を出る時、荷物を間違えてたの。奴のスマホを間違えて持って来ちゃったワケ。でも、よく私の居場所がわかったわね。もしかしたら"闇の不動産屋"の会員カモ」
「DAK?」
「ソレはアフリカ軍団。"国際スコッターズ連盟"がダークウェブで運営してる、時空を超越した空き家情報サイトょ。マルチバースの誰の家が、いつからいつまで留守スルのか、即わかるの。会員は、その情報に基づいて"スコッティング"をしてるワケ」
迷惑なサイトだな!
「とにかく!スマホなんかいらないから返そうとしたの。そしたら、注射器片手に襲って来たワケょ。私、危うし…でも、ダグ様々だった。ありがたいコトに"殺人は聞いてナイ"とか言って内輪モメを始めたの。すると、地味な男は3億円がかかってるとか、コイツは既に知り過ぎてるとか言い出した。で、喧嘩が始まった隙に私は逃げたワケ」
手に汗握る大活劇だ。拍手。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
取調室から出て来て僕は感心スル。
「しかし、SFとしては最高の出来だな!三日月型の傷の男。クローゼットに隠れて注射器殺人鬼をやり過ごす、時空を超えた闇の不動産情報で不法居住者を繰り返すスコッターズ…」
「ソレは、全部作り話だからでしょ?」
「良い奴なのに残念だな」
メイド服のヲタッキーズ、エアリ&マリレが合流。
「メラド家だけど、確かに流氷ツアーのクルージングで年末年始は不在だった。連絡してるけど…」
「急いで。家を捜索したいの」
「え。じゃ令状をとれば?」
ラギィが首を横に振る。
「殺人容疑者の話だけじゃ令状は取れないわ。でも、逆にメラド家で証言を崩す証拠が見つかれば、殺人容疑でミッキを逮捕出来る」
げ。ソンなコト考えてるのか。恐ろしいな。スマホが鳴る。
「はい、ラギィ…あ、あら。ブラド?いやーん」
ラギィ、急にフニャフニャw
「だいじょぶだいじょぶ、も1つオマケにだいじょうぶよぉ!ちょうど、今夜の予定が流れたトコロなのん」
デスクから立ち上がり、クネクネしながら奥の会議室に消える。オーラ的にテレフォンセックスもしかねない雰囲気だw
「ブラド?何者?1発で新橋鮫を骨抜きだw」
「ルイナの御友達でしょ?」
「知ってるのか?」
ヲタッキーズのマリレが教えてくれる。
「私も1度デートした。とても良い男ょ。神田消防署のカレンダーにも載ってる。顔が整ってて、腹筋もスゴい。しかも、彼ってヒーローなの。1回火事で家族を救い出した後、もう1度また萌え盛る家に子犬を救いに飛び込んで行ったのょ」
「あ。ラギィが電話しながら髪をいじった」
「ラギィの"発情サイン"ね。そりゃそうょ"子犬効果"はテキメンだわ。女は1コロ」
横で聞いてたエアリのダメ推し。
「子犬ょ」
スマホを切り、穏やかな微笑を浮かべ歩いて来る…誰かと思えばラギィだ。烏森界隈で新橋鮫と恐れられた面影は皆無。
「テリィたん、何?」
「微笑んでる」
「だから?」
艶然と微笑むラギィ。恋する女の余裕か。スマホが鳴る。
「はい、ラギィです…何?メラド家が入室を許可?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の向こうにそびえる摩天楼群。その内の1本"秋葉原エンペラー"のアパート区画。管理人が鍵を開けてくれる。
「あ、管理人さん。そのママ、開けておいてください。ヲタッキーズは奥を見て来て」
「ROG。予想通りね。当然だけど、ミッキの話の証拠は見つからないわ」
「でも、スゴい。見ろょ。レトロな軽荷物用の簡易リフトだ。こんなのまで復元してルンだ。メラド家は、ソレをステレオ置き場にリフォームした。リモコンはどこかな?」
既に険しい顔になってるラギィに叱られる。
「捜査に来たのよ。"レトロフューチャーお宅訪問"の取材で来たワケじゃナイの」
「だって…素晴らしい建築だ。高層ビル自体がスチームパンク仕様で1800年代後期の摩天楼だ。メラド家と同じ38Fには飛行船用の係留場がアル。このモールディングの木材を見ろょ。レトロフューチャーで美しい。トイレは大理石に違いない」
「ほんとバブルな頃のボディコン女みたいな趣味ね」
いつものラギィに戻ってる。じゃ反撃だw
「ソレでもピンナップBOYよりはマシだろ?」
