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第二話 国民ポイント

「──まずここが転次郎さんの宿よ」


 宿の紹介をしてくれた赤毛の騎士はサチェルさん。背筋がピンっと通っていて、バランス良くつく筋肉は真面目をかたどっているようだ。


 一ヶ月間は俺の教育係らしいが、監視も兼ねているのだろう警戒の圧力をヒシヒシと感じる。


「説明ありがとう。それじゃあとは自由行動ってことで! あ、バックパックが売ってるところだけ教えてくれない?」


「なにいってるの、まだ仕事内容もトイレ時間も食事時間も教えてないじゃない。自由なんてありえないわ。管理のためにしっかり聞いてもらうわよ」


「んー、──さよなら!」


 冗談にしても窮屈な話を始めたので早々に切り上げる。バックパックは自分で探そう。


 せっかく異世界にきたんだ、旅をしたい。


 だから脱兎のごとく路地へ駆けだした──が回り込まれてしまった。


 腰からぶら下がる鋭い鉄塊を、サチェルさんが俺に向ける。

 

「全国民が同じように管理されているの、水を飲む量から出産数にいたるまで全てね。転次郎さんだけ特別ってわけにはいかないわ、指示にない行動をとるようなら相応の罰をあたえるわ」


 どうやら本気でトイレの回数まで管理するようだ。


「え、マジなの? とりあえず物騒なもんを──」

「そっちに逃げたぞ! サチェル! 捕まえろ!」


 突然、焦ったような声が響く。

 声を荒らげた衛兵は少年を追っている。少年はすばしっこく逃げ回り、捕まえられる気配がない。サチェルさんに手伝ってほしいようだ。


「お、万引きでもやらかしたのか?」

「確保します!」


 軽口は無視されたが、サチェルさんの意識が俺から外れた、隙を狙って逃げ出せば晴れて自由の身だ。ありがとう名も知らぬ少年!


「──ポイント切れね、管理外の行動をとれば"国民ポイント"が減るの、そしてポイントがゼロになると廃棄されるのよ。転次郎さんも気をつけてね」


 軽口にたいしての回答だろうか、少年の状態予測をサチェルさんがつぶやいた。


 不穏なつぶやきに、逃亡の意思がとめられ、最悪な想像をしてしまう。


「廃棄ってまさか──」

「死刑よ」


 瞬間。真面目に仕事をする衛兵に飛びかかり、足の裏に熱烈なキスをさせた。


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