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11.測定日

お読み下さり、ありがとうございます。

 明日の段取りを決めると、ケリーにまた転移魔法で送ってもらい、寮へと戻った。


 測定が終わったら、お父様にも魔法が使える様になったと報告しなくては。

 今まで全く無かった力が、急に発現したとなれば不自然だ。何かそれっぽい……そう、魔法を使わなければならない危機的状況に陥った、とか。


 そんな状況は普通に考えて……無いなぁ。


 色々と考えながらベッドにゴロンと横になると、気付いた時には朝だった。

 起こしに来たジゼルが、手際良く身支度を整えてくれる。髪型はいつもお任せだけれど、昨夜の髪飾りをこめかみ近くに留めてもらうのを忘れないよう伝えた。

 

「品の良い、珍しい髪留めですね。どうされたのですか?」


「昨日、学園のクラスメイトから頂いたのよ。さっき、思い出したの。この位のデザインなら、制服でも問題ないでしょう?」


「まあ! それは是非とも着けて行かないとですねっ」


 ジゼルは、私に新しい友人が出来たと喜んだ。

 そして、耳上で編んだ髪を花の形に可愛くアレンジすると、髪飾りを真ん中に挿してくれる。

 

「……可愛いっ! 流石、ジゼルね!」

「お嬢様を可愛くするなら、いくらだって出来ますから」


 ふふっと自信満々のジゼルに見送られて、学園へ向かった。



 ◇◇◇◇◇



 教室に入ると、昨夜会ったばかりの三人はエルネストの周りに集まっていた。

 先ずはエルネストに挨拶を済ませる。それから、彼らとは親しげな表情は出さないように気を付けつつ、当たり障りのない挨拶を交わす。


 エルネストは私の髪型には無反応だが、ノアの眼鏡の向こうの瞳は、しっかりと魔石の髪飾りをチェックしている。アレンジが気に入ったのか、ほんの少しだけノアの目元が緩んだ。


 ジゼル、グッジョブよ!


 などと思っていたら、教室の後ろの扉からアリスが入って来るのが見えた。

 スッ――と、その場から離れて自分の席へと向かう。悪役令嬢にされない為には、極力接触は避けないとね。


「エルネスト様、おはようございます」

 可愛いらしい仕草で近寄って来たアリスは、四人へ挨拶をした。

 

「おはよう、アリス嬢。今日は、魔力測定だね」

「はい! 私、緊張してしまって……」 

「心配することは無い。昨日、アリス嬢から聞いた事を確かめる為に、素晴らしい人物を宮廷魔術師団から呼んでおいた」

「まあ! 嬉しいですっ」


 ――えっ!?

 黙って、エルネストとアリスの会話に聞き耳を立てていたが、思わず声を出しそうになってしまう。


 宮廷の魔術師団ですって?


 国の最も優秀な魔術師を集めて結成された、超エリート集団だ。魔力量も半端ない。

 確か、地位の高い者は宮廷に勤めていて、国王陛下とも直にやり取りが出来るほどだ。他のメンバーは、魔術師団専用の塔で仕事をしている。


 つまり、結構な人物を呼んじゃっているのね。


 きちんと正規の手順で魔術師団の人間を呼んでいるならば、アリスが光属性の可能性が高いと踏んでいるのだろう。もしも聖女なら、国の為に欲しい存在なのだから。


 まあ、実際そうなのだけど。


 昨日何があったか知らないが、エルネストがそう確信出来るものを見たのかもしれない。

 ……まさか、ついでに私の魔力測定まで見たりしないわよね? 

 じんわりと額に汗が浮かんでくる。


 ――そして、あっと言う間に時間は過ぎ、四時限目の測定が始まった。



 ◇◇◇◇◇



「はあぁ。一時はどうなるかと思ったわ」

「ニャア〜オ」


 測定を終えた昼休み。

 学園の裏庭にある、生垣に隠れるように設置されているベンチに座っていた。この場所は、あまり人は来ないらしい。先に偵察していたケリーが教えてくれたのだ。


 令息姿のケリーと密会する訳にはいかないので、猫のままだ。ノアとロランが上手くエルネストを誤魔化し、ケリーを教室から出してくれて無事に潜り込めた。

 

 私の測定は、全く問題なく担当の教師だけだった。

 順番は基本、入学前に爵位順で決められた名簿通り。晴れて私も火属性で登録された。魔力量は平均値で無難な所にしてもらった。


 そして、アリスの順番になると魔術師が室内へ呼び入れられた。

 案の定、珍しい光属性で聖女としての加護もあった様だ。はっきり断定できないのは、測定結果は当人と学園にしか伝えられないから。


 まあ、あの様子じゃバレバレよね。宮廷魔術師が来ている時点で異常事態だもの。

 

「ケリーのおかげで助かったわ」


 猫のケリーを抱っこして、お礼を言った時だった。カサっと後ろで葉が擦れる音がした。

 

「……ベアトリーチェ嬢、此処で何をしている?」


 背後から、愛想の無い聞き慣れた声が……。


「あら、エルネスト殿下。ここに、可愛らしい猫が居るのです」


 ケリーを抱っこしたまま振り返って答えた。


「……猫? 今、ケリーと呼んでいなかったか?」

 

 さっきの聞こえていたのか。内心で舌打ちをする。


「ええ。この猫は男の子みたいなので、ケリーと名付けようかと思いまして」


 ぐいっと、ケリーをエルネストに見えるように前に突き出した。


「その猫に名前を付けたのか?」と、信じていなさそうな言い方で顔を顰めた。


「私、とても猫が好きなのです。エルネスト殿下は、なぜこちらへ?」

 と、聞いてからエルネストの背後にアリスが隠れるように居たことに気付く。


 ……ああ。逢瀬ってやつですね。

 だから、私が男性の名を呼んだ事が気になったのか。一緒にしないでほしい。


「……アリス嬢の測定結果で、少々話があってだなっ」


 まったく……なんで口調が怒り気味なのか。後ろめたい事がある人間に有りがちな反応だわ。


「そうでしたか、それでは私はこれで。ご機嫌よう」


 にこやかに挨拶をしてその場を去る。

 すれ違いざまに、アリスの口角がほんのり上がったのを見逃さなかった。

 

 やれやれ。

 

 ケリーという名を呼んでいたのを、エルネスト達に聞かれたのは不味かった。万が一にも、学園ではキーランをケリーと呼ばないように気をつけなければ。

 婚約破棄は、こちらが有利になる様に動かなければならないのだから。

 

 昼休みもまだ終わらなかったが、少し早めに教室へと戻った。

 すると、同じクラスの見覚えのある女生徒が、私を見つけると緊張した面持ちで、こちらに向かってやって来た。



おまけ


 後からケリーに「もう! お婿に行けないっ!」と、エルネストにお腹を突き出して見せた事の文句を言われた。勿論、ロランは失笑でノアは苦笑だったけど。


 いいじゃない。男同士なんだし……。



◇次の更新は、火曜日予定です。

◇早まる場合もありますm(__)m

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