第九話 アリシア・クク
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目前に迫っていた死は消えていた。いや、消えたのは俺たちだ。
目に写るのは植物のベッドで幸せそうに眠るネア。両腕にはレイルとアリシア。スキル『転移』によって空間を越えて移動したのだ。
「は~、助かった~」
「あんちゃん、いまのは?」
「転移、俺のスキルみたいだ。──俺、やっぱり国を出るよ」
「ワクワクして抑えられないって顔してるねぇ。でも魔物はどうすんのよ」
レイルが救急道具で治療しながら問題定義する。
「見てから決める。転移があれば逃げるくらいはできそうだし」
「あの……あなたたちは一体……?」
眉をハの字にして、不安そうにアリシアがたずねる。
「俺様、レイル! こっちは転次郎のあんちゃん。葉っぱに埋もれてるのがネアちゃん。──反乱軍さ!」
「三人なのに軍……ですか?」
「俺とネアは入ったつもりないよ」
「俺様、いけずはよくないと思うよ!?」
「アリシア、聞かせてくれるかい?」
「分かりました。──私はアリシア・クク。この国『クク』の第一王女です。」
「お、王女!? 反乱軍バレちゃ困るんだけど!」
レイルが突風受けたかのようにのけ反る。
「心配しないでください。私はこの国の管理体制に疑問を呈するものですから」
「で、命を狙われていたと」
「はい。元々国民のためと管理を行ってきましたが、管理が浸透し、国民を自在にコントロールできるようになりました。すると欲に支配された貴族たちが恐ろしい行動に出たのです」
「国民ポイント性か。アリシアは利益を得る側だったんじゃないか?」
「民が一方的に泣くような圧政は見ていられません!」
レイルの治療を受けながら、管理、国、自由、魔物、いろいろ考える。
「──俺もネアも、おそらくレイルもポイント切れで命を狙われている身だ。俺はひとりでも国をでて自由に生きるつもりだ。アリシアも来るか?」
「私には圧政を正す義務があります。残念ながらついては行けません……」
「──考えがあるんだ。俺たちで新しく国を作らないか?」
「「国を?」」
突然の提案にレイルとアリシアがハモる。
「何にも縛られない自由な国だ。先頭に立つのにふさわしい人物を俺は知ってる──どうかな王女様」
「正すのではなく、ククから民を移すのですね。──魔物、騎士団、不安要素はありますが、一筋の光明が見えた気がします。ぜひ反乱軍にいれてください!」
「反乱軍じゃないんだけど」
「よーし、アリシアちゃんも入軍けってーい!」
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