「あら?テリィたん、何か聞いたの?でも、ピンナップBOYじゃなくて、ピンナップMANょ」
「そっか。せいぜいグラビアMANと大いに楽しんでくれ。僕も"結婚したいグラビア地下アイドル第3位"とデートさ」
復活?ラギィも負けてナイ。毒舌満開。
「あーら。彼女、シングルマザーだから。七五三は一緒に祝ってあげてね。しかし、3位が9位とデートなんて、ヤタラとランク下げちゃって」
「そーゆーラギィは何位ナンだ?」
「な…何ょエアリ?」
恐らく物陰でクスクス笑ってた妖精メイドが登場。
「何もナイわ。ケタミンもクライミング用具も何もナイ」
「おいおい、アルだろ?1800年代後期のアイスボックスだ。現代の冷蔵庫が発明される前、人々はコレに氷を入れて食品を冷やして保存したのさ。だから"アイスボックス"」
「またヲタクの"お宅見学"が始まったわ」
ラギィは両肩をスボめてフランス人のマネ。僕は続ける。
「コレは食器棚にリフォームして、中には冷蔵庫が収まっている。ナイスなセンスだ…」
冷蔵庫の扉を開ける。転がり出たのは、男の冷凍死体w
「キャー!…しかし、意外だったな」
「見て!頬に三日月形の傷ょ!」
「ミッキの話がホントだった"証拠"だw」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。モニターに冷凍死体の顔。
「名前はアント・フラシ。頬の三日月の傷は見掛け倒しじゃなかった。前科がワンサと出て来たわ。盗品の故買、ピストル強盗は店舗、銀行お構いナシ。ダークウェブの闇バイトの常連で半分というか、ほとんど傭兵ね」
「死亡時刻は昨夜1時から4時の間。ミッキ・カルソは路上生活者の施設にいて、アリバイがアルな。ミッキの"作り話"は、かなーり事実ポくなった。ダグラとアントは、何かの計画の途中で裏切られたのね」
「YES。裏切ったのは、ダグラを注射器で殺したヲタク。謎の第3のヲタクだ」
ラギィと僕のシンクロ率も復活だ。
「アントの昔の共犯者カモしれないわ。ミッキに画像を見せて確認しましょう」
「しかし、前科がないダグラみたいなスーパーヒロインが、なぜ犯罪者と組むのかな?」
「恐らくダグラのコトが必要だったのね。メラド家だけど、旅行がタイミング良過ぎる気がして調べてみたら、流氷クルージングはコンテストの商品だった。ソレも存在しないコンテストのょ」
シンクロの輪はヲタッキーズまで拡大。エアリの捜査にラギィがナルホド顔でうなずく。同じメイド服のマリレも参戦。
「メラド家には、旅行チケットと一緒に偽の手紙も送られて来た。身に覚えはなかったけど、旅行には行くコトにしたらしい。で、そのチケットは…」
「ダグラの旅行会社だったワケか。おやおや。今回はスーパーパワーの出番はナシかな?。先ずメラド家に家を空けさせて…旅行クーポンの有効期限は今週までと描いてアル。なぜ今週なんだろう?ってか、何でメラド家ナンだろう」
疑問は尽きない…と逝うか、妄想が膨らむ。
「"秋葉原エンペラー"は、お城の形をした摩天楼だ。バブル期に流行ったレトロフューチャーなラブホテルの建築様式に興味がナイ限り、選ぶような不動産じゃない。お宝なステレオセットも盗まれてナイ。確かに、なぜソコまでメラド家に拘ったのかワカラナイな」
「うーん第3のヲタクの狙いは、メラド家ではなくて、別の場所に侵入スルのに、その部屋を使いたかったからじゃないかしら。ソコに行くのに通過する必要があったとか」
「ナルホド。あのステレオセットだな。メラド家がアルのは"秋葉原エンペラー"の38階。かつて、飛行船で運ばれて来た軽貨物用の簡易リフトで下の37階と繋がってる。僕の新作SF"宇宙女刑事ギャバ子"でギャバ子は同様のリフトを使い、マグマ大使の娘を救った。今回の犯人の狙いは、37階にアルのカモ。だから、クライミング用具があったのか。ねぇメラド家の部屋の下には、何がアルのかな?」
エアリがGoogleセンセのstreet viewで調べたら…
「ペットショップ?」
第4章 偽りのデートと真実の愛
"珍種!ペットショップ"という直裁的な看板の店。たった1人のオーナー兼店員は、スマホで熱の入ったセールス中w
「そりゃもう、ウチは爬虫類の専門店ですから。もう品揃えは抜群なワケでして…」
