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第十九話 狂人サチェル

「かわされたか!」


 バックステップでサチェルと距離をとる。

 よくみるとサチェルの後ろで、十人程度が俺たちに刃を向けている。鉄の塊を着込んでいないところをみると、かなり急いでやってきたようだ。


「なぜ、きづかれたのでしょう!?」

「考えるのは後だ! パパトはみんなを先導して逃げて! ここは俺たち三人で何とかする!」


 パパトを隠すように、サチェルさんの前へナディンとレイルが立ちはだかった。


「転次郎……やっと見つけた。貴様のお陰で苦労したわ」

「あんちゃんモテるのね」

「レイル! 貴様もよ! 貴様らに逃げられたことで私のポイントは切れる寸前になったのよ! 毎日毎日真面目に仕事をこなし貯めたポイントが!」


 最初にあったときより、えらく感情的になったサチェルの話を聞く、時間稼ぎにちょうどいい。


「管理下で真面目にやっていれば幸せに暮らせるのに、貴様らのワガママひとつで人を不幸にするなんて身勝手よ!」


 病気で仕事が出来ない事を理由に、真面目に働いたネアの母は、ポイント切れにされている。

 利益にならない人を切り捨て、効率良く発生した利益を管理者が吸い上げるシステム──それがクク国の管理だ。


「前にも言ったが、あんたと話すことはもう何もない」

「なら、死になさい? 管理に従えない悪いやつは私が全員殺す!」


 以前であれば見切れなかったスピードでサチェルが斬りかかってくる。魔物狩りでボロボロになった短剣で俺は受け流す。


「ボーっと突っ立ってないで働け!」


 サチェルの部下らしき十人が動き出す。


「ナディン!」

「応!」


 『気配操作』

 ナディンのスキルは気配のコントロールだ。気配をあげることで部下たちをナディンに向かわせる。だが出力が高くないので、ひとりがレイルに向かい、二人は俺に向かってきた。


「あーら、俺様の相手はひとりだけぇ?」


 外で魔物相手に戦闘を重ねた経験値は、国の兵士を圧倒する。ものの数秒でレイルに向かった部下は地に伏した。


 ナディンへ向かった七人は、小柄な体躯から振り回される大剣のせいで近づくことも出来ないようだ。がナディンも決定打を与えられない状況。ナディンの体力がつきれば一気になだれ込まれるだろう。


 とはいえ陣形を使わずに三人を相手にしている俺が一番苦戦を強いられている。


「ハハハハ! 死ねぇ! 死ねぇ!」


 狂ったサチェルの鋭い突きをかわし隙を狙うが、ひとりの部下は少し遅れて突きをくり出し、ひとりの部下は攻撃をせず、じっと俺の隙を伺っているため下手に手出しできない。


「あんちゃん、加勢するぜぇ」

「ありがとう! 速く片付けてナディンの応援に行こう」


 部下をひとり引き付けるレイル。


「あんたもレイルを狙いな! ひとりじゃ抑えられないよ!」


 部下が二人ともレイルに向かう。

 実質、俺とサチェルの一騎討ち状態だ。

 俺が勝てば、レイルの加勢に行き勝ち濃厚。

 サチェルが勝てば、レイルを狙われ負け濃厚。

 時間をかけすぎれば、ナディンが保たずに負け。


「二人とも! ちょっと邪魔するよ!」


 レイルとナディンを転移させ陣形をつくる。


 『陣形─車掛の陣』

 サチェルは速く鋭い突きを軸に、戦いを組み立てている。

 それを上回るスピードで翻弄し、一気に終わらせる!


 仲間は再び元の位置に戻り戦闘を続ける。

 突如消えた敵が現れサチェルの部下は混乱する。不意を突くかたちとなっているようだ。


「死ねぇ!」


 俺のいた位置へ、一直線に放たれる突きが届く前に、サチェルの背後に移動する。サチェルの目は俺を捉えているが放たれた突きは止まらない。──勝った。


「くっ、甘いわ!」

「しまっ……!」


 腰にぶら下げた短剣を余った手でサチェルは抜きだした。

 油断。魔物相手に戦える、国の兵士より経験で勝っているという驕りが危機を招いた。

 俺の胸を短剣が痛みと共に通りすぎて行く。


「はぁ……はぁ……」

「はははは! 素直に管理に従っていれば幸せに暮らせただろうに」

「はぁ……、幸せ? なにも考えずに、言われた事をするだけが幸せだって? 俺に言わせりゃ、生きた……死人だ!」

「逆らえば貴様のように、本当に死人になるわよォ!」


 俺にむかって渾身の一撃をサチェルが繰り出す。


「そこだ」


 瞬間。サチェルの足元が崩れ去った。

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