76-②.蓮視点 後悔中
二話目の投稿です。
こちらは、短めになります。
――くっそぉぉ……俺、何やってんだっ!
あの時、なんで声をかけてしまったんだろう?
ベアトリーチェ嬢が日向だと、ノアの言葉で確信した。本当なら、そこまでで良かったんだ。
なのに、俺は……。
真実を聞き出そうと、彼女の心に土足で踏み込もうとしてしまった。
だって考えれば分かるじゃないかっ。
ヒナって呼ばれている時点で、ベアトリーチェ嬢には日向の記憶があったんだ。つまり、義理の兄である俺に知られたくなかったって事だよな。
だけど……ベアトリーチェ嬢は、話をしようと言ってくれた。
「何やってんのさ。レン、血がでるよ?」
後悔から、ゴンゴンと壁に頭を打ちつけていたのをキーランに見られてしまった。
「キーラン……いつからそこに」
恥ずかしさから、じとりと睨んでしまう。
「なーに? ノックはちゃんとしたからね?」
悪びれる様子もなく、椅子にまたがるように座りニコニコと俺を見る。
多分だけど、キーランは俺が言いたいことが分かっているのだ。
「みんな……知っていたんだろ? ベアトリーチェ嬢が日向だって。言わなかったのは……やっぱり、日向は俺に会いたくなかったって事だよな?」
ドサッとベッドの端に腰を下ろして、そのまま後ろに倒れ込む。
「それ、ここで俺に聞いちゃう?」
「……うっ」
「その為に、これから魔王城に連れて行くんでしょ。本人に聞いたらいいんじゃない」
ごもっともな意見に、反論も出来ない。
……日向は俺を恨んでいるはずだ。
母がしたことや、俺が逃げていたこと。記憶があるなら、最初から罵倒してくれたらよかったのに。
記憶が無いならまだしも、無理に他人のフリして俺に合わせて……捨て駒勇者を助けるなんてさ。お人好しだな。
ああ、でもそれは俺じゃなくて、全部魔王のためだったのかもしれないけど――。
胸がズキリと痛む。
「あー……初恋は実らないって本当だなぁ」
「へぇ〜、誰に恋してたの?」
ガバッと起き上がると、ベッド脇にしゃがみ込んだキーランが、面白そうにこっちを見ていた。
「もしかして俺……今、声に出してた?」
「うん、しっかり出てたよ! ま、どちらにしても恋敵は魔王様だし、当たって砕けちゃえば?」
ああぁっ……完全にバレてる。
「いや……砕けるのはちょっと。魔王なら本気で粉々にするだろ?」
「あ、確かに! 魔王様なら、跡形も残さないっ」
「だよな、絶対!」
キーランと顔を見合わせて、吹き出してしまう。一頻り笑って、気持ちが軽くなった。
そうだ、最初から決めていたんだ。
日向に記憶があるなら謝罪を。記憶がないないなら、その幸せを見守るって。
「じゃあ、そろそろ行こっか」
「ああ、よろしく頼む!」
覚悟を決めて、キーランの隣に立った。