ラギィに続いて御帰宅、じゃなく、御入店。トカゲの水槽をコツコツとノックしたらベローンと舌が伸びてビックリだ。
「そうですか!分りました。ありがとう。ではまた…どうもいらっしゃいませ!"誰"をお探しですか?」
「最近盗まれた"彼女"を…」
「はい?誰が何を盗むと言うんですか?」
トボけてるのかホントにバカなのか、判然としない店主をラギィに任せ、店の奥の古い金属のパネルを外すと中は空洞w
「ラギィ!簡易リフトが開けられた痕がアル!」
「え。開かずの扉が開けられてた?」
「犯人は、3億円の価値がアルとか話してたな」
ラギィは、正面から店主を見据える。
「デュプ・リーズさん。お隣は何ですか?」
「Eastトマト銀行の東秋葉原支店。飛行船貿易の金融拠点」
「犯人の狙いは…銀行強盗?」
第4章 偽りのデートと大晦日の真実
その夜の"潜り酒場"。
「ミユリ姉様。どーやらペットショップの壁を壊して、お隣の銀行の金庫に侵入する計画だったようです。でも、現時点で万世橋にも連絡しましたが、銀行強盗は行われていません」
「あらあら。ナゼかしら」
「ソレが未だワカラナイのょミユリ。途中で、欲が出て仲間割れしたか、勝手にパニックで自滅したか」
カウンターを挟みミユリさんと相談するヲタッキーズ(とラギィ…と僕?)。微笑みながら一緒に頭をヒネるミユリさん。
「姉様。殺された被害者2人は仲間に裏切られたようで…どーやら"第3のヲタク"に裏切られたようなのです」
「そうねぇ。そもそも、普通は、お金を盗んだ後に殺すわ。お金を盗む前に殺すナンて。"第3のヲタク"の情報は?」
「唯一の"生きてる"目撃者のミッキに、アントの元共犯者の画像を見せましたが、見覚えのアル顔は皆無と言っていました」
僕がヒラメく。
「"第3のヲタク"はアントではなく、ダグラの知り合いカモな。旅行会社は調べたっけ?」
「モチロンょ。家族や友人も調べたわ」
「じゃあ顧客は?顧客の可能性もアリだと思うの」
ミユリさんの一言でテーブルから立ち上がるヲタッキーズ。
「"第3のヲタク"は、ダグラから旅行の手配したのでしょ?ダグラは世間話で、お台場でスキューバの店を開く夢を語り出す。すると、このスーパーヒロインは使える!と察した"第3のヲタク"はダグラを説得するワケ。仕掛けは簡単。死人も出ないし、どうせ銀行には保険が下りる。クルージングのチケットはダグラが手配スルから、疑われるのはダグラだけ。だから…ダグラを殺せば絶対に足はつかナイ」
「おっしゃる通りだ。ミユリさん、スゲェ」
「確かにソレはアリかも。ヲタッキーズ、ココ半年のダグラの顧客を調べてミッキに見せて」
ラギィの指示に顔を見合わせうなずくエアリ&マリレ。
「あぁ!もうこんな時間だわ。今宵は無理かしらw」
「え。子犬を助けるイケメン消防士なのに?」
「ミユリ。どうしてデートのコトを知ってるの?」
チョロっと舌を出すミユリさん。萌え。
「もちろん知ってるわ。でも、ラギィが1晩いなくても地球は止まらナイ。何かあってもヲタッキーズにお任せょ?ね?エアリ&マリレ(とテリィ様w)」
「ラギィ、行って来れば?」
「タマには任せてょ、ラギィ」
女子会ノリの展開で僕は黙ってニコニコだw
「ねぇ、何かあったら絶対に電話をちょうだいよっ!」
「はいはい。でも、楽しんで」
「いってらっしゃいませ、お嬢様」
なんだかんだでイソイソとお出掛けするラギィ。
「おい!ラギィは、ホントはキャンセルする気だったんだ」
「テリィたん、ソレが何?」
「気になるのね?元カノの新しい恋が」
メイド達に一斉にヒヤかされる。口を挟むんじゃなかったw
僕の困惑顔を楽しんでから、ミユリさんから助け船が出航←
「はい。テリィ様にもお小遣い。ちゃんと残りの2.25%になってくださいね。スピア、ネクタイを選んであげて」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"潜り酒場"は、もともとバックヤードなのでキャストがショーアップ前に全身をチェックする姿見がアル。その前で。
「ダメダメ。どーせバンド営業の時に着る黒シャツで行くつもりでしょ?紫やピンクのネクタイは合わないの」
スピアが当ててくれたのはエンジのネクタイだ。なるほど!
