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第十五話 安息の地

 獲物を失ったウルフィルが不機嫌そうに俺を睨み付ける。

 瞬間。地面を蹴りつけ、ウルフィルの懐に入り込む。強く硬く拳を作り、放った一撃はウルフィルの身体に肘までめり込んだ。


「転次──」


 アリシアの言葉が終わる前には、もう一体の懐へたどり着いていた。事態を把握した一体は後退するが、逃がさない────


「わおぅーーー!」

「わんわん!」

 

 森の方から子犬があらわれ近寄ってくる。

 数倍の体躯をもつウルフィルの前に立ち、俺を威嚇する。

 子犬の行動は、パンの少女となんの違いもなかった。


「強いな。──もう俺たちを襲わないなら見逃す」


 じっと俺を見つめ、泡を吹きのびているもう一体のウルフィルをひきずり、子犬と共にウルフィルは森へ帰っていった。

 

「転次郎さん今のは?」

「落ち着いたら説明するよ、俺たちも森へ行こう。ちなみに転移使えないから歩きで」

「えー、俺様歩きたくなーい」

「冗談言ってないでネアを背負って」

「へいへい、ネアちゃんスキルと緊張で疲れちゃったのね」


 ネアと確認したクロネアの木までくるとネアが起きたので基地の設営を始める。といってもスキル頼みだ。

 『穴堀』で地下の部屋と昇降用の階段をつくる。

 次に『プラント・マスター』で地上に小屋を作る。続けて水を貯めておく用の桶を作ってもらい。食料の貯蔵庫を作ったところでネアが倒れた。制限によって体力使用するためだ。


「ネアは基地に寝かせて、暗くなる前に食料を確保しよう」

「はい!」


 基地設営で出番のなかったアリシアは気合い十分だ。

 基地を出て種を含めて食料を探す。ネアに量産してもらうためだ。


「いやー、スキルを自由に使えるっていいねぇ」

「レイルは元々自由に使ってただろ」

「そうは言っても、気になるし解放感はあるよ」

「転次郎さん! レイルさん!」

「どうしたの? アリシアちゃん」

「スキル制限上手くできなくて、すみません」

「気にしなくていいよ。全員失敗パターンでも何とかする予定だったし。その内できるようになるさ」

「そうそう、ところであんちゃんのスキル制限、もう別物じゃない?」

「ああ、二度と使えなくてもいいってつもりが、びっくりだったよ」


 頭に流れた新スキルの説明をしながら、食料を集め基地に戻った。



────

──


 新基地を作って二週間が経過する頃。


「ネアのお陰で基地も基地らしくなったなぁ」


 二週間前までは、屋根と壁しかなかった基地だったが、今ではバスケットコートほどの広さがある。

 扉を開け一歩踏み入れると、ハーブのような香りが出迎えてくれる。ネアによるとリラックス効果があるらしい。


「お、あんちゃんおかえり!」

「おかえりなさい。転次郎さん」

「……転次郎君。……例のブツは?」


 広い作業スペースがある台所から、レイルとアリシアが声をかける。羊のような魔物の毛で作ったフカフカベットからはネアがとんでくる。探索で見つけた植物が目当てだ。


「みんな、ただいま。はい、ネア何か分かる?」

「っ! アダニの実。食べると天国に連れていってくれる」

「うげ、毒の実ってことか」

「……少し違う。死ぬけど、生き返る」

「仮死状態になるのかな」


 もちろんアダニの実はネアに奪われる。


「食事の支度ができましたよ」


 木の皿に肉の塊を乗せ、アリシアが食事を運んできてくれた。大型魔物を倒すと大量の肉が手に入る。野菜はネアが量産してくれるため基本的に枯渇しない。もちろんネアの能力が無くても、やっていけるように畑を作成中だ。


「サラダに、スープ、あんちゃんは手洗って座っときな」


 レイルに言われるがまま、台所の直ぐそばにある、子供プールほどの桶から、水を汲み俺は手を洗う。

 洗い終わる頃にはネアとレイルは食べ始め、アリシアは律儀に俺を待ってくれている。

 俺も食卓につき、食べながら今後について話す。


「かなり生活が安定してきたし、ククから人を集めようと思うんだけど、意見ある?」


「はい!」

「はい、アリシアくん」

「呼んだとして何か役割を与えるのですか?」

「いや、基地内の安全は保証するけど、後は自由だ。何もしなければ飢えるだけ。畑仕事をするのか、水汲みをするのか仕事は自分で考えてもらう」


「へい!」

「はい、レイルくん」

「どれくらい集める? 必要なら地下に部屋をつくるよ」

「ひとまず四人かな、地下部屋はこれからもあるし多目に作ってくれ」


「……はい」

「ネアくん、どうぞ」

「……どんな人がくるの?」

「ポイント切れ間近もしくは、もう切れている人だよ。最初はケアが必要かもしれない、サポートしてあげようね」


 みんな不安なのだろう、レイルが食事の片付けをしている間も問答が続いた。

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