「センス良いなー…スピアにしては変な気分カモしれないね。元カレがデートに逝くネクタイを選ぶナンて」
「諦めてる。デート以上のコトをしてるって、わかってるけど…絶対に言わないで。ミユリ姉様と私の前では」
「ROG(今カノと同格を要求?)」
トランジスタグラマーのスピアが、思い切り背伸びしてエンジのネクタイを結んでくれる。胸が…ツンツンと当たるょw
「もし、私がアマゾンの半魚人やタコみたいな金星人にさらわれたら、誰がテリィたんのネクタイを選ぶの?第3位の地下アイドル?」
「脅かすなょ。別に指輪持参で逢うワケじゃナイ」
「まぁ良いですけど。順位で呼ばれるような人と幸せになれると思う?キャバクラじゃナイのょ人生は」
名言だなw
「なれるさ。だって、スピアは僕の元カノ第1位だぞ。なぁ心配スルのは僕の仕事。スピアの仕事じゃナイ」
「その言葉、御屋敷のダッジオーブンデーで、ローストチキンをフライにしようとして大惨事になった時も言ってた。テリィたんが悲しむ姿とか、眉のない姿とかもう見たくない」
「おいで」
スピアを右手でしっかり胸に抱き寄せてハグ。
ウットリと目を閉じるスピア(あくまで想像)w
「今宵はシンデレラリバティょ。お昼までには御帰宅して」
「ROG。この眉に誓って」
「やっと左右対象ね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
真夜中の秋葉原マンハッタン。アキバは夜の早い街だが、摩天楼群は眠らない。何本も立つ光の塔の1本。その最上階。
「ねぇねぇ素敵!このレストラン、なかなか予約が取れないンでしょ?」
"第3位"がレセプション前の行列と人混みを尻目に、僕の手を引いてグイグイ人混みをかき分けて逝く。
しかし、誰もが振り向き、道を開ける美人。みんなの注目は僕にも集まり何だか自然と上から目線になるw
「テリィたん!」
レストランオーナーのフラキから声がかかる。
「フラキ、どうもありがとう。予約が入らなくて…」
「直ぐテーブルの用意は出来る」
「テリィたん、オーナーとお知り合いなの?」
胸の前で手を組み、率直に驚きを現すアマダ。彼女の尊敬ビームの満身浴で心は桃色、美容効果は抜群だw
頃はよしとアマダがコートを脱ぐ。下は黒レースの肩出しキャミのミニワンピで、これまたどストライク←
ところが…
「テリィたん?」
呼ぶ声に振り向くと…誰?え。ラギィ?
ハーフショルダーの真っ赤なドレスだw
今宵は…美女まつりw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ラギィ。彼とは知り合いかい?」
「え。えぇ一緒に働いてるテリィたんょ」
「アマダ。一緒に働いてるラギィだ」
とりあえず、男同士は握手。ムダに強い握力w
「Hi」
「Ciao」
女同士も握手。何か…火花が散ってるw
ラギィが僕を物陰に引っ張り込み叱責←
「何なの?私が来るって知ってたでしょ?」
「いや。でも、君(なんかw)が直前に予約が取れる店だとは夢にも思ってなかったから」
「何ソレ?テリィたんは取れたじゃないの」
住んでる次元が違うンだょラギィ。
「そりゃ"コネ"がアルからな。友達がアキバでスチームパンクを始めた連中ナンだ」
「私もよ。友達が…保健所の人」
「おいおい。権力の乱用か」
いつの世も地球を回すのは女子のパワーだw
「テリィたん。君も警察官なのか?」
「いいえ。彼はSF小説家なんだけど、リサーチで、事件の捜査についてくるの」
「役に立つ時だってあるんだ!」
力説スル僕に地球を回す力はナイ。お声がかかる。
「テーブルの御用意が出来ました」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
シャンパンを抜く音。グラスに注がれるロゼ。
「ラギィ。今も何か捜査を?」
「YES。2人殺されたの。実は、かなり複雑で苦戦してる。犯人は…」
「"第3のヲタク"って呼んでる」
隣のテーブルから"必要最小限の説明"を加える僕。
僕の連れの"第3位"は、真っ直ぐ僕を見て微笑むw
「謎めいてて、テリィたんのSF小説みたい」
「確かにね。とにかく!そいつは仲間2人と…」
「銀行強盗を企てたの!」
おお!隣のテーブルからナイスな"必要最小限の説明"だ。
「でも、犯行の前に仲間2人を殺した。まだ何も盗んでないのに仲間2人を殺したのょ?普通仲間を裏切るのは、お金を盗んでからょね?」
全くその通りだ。僕はアマダのために補足。
「しかも、現場には強盗のための道具は何も見つからなかったンだぜ?」
「貴方なら、いずれ、解決できる、ハズ…だわ」
ナゼかテーブルに視線を落とすアマダ…しかし、次の瞬間、気を取り直して前を向き僕にニッコリ微笑む。強い性格だ。
「そういえば、先日、東秋葉原のブロードウェイで、スゴく素敵な舞台を見て、もう感動しちゃった!」
「ふーん。ところで、なぜケタミンを持ってたか。その理由がワカラナイんだ」
「階下のペットショップに何か関係してるのかしら?」
ラギィの合理的な疑問だ。何か解答があるハズ。
「ソレ、食べる?」
イケメン筋肉グラビア男がラギィのお皿のステーキをフォークで刺してパクリ。卑しい奴だが、万事気づかないラギィ。
「でも、テリィたん。ペットショップから何を盗むの?」
「あのオーナーは、ペットショップの看板に隠れて、何か裏の商売をしてルンじゃナイか?」
「すみません。ワインをもう1杯ください」
アマダは喉が渇いたらしい。早く注いでやれょ。
「すると…何も盗まれてないと言うペットショップのオーナーの言葉はウソなのね?」
「さて。食事の後でセックスしないか?」
「ごめんなさい。電話してくるわ」
イヤラシイ奴だが、万事気づかないラギィ。一撃で破砕。
万事物分かりの良いアマダだけど、僕は礼儀正しく断る。
「ちょっとトイレ。あっちだょね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワインセラーの裏でラギィを捕まえる。
「あ、テリィたん。今、エアリとマリレに調べて欲しいコトを連絡してたの」
「ペットショップ?」
「そうなの!でも、なぜソレを?」
訝しがるよりも、何処かウレしそうなラギィ(赤のハーフショルダーのカクテルドレスver.フィギュア化されそうw)。
「さっき気づいたんだ。きっと、オーナーは何か裏の商売をしてる気がスル」
「オーナーについて調べてもらってるトコロょ」
「そっか。じゃあ…僕はデートに戻らなきゃ」
フッとラギィも"女の顔"に戻る。色っポイw
「彼女、どう?」
「(ミユリさんのツルペタに慣れちゃうと魅惑の谷間で)ドキドキさ。そっちは?」
「(毎日相手してるインドアで青白いモヤシなヲタクと違って彼は)最高ょ」
お互いにクルリと背を向ける。
「じゃあまたな(ね)」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「この雉のお肉、最高だわ」
気持ちを取り直してニッコリ微笑むアマダ。実に魅力的な女子だ。事件さえ起きてなければ…
隣のテーブルでは、ラギィがスマホを並べ安いAussie beefを食べてる。雉の出ないコース?
この店で雉を食べナイとは…スマホ鳴動!
「署からだわ」
「そっか。どーぞ」
「じゃ僕も。失礼」
「またトイレ?頻尿?」
それぞれのテーブルでドラマを演じてから、僕とラギィはワインセラーの裏に集合だ。ラギィはスマホをスピーカーに。
「ラギィ?エアリょ。調べたわ。ペットショップのオーナーのデュブ・リーズに前科ナシ」
「マジ?」
「ここ数日、何か異変はナイのか?」
ココからマリレの声。向こうもスピーカーにしてるようだ。
「神田リバー水上空港の税関の記録だと、デュブ・リーズの名義で一昨日、ペットの輸入があった。ヨウムを6羽。タランチュラコモリグモ。ブラックテイルパイソン。全部南アフリカからょ」
「ちょっち待った。ブラックテイルパイソンを南アフリカからだって?」
「そうょ。テリィたんも飼いたい?」
トンデモナイ。激しく首を横に振る。
「ソレより、その蛇は別名インドニシキヘビだ。南アフリカにはいないよ。インド原産だ」
「テリィたん。なぜ蛇にこだわるの?"Missタランチュラ"なんてキャラを考案中?」
「(え。バレてる?)あのさ。僕はSF小説家だ。登場人物の目線で妄想スルのが仕事さ。蛇についての雑学を語るけど、冷血で、デカいモノも丸呑みして、消化に長い時間がかかる」
直ちにピンと来るラギィ。好きだなー。
「テリィたん。密輸ね?」
「YES。しかも、初めての密輸じゃなさそうだ。恐らく過去にもやってる。さて、南アフリカには豊富なモノが2つある。人種差別とダイヤだ」
「蛇の腹にダイヤを入れて密輸スルのね!」
スマホの向こうもシンクロ率120%だ。マリレかな?でも、ココから先は、僕とラギィのデュエットだ。
「確か3億円の価値があるって言ってたわね」
「今週、輸入スルとしたから、それに合わせてメトラ家を留守にさせた。後、ケタミンは…」
「蛇を眠らせるためね。オーナーは…」
「ダイヤを盗まれたと言えば、密輸のコトがバレてしまう」
「盗んだ犯人が…」
「第3のヲタクさ!」
ヒートアップする僕とラギィ。スマホの向こうは辛うじて…
「1つの文章を…」
「2人で言ってるのねw」
「さ、オーナーを連行してちょうだい!」
ラギィが命令を飛ばし、恐る恐る振り返ると…ブラドとアマダは、お互いに見つめ合ってテーブル越しに合コン状態だ。
「彼(氏&女)に何て言う?」
「気マズ過ぎるわ」
「も少し様子を見よう」
ブラドが隣に座る。アマダがパアッと笑顔の花を咲かせる。
「お。盛り上がってるな」
「大丈夫そうね」
「残り物には福がアルだ」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
真夜中の東秋葉原。タクシーから赤いハーフショルダーのドレスのラギィが颯爽と降り立つ。ヲタッキーズが駆け寄る。
「オーナーは?」
「まだ店にいるらしいわ。オーナーのデュプ・リーズは"blood type BLUE"。弱いテレパスです。動物の心が読めるらしい」
「ドリトル先生?ソレでペットショップを開いたのね…突入ょ。テリィたんは、私のバッグを持って最後尾」
何と小型の音波銃を抜き、バッグを僕に渡す。ラギィのカバン持ち、ならぬ、バッグ持ち&メイド達の後衛だょトホホ。
「突入!」
一斉に音波銃を構えて突入。先頭はマリレ。続いてエアリ、赤いワンショルダードレスで音波銃を構えるラギィ。萌え。
「クリア!」
「こっちもクリア!」
「待って!人影が…伏せて、テリィたん!」
運動神経ゼロの僕には無理…と思った次の瞬間カン高い音がして、目の前の爬虫類入りの水槽が木っ端微塵に吹っ飛ぶ!
「万世橋警察署!動くな!」
赤いドレスのラギィが音波銃を構えて立つ。駆けつけたヲタッキーズが左右につき音波銃を構える。その先にいるのは…
「撃つな!オーナーのデュプ・リーズだ!今、銃を捨てる!」
銃を床に落とすオーナー。サイレンサー付きの短機関銃w
「しかし、何で警察や南秋葉原条約機構が私の店にいるンだ?」
「地面に伏せて!うつ伏せょ早く!テリィたん?」
「大丈夫だ。あの程度じゃビビらないさ」
僕は、もちろんビビリまくりだが、もっとビビったのは…
「ラギィ!肩に巨大な蜘蛛がついてるょ!」
「わ、タランチュラ?」
「いやーん」
ハーフショルダーの白い裸の肩にチクリw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室。
「警察とは知らなかった。私はオーナーとして店を守るために撃った。コレは正当防衛だ」
「誰から守ろうとしたのデュプ・リーズさん?税関によると、インドニシキヘビを2匹輸入してるわね」
「ソレが犯罪なのか?ムーンライトセレナーダー」
毒蜘蛛に刺されて、激甚なアレルギー反応で全身が真っ赤に腫れ上がったラギィは"外神田ER"に担ぎ込まれ即入院w
僕の推しミユリさんがスーパーヒロイン、アキバ最強の"ムーンライトセレナーダー"に変身して捜査の指揮を代行←
僕の大好きなセパレート型のメイド服。激甚な萌えw
誰も聞いてナイが、僕はデート帰り?で黒シャツだ←
「いいえ。私は、なぜインド原産の蛇を南アフリカから輸入スルの?って聞いてる」
「長年付き合いのアル仕入れ先がソコにアルからだ。何も違法なコトはしていない」
「長年の密輸相手ってコトね。国際科学警察に話しておくわ。で、蛇はどこ?」
外堀を埋めて逝くミユリさん。僕も援護射撃。
「店に蛇はいなかったし、売れた記録もナイ。その代わり、こんなモノがあった。カラーグレーダー。紫外線ライト。天秤」
「あら。全部ダイヤ取引に必要な道具ばかりだわ。説明して…ふーん黙秘?こうじゃないかしら?簡易リフトのシャフトを通って誰かが侵入し、貴方が密輸したダイヤを蛇ごと盗んだ?でもね。正直な話、ソレはどーでも良いの。私は、貴方の蜘蛛に刺された警部の代理だから。殺人課が長かった彼女にとって、1番の問題は、その犯人が2人殺してるってコトょ」
ズッと黙秘していたデュプは、フト視線を上げる。
「関わりたくナイって気持ちもワカル。では、関与してたのは誰?デュプ・リーズさん。貴方も犯人は捕まえたいんでしょ?」
デュプの目が、キョロキョロと泳ぎ出す。
「ムーンライトセレナーダー、実は犯人が誰かは、私にもワカラナイんだ。神田リバー水上空港の税関には、私自身が直接取りに行き、事務所に置いておいたら…次の日には消えていた」
ミユリさんは、三日月男とダグラの画像を示す。
「この2人に見覚えは?」
「1度も見たことがナイ。フランス人、ウソつかない」
ソレはウソだなw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「密輸品の盗難だ。ある意味、コレは完全犯罪だょ。盗品が盗まれたと被害届を出す密輸商人はいないからな」
完落ちし猿より深く反省中のデュプをマジックミラー越しに見ながら、隣の部屋でミユリさんがヲタッキーズを集める。
「誰かがデュプの密輸の日程を知ってたハズょ。誰かしら。ダグラの客はどう?」
「姉様、ソレが全員調べたけど何も出ないのょ」
「念のため、生存スル唯一の目撃者であるミッキにも画像を見せたけど"第3のヲタク"はいなかったの、姉様」
エアリ&マリレの申し訳なさそうな報告。
「そっか。でも、きっと意外なトコロで繋がってる人物ょ」
「ペットショップの元従業員とかな…でも、従業員じゃ輸入の日程がわからないか」
「そーですね、テリィ様。いつダイヤを飲んだ蛇が届くか、密輸の日程を知らないと。デュプ・リーズの代わりに神田リバー水上空港に取りに行った人とか…そっか!テリィ様、空港ですょ!」
何が"そっか"?僕は何もヒラメかなひw
「エアリ&マリレ。前回の盗難の時のペーパー、全て調べ直して。税関、野生生物局、運輸保安局、デリバリー業者…誰が何をしてたかを全て調べてみて!」
「え。あ、この密輸に気付いた人が企んだ犯罪か。ラギィに通報スル代わりに盗んだってコト?」
「ソレが誰かもわかりました」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パーツ通り地下にアルSATO司令部。会議室にコペク夫婦。
「コペクさん、遅くにすみません。どうぞ」
「ムーンライトセレナーダー?モノホンなの?ホントにセパレートのメイド服なのね…遅くなってすみません。スタンが仕事の関係で」
「そうですか。殺されたお姉さんと最後に会ったのは、確か会社のパーティだったそうですね。それは、御主人の職場の近くだったとか」
「YES」
慎重にうなずくミシェ・コペク。
「御主人のスタンさん、確認しますが、職場はどちら?」
「おい!メイドさん、もう遅いんだ。何がわかったかだけを話してくれ」
「はい。わかりました」
ミユリさんは、艶然と微笑む。
「そのパーティの話を思い出して、全てに合点が逝ったのです。貴方の職場は、神田リバー水上空港ですね?」
「だから、なんだ?」
「コレは、税関の書類のコピーです。サインを見ると、輸入品をデュプ氏に渡す許可は、貴方自身が出している」
またまた外堀が埋まって逝くw
「そりゃ税関で働いてるからな。当然だ」
「ねぇ貴方、何のコトなの?」
「さっぱりワカラナイ」
声が上ずる税関吏。
「いいえ。貴方にはワカルでしょ。貴方は、デュプのダイヤの密輸に気づいて、こう思ったのね。バカな警察に通報スルより自分の利益にしようと」
「輸入許可証を見て、次にいつ密輸するかも調べた。野生生物局の輸入許可証を見るだけで十分。でも、ダイヤとはいえ盗品をさばくには、その道のノーハウが必要だ」
「ソコでダークウェブで闇バイトを募集したら、何とアント・フランが応募して来た。高校の同級生で、何度も逮捕されてる詐欺師」
少しずつ夫と距離をとり出すミシェ・コペク。
「アントは、直ぐに食いついたわ。後はメトラ家を留守にさせるだけ」
「ソコで義理の姉のダグラに連絡した。金が入れば、夢だったスキューバ店をお台場で開けるぞと」
「スタン?貴方は何をしたの?」
激しく首を振るスタン。
「待ってくれ!俺は何もしてない!」
「貴方の夫がスーパーヒロインのお姉さんを殺したのです」
「馬鹿げてる。ウソだ。全てデタラメだ!」
スタンは、完全に取り乱すw
「先ほど目撃者が証言した。貴方が注射で殺そうとした無断居住者ょ。残念、最後まで否認したわね。コレで司法取引の余地も無くなった」
「ウソょ!嘘よ!」
「ミシェ!そんなつもりはなかった。ケガ人も出ないハズだった。ダグラは、俺の言うコトを聞いてくれなくて、仕方なく…おい、アントは襲って来たンだ!正当防衛だ!俺は殺人犯じゃナイ!」
溜め息をつくムーンライトセレナーダー。
「2人も殺したのに?」
「予定が狂って手に負えなくなってしまった。注射は、連続殺人鬼の海外ドラマに影響されたからだ!全て日本のドラマがつまらないせいだ!」
「早く連れ出して!」
スタンの左右にヲタッキーズが立つ。
「私達は南秋葉原条約機構。警察じゃナイから、ミランダ警告はナシょ。立って」
後手に手錠をかける。
「俺達のためなんだ!」
夫の叫びに目を瞑り首を振るミシェ・コペク。
「2人のためにやった!」
連行されて逝くスタン。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
事件解決で、解散が決まった万世橋の捜査本部。始まった後片付けの喧騒の中、スコッターズのミッキの前に立つ僕達。
「テリィたん。私のstory、どうせウソだと思ってたでしょ?」
「バカ逝うな。僕はミッキにsympathyを感じでた」
「私、どーなるの?また蔵前橋に逆戻り?ソレとも…スーパーヒロイン殺しの共犯で死刑?」
ニッコリ微笑むムーンライトセレナーダー。
「ソレはナイわ。貴女は、結果としてスタンの逮捕に協力した。検察には、司法取引に応じる用意がアルって…約束出来ないけど、恐らく保護観察5年で済むハズ」
「え。蔵前橋は?」
「必要ナイわ。人生を取り戻すチャンスをくれたのは、テリィ様の元カノょ」
え。つまり僕ってコトだろ?
「(スゴく間抜けに聞こえるカモしれないけど!)がんばれ」
恐らく僕の言葉?にほっと肩を撫で下ろすミッキ。
「テリィたん。円がめちゃ安い今、同じマックで働いても故郷の方が給料が高い。なのにナゼ私達が日本に来るかワカル?私達、この国が好きだから来てる。だのに、日本の一般人は、私達に対し、上から目線をヤメない。でもね、この街には、その偏見がナイの。貴方達ヲタクは、私達と偏見なく付き合ってくれる」
そりゃそーだ。天は、ヲタクの上にヲタクを作らズ。下にも作らナイ。そして、アキバの中にヲタクを作る…意味不だw
「私は秋葉原で頑張るわ。今回の措置に心より感謝します」
バイと手を振ってミッキは去る。
「テリィ様。大晦日から変身しっぱなしで疲れました。早く変身を解いて温かいお風呂に入りましょ」
「僕は…」
「ヤメて。お願いですから、このヘソ出しコスプレのママで年越ししたいとか逝わないで」
おヘソを抑えるミユリさん。
「違うょ。メインまで逝かなかったから、お腹がペコペコだと逝おうと思って」
「メインを召し上がっても同じです。"ドラゴ"は、まるで量が少ないから」
「マチガイダなら、大晦日は終夜営業やってるょね」
ミユリさんの目が輝く。
「YUI店長が、シェイクの新しいフレーバーを始めたのです。タレを入れてかき混ぜるの!」
げ。マズそう。とりあえず、腕を差し出すとヒャッホーって感じで絡めて来て御機嫌で髪の毛をいじり出すミユリさん。
「テリィ様。"結婚したいグラビア地下アイドル第3位"とのデートは如何でしたか?」
「ソレが…確かにグラマラスだったけど、無茶苦茶無口な子でさ。ウルトラつまらなかったンだょミユリさん」
「実は彼女、ダークウェブの風俗嬢ランキング"舐めログ"に出てました。喉ち◯こを使うスゴい技の使い手ナンですって。スミマセンが、私、かなわないカモ」
え。どんな技ナンだ?!
「ソレで言葉数が少なかったのか!基本的に、口の使い方を間違えてルンだな。見るからにダメな奴もいるモンだ」
「良かった!しかも、初デートなのに無口ナンて、乙女失格ですょね!」
「そうさ、ミユリさん。履き慣れた靴は足にピッタリさ!ところで、その"納豆シェイク"だけど僕はパスしても…」
すると、ミユリさんは今年最後の般若の面でキッパリ告知。
「ダメです」
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"不法居住者"をテーマに、子供ベッドで殺されるスーパーヒロイン、その妹、その夫、留守中に不法居住する者、される者、秋葉原発の巨大メディア企業CEO、結婚したい地下アイドル第3位、消防士カレンダー7月の担当消防士、スーパーヒロイン殺しを追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズ、敏腕警部などが登場しました。
さらに、主人公と敏腕警部の恋の鞘当てとダブルデート?などもサイドストーリー的に描いてみました。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、大晦日の秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